世界最大の販促品業界団体であるAdvertising Specialty Institute(ASI)は2026年3月26日、新最高経営責任者(CEO)にAshish Mittalを任命すると発表した。Mittalは2026年4月1日付で就任し、23年間CEOを務めたTimothy M. Andrewsの後任となる。
誰がどのような人物か——テクノロジー業界出身の新リーダー
Ashish MittalはAI・サブスクリプション型コマース向けSaaSプラットフォームを手がけるSticky.ioで最高執行責任者(COO)を務めた人物だ。販促品業界の外からリーダーを招いたのは、ASIがデジタル化・AI化の加速を見据えたためと見られる。
Mittalは就任にあたり、業界の可能性について次のようにコメントした。「AIが何でもコンテンツを生成できる時代だからこそ、実際に手に触れることができるブランデッドグッズ(物理的なノベルティ)の価値はむしろ高まっている。この業界には大きな成長余地がある」と語った。
前任のTimothy M. Andrewsは1998年からASIを率い、業界団体として販促品産業のデジタル化や調査・データ提供を先導してきた。同氏は2026年3月31日付で退任する。
ASIとは——27.7億ドル規模の業界を束ねる団体
ASIは販促品(プロモーショナルプロダクツ)業界の会員制サービス・メディア団体であり、米ペンシルバニア州トレボーズに本部を置く。北米だけで約2万5,000社のサプライヤーやディストリビューターを会員として抱え、業界全体は約27.7億ドル(約4,200億円)規模を誇る。
ASIはPPAI(プロモーショナル製品協会)と並ぶ業界の2大団体の一つで、業界データ調査、資格認定、展示会(ASI Show)の主催なども手がける。今回のCEO交代は、業界のデジタルトランスフォーメーションを加速させる転換点として注目されている。
なぜ「AI時代こそノベルティが輝く」のか
新CEOが言及した「AIが何でも生成できる時代だからこそ、物理的なグッズが輝く」という視点は、ノベルティ業界にとって重要な示唆を含む。
- デジタル広告の飽和:SNS広告や動画広告が溢れるなか、物理的に「手に触れる」ブランド体験の希少性が増している
- 記憶への定着:ASI自身の調査(2025年PPAI Product Power研究)によると、ブランドロゴ入りノベルティを受け取った消費者の72%は2年以上そのブランドを記憶している
- サステナブルシフト:安価な使い捨て品から、長く使える高品質な素材(リサイクル素材・竹・コルク)へのシフトが加速中
ノベルティOEMに取り組む企業にとっては、「持続可能性」と「品質」を軸にした製品設計が、この時代に求められる方向性と言えそうだ。
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日本のノベルティ・販促品業界への示唆
米国の販促品業界でAI・テクノロジー出身のリーダーが台頭していることは、日本のノベルティOEM業界にとっても無縁ではない。商品企画のAI活用、OEM発注フローのデジタル化、サステナブル素材の採用……これらへの対応が競争力の鍵となっていく。
