秋のファッションビル商戦に合わせ、アンドエスティHDグループのアダストリアが運営するHeather(ヘザー)が、ブランド25周年のノベルティフェアを2026年9月17日に始める。主役は5色から選べるオリジナルのリボンバッグで、全国のHeather全店では税込15,000円以上を買った先着客に配る。ルミネ店舗では税込10,000円以上とハードルを下げたうえでコスメのノベルティまで上乗せし、購入金額の条件も受け取れる中身も立地で変わる。買う高揚感を作りながら来店先まで動かす二段構えは、周年販促やノベルティ制作を任される担当者がそのまま設計図に写せる題材だ。
25周年の主役は「配る」ではなく「選ばせる」リボンバッグ
今回のフェアで配るのは、ブラック・ピンク・ホワイト・ブラウン・イエローの5色から1点を選べるリボンバッグだ。持ち手は長めで肩に掛けられ、500mlのペットボトルや長財布が収まる容量に作ってある。ノベルティにありがちな「配られたものを受け取る」体験と違い、客は自分でどの色にするかを決める。
色を選ばせる操作は、受け取った後の使われ方まで変える。手持ちの服やふだん使う鞄に合わせて選んだ一点は、支給品ではなく自分の持ち物として街に出る。ブランドのロゴが入ったバッグを日常的に持ち歩いてもらえれば、それは歩く広告になる。周年の記念品を配って終わりにせず、選択の一手間で自分ごとに変えているのが最初の仕掛けだ。
10,000円でコスメが付くルミネ、全店との5,000円差の意味
二つ目の仕掛けは、購入金額のハードルと特典の量を、店の立地によって同時に変えたことだ。全国のHeather全店では税込15,000円以上でリボンバッグを1点配る。これに対しルミネ店舗では、税込10,000円以上とハードルを5,000円下げたうえで、先着客にリボンバッグとコスメノベルティの両方を渡す。コスメはスキンケア3種類のFLORODORA、またはヘアエッセンス2種類のALLMASILから選ぶ形で、ここでも選択の余地を残している。低い金額で厚い特典を用意する側に、はっきりと軍配を上げている。
さらに、ルミネエスト新宿・池袋・北千住・立川・町田・大宮・横浜の7店舗では、フェア用の空間演出を施す。特典の厚みと売り場の見え方を同じエリアに集中させ、周年の熱量を旗艦店に寄せる組み立てになっている。どの店でも一律に配るのではなく、送りたい場所に特典を厚く置くことで来店先を誘導している。
全店とルミネで特典条件はこう分かれる
特典の条件を整理すると、全店とルミネの差は金額のハードルと受け取れる中身の両方にある。取得の入口となる購入金額は全店が税込15,000円、ルミネが税込10,000円と5,000円分低く、そのうえでコスメの上乗せと売り場演出まで立地で切り替えている。
| 項目 | 全国のHeather全店 | ルミネ店舗 |
|---|---|---|
| 特典の中身 | リボンバッグ1点 | リボンバッグ+コスメノベルティ |
| 取得条件 | 税込15,000円以上 | 税込10,000円以上 |
| 配布方式 | 先着・在庫がなくなり次第終了 | 先着・在庫がなくなり次第終了 |
| 色の選択 | 5色から1点 | 5色から1点+コスメ2ブランドから選択 |
| 売り場演出 | 通常什器 | 7店舗でフェア装飾 |
開始は2026年9月17日で、終了日は設けず在庫がなくなり次第打ち切る先着制をとる。日付ではなく在庫で締める設計は、初速を早める効きがある。
考えられる受け止めと、販促担当が押さえておきたい論点
この設計を販促の観点で読むと、色を選べる特典はSNSと相性が良い。自分が選んだ一色を見せ合う投稿は、同じ写真が並ぶ配布品よりも拡散の起点になりやすいからだ。5色そろえば投稿のバリエーションも増える。
一方で、在庫運用は難しくなる。5色に分けた瞬間、どの色がどの店で先に切れるかを読み違えると、人気色だけ早々に品切れして不満が残りやすい。色数を増やすほど魅力は上がるが、発注と店間の再配分は重くなると考えられる。
ルミネ限定のコスメ上乗せは、館の集客とかみ合わせた組み立てと見てよい。ファッションビル側は売上と回遊を、ブランド側は周年の露出を取りに行く。特典の原資を館と分け合って厚くできれば、単独では出しにくい二段の特典が組める。
周年ノベルティを来店動機に変える三つの変数
この周年フェアを自社に置き換えるとき、担当者が握る変数は三つに絞れる。
一つ目は、選ばせるかどうか。色やデザインの選択肢を客に渡すと、記念品が自分の持ち物へ変わり、持ち歩きと投稿が増える。ただし選択肢の数は在庫リスクと直結するため、売り切れても納得される数に抑えるのが現実解になる。同じアダストリアが手掛けたハリポタ4ブランドの一斉コラボでも、3,000円ごとの特典で客単価を束ねる組み立てが使われていた。
二つ目は、特典を一律にするか立地で変えるか。全店で同じものを配れば公平だが、来店先の誘導は効かない。旗艦店や特定館だけ特典を厚くすれば、そこへ客を寄せられる。今回のリボンバッグとコスメの二段構えは、この厚く置く場所を7エリアに定めた例だ。周年の特典を層で出し分ける発想は、ポムポムプリン30周年でセブンが特典を三層に分けた事例とも重なる。
三つ目は、先着という締め切りをどう使うか。在庫がなくなり次第終了という条件は、次の給料日でいいという先延ばしを止め、今日のうちに条件額まで買う理由を作る。俺ガイル15周年のPOP UPが3,000円特典で客単価を積んだように、周年は購入点数を積む口実になりやすい。祝祭感と先着の緊張を重ねれば、記念品は購入の背中を押す装置に変わる。
自社の周年施策へどう落とし込むか
自社の周年やリニューアルでこの型を使うなら、順番は明確だ。まず記念品を一種類に絞らず、色・柄・サイズのいずれかで2〜5択を用意し、選ぶ楽しさを組み込む。次に、送客したい店舗やチャネルを決め、そこだけ特典を一段厚くする。最後に、在庫がなくなり次第終了という先着条件で受け取りの期限感を作る。
制作を外部に頼む場合は、色数と総数を早い段階で固めておくと、店間の配分と追加生産の判断が楽になる。日常的に持ち歩くバッグやポーチのように、使用シーンが長い実用品を選べば、露出は配布日で終わらず秋冬を通して続く。周年は祝う行事にとどめず、客単価と来店先を同時に動かす販促の起点にできる。まず自社の記念品に一つ、客が選べる余地を足すところから始めたい。
参照元: Heather 25周年ノベルティフェア(株式会社アンドエスティHD/PR TIMES)
最終更新:2026.09.16
