TVアニメ『パーフェクトアディクション』のPOP UP STOREが、2026年9月19日から27日まで新宿マルイ メン8階のイベントスペースで開かれている。運営は株式会社サイバード。ここで目を引くのは、通常の購入特典に加えて「エポスカードで払うか、カードを提示するともう一つもらえる」というカード連動特典を重ねた二層の組み立てだ。商業施設と組んで催事を打つときに、客単価とカード会員との接点をどう同時に取りに行くかが具体的に見える事例になっている。
通常特典とカード特典の二階建て
特典は二つの系統に分かれる。まず通常特典は、税込5,500円以上の購入でオリジナルイラストカードを1枚、11,000円以上で2枚、16,500円以上で3枚と、金額に応じて増える階段方式。ここには「KiT ALBUMの購入金額は対象外」という条件が付く。もう一つがエポスカード連動特典で、期間中に税込3,000円以上を購入し、エポスカードで支払うか提示すると、ステッカー(全4種)をランダムで1枚もらえる。
| 系統 | 条件 | 特典 |
|---|---|---|
| 通常特典 | 5,500円以上(以降5,500円ごと) | オリジナルイラストカード(最大3枚) |
| エポス連動 | 3,000円以上+エポスカードで支払いまたは提示 | ステッカー(全4種)ランダム1枚 |
二つの閾値が3,000円と5,500円でずれている点に意味がある。カード連動の壁を低めに置くことで、まだ通常特典に届かない客にも「あと少し買ってエポスを使えば別の特典が付く」という一押しを効かせられる。イラストカードを狙って積み増す客と、カードを持ち出す客を、別々の条件で動かせる構図だ。支払いだけでなく提示でも対象になるため、既にカードを持つファンの来店を確かめる接点にもなる。
商業施設とIPが組むと双方に何が残るか
丸井グループがIP催事に会場を提供する背景には、物販の場所貸しにとどまらない意図があると見られる。同社の収益の柱はエポスカードを軸にしたフィンテック事業で、来場したファンにカードの利用や提示を促し、あわよくば新規発行につなげることが催事の価値になりうる。人気IPのファンは購買意欲が高く、限定ステッカーという小さな動機でもカードを持ち出す行動を後押ししやすい。
似た座組みは3,000円の購入特典に丸井がエポス会員化を接いだ東京喰種POP UPでも見られた。購入特典にカード会員化の導線を接ぐ型は丸井の得意手で、フェス前の熱量を物販へ振り向けたフェス前の熱を物販に変えた有楽町マルイのメタルPOP-UPも含め、商業施設側が集客・物販・カードを一つの催事で束ねている。IP側は会場と集客支援を得られ、施設側はカードとの接点を得る、双方に利のある関係だ。
受注販売で在庫リスクを抑える
商品は330円のミニカードから14,300円の場面写キャラファイングラフまで幅広い。ECの「オシモール」では9月24日15時から10月8日まで完全受注生産で扱い、会場でも高単価のキャラファイングラフ(6種)や8,800円のKiT ALBUMは受注販売とする。受注に回せば会場で在庫を抱えずに高単価品を扱え、来場できないファンの需要も後追いで拾える。もっとも受注生産でも最低ロットや製造・配送のコストは残るため、在庫リスクをゼロにできるわけではない。
通常特典からKiT ALBUMの購入額を除外した理由は明示されていないが、高額な音源商品で特典枚数を稼がせるより、アクリルスタンドや缶バッジといった実物グッズの購入を促したいという読み方はできる。特典設計と商品構成が、会場で売り場を回してもらう方向にそろっている。
原作の追い風とファン層
『パーフェクトアディクション』は原作がBLアワード2025のラブコメ部門1位、累計150万部を突破した作品で、tvkなどで2026年7月から放送されている。熱量の高いファン層を抱えるIPだからこそ、5,500円という決して低くない特典閾値でもまとめ買いが成立しやすく、カード連動特典も機能しやすい。放映と物販、EC受注を同じ時期に重ねることで、作品への熱をひととおり受け止める設計になっている。
二段の閾値をどう自社に置き換えるか
商業施設と組む催事では、施設側が持つカードや会員基盤を特典に組み込むと、客単価に加えてカード会員との接点まで取りに行ける。閾値は「通常特典」と「カード特典」で意図的にずらし、別々の客に別々の一押しをかけるのが効く。高単価品は受注販売に回せば、会場の在庫リスクを抑えつつ売上を伸ばせる。品ぞろえの厚みで単価を積んだ34点と3,000円特典で客単価を積んだ俺ガイル15周年POP UPとあわせて見ると、特典・商品・決済を一つの企画にどう束ねるかの手が増える。
まとめ
パーフェクトアディクションの新宿マルイ催事は、通常の購入特典にエポスカード連動特典を重ねた二層構造で、客単価とカード会員との接点を同時にねらった点に特徴がある。自社が商業施設で催事を打つなら、施設の会員・カード基盤を特典に接げるか、閾値を二段に分けて別々の背中を押せるか、高単価品を受注に回せるか——この3点を交渉と設計の入口に置きたい。
参照元
TVアニメ『パーフェクトアディクション』POP UP STORE(株式会社サイバード 公式ニュース)
最終更新:2026.09.19
