ファミリーマートが、2022年5月から翌年4月にかけて累計940万食を売った「生カヌレケーキ」を、「生カヌレスティックケーキ」として9月8日に再投入した。あわせて「ファミマルスイーツ」の対象商品を1品買うごとに50円引きのレシートクーポンを発券する施策を重ねている。単品のヒットを話題の入り口にしつつ、割引はスイーツ棚の全体へ広げる構えだ。店頭の一品をどう集客の核に育て、そこから隣の商品へ客を動かすのか。販促やイベント企画に携わる担当者にとって、来店動機の組み立て方を点検する材料になる。
ファミマが生カヌレを核にスイーツ全品へ50円引きを重ねた
創立45周年のファミリーマートは、過去のヒット商品を一度きりの復刻で終わらせず、形を変えて棚へ戻した。同時に走る割引は単品ではなくカテゴリー全体にかかる。ヒット商品の記憶を使って来店を促し、店内では別のスイーツにも手が伸びるよう導線を組んでいる。
何が新発売されたのか
新商品「生カヌレスティックケーキ」は、くちどけのよいホイップクリームをカヌレ生地で挟んだサンド型のスティック菓子だ。カヌレ特有の「外はカリッ、中はむちっ」とした食感を、一口目から最後まで均一に楽しめるとリリースは説明する。価格は221円(税込238円)。9月8日から沖縄県を除く全国の約16,100店で並ぶ。母体となった生カヌレケーキは2022年5月から2023年4月26日までに累計940万食を積み上げた実績を持ち、その数字がそのまま今回の訴求文句になっている。
50円引きレシートクーポンの中身
割引の対象は「ファミマルスイーツ」のマークが付いた商品全般で、1品購入ごとにレジで50円引きのレシートクーポンが発券される仕組みだ。発券期間は9月8日から21日まで、クーポンの利用期間は9月8日午前7時から28日までと、利用できる期間のほうが1週間長く設定されている。他のセール・割引券・引換券・回数券との併用はできない。
なぜヒット商品を「核」に据えるのか
販促の入り口には、客が足を止める理由がいる。ゼロから認知を作るより、すでに記憶に残るヒットを呼び戻すほうが早い。940万食という数字は、味を保証する第三者評価に近い働きをする。
940万食という実績が来店動機になる
累計販売数は、買う前の客にとって「多くの人が選んだ」という安心材料になる。新商品は形状を変えているため物珍しさもあり、既存ファンには再会の理由を、新規客には話題性を同時に差し出せる。過去の成功を数字で語り直すやり方は、物品特典の企画でも応用が利く。ファミマが45周年に合わせてご当地ソックスを600円で「売った」ファミマ45周年、ご当地ソックスを600円で「売った」販促の狙いは、無料配布ではなく購入させる特典で来店の質を上げた例で、今回の生カヌレ再投入と同じく「実績と記念文脈を売り物に変える」発想が下敷きにある。
生カヌレ1品ではなくスイーツ全体を割引にした理由
もし50円引きを生カヌレ1品だけに絞れば、値引き分は核商品の販売に消えてしまう。対象を「ファミマルスイーツ」全体に広げたことで、核に引かれて来店した客が、プリンや焼き菓子など隣の商品にも割引を使える。入り口は一品、出口は棚全体という組み立てだ。菓子2個で缶ミラーが手に入る菓子2個で缶ミラー1個、ファミマがエスターバニーで束ね買いを作るが「複数買い」を条件に客単価を押し上げたのに対し、今回は割引を横に広げて「ついで買い」を誘う。同じファミマでも、束ねるか広げるかで狙う数字が違う点は見比べる価値がある。
レシートクーポンはどう次の来店を作るのか
今回の割引はその場で値引きするクーポンではなく、買い物のあとにレジから出てくるレシートクーポンだ。この一手間が、一度の来店を次の来店に結びつける。
利用期間を発券より1週間長くした効果
発券は9月8日から21日まで、利用は28日まで。利用できる窓を発券より1週間長く取ることで、クーポンを受け取った客が後日また店に戻る余地を残している。手に入れた50円引きを無駄にしたくない心理が、二度目の来店を後押しする。特典を配る日と使える日をずらす発想は、配布タイミングを店ごとに分けたルックチョコ3個でACEesステッカー、配布日をずらすファミマとセブンとも通じる。特典を一気に消化させず、時間軸に沿って来店を分散させる手筋だ。
受け取り条件は対象スイーツを買うことだけ
割引を受ける条件は、対象スイーツを1品購入することだけだ。買えばレジで紙のレシートクーポンが発券され、手元に残る。特典を受け取る間口を購入という一点に絞ると、来店した客がそのまま対象になり、買い物のついでに次回分の割引が積み上がる。記念セールで客層の裾野を広げたい局面では、受け取りの条件を増やしすぎない組み方が効く。
販促担当が自社に移せる二段構え
コンビニ大手の一施策だが、骨格は物品ノベルティやイベント特典にそのまま移せる。核をひとつ立て、そこから波及を作るという二段構えだ。
物品ノベルティにも移せる「核+波及」
限定グッズや記念ノベルティを企画するとき、目玉を一点に絞って集客し、来店客に別ラインの商品や割引を差し出す組み方は、コンビニに限らず店舗販促の共通言語になる。目玉だけを厚くすると在庫と原価が重くなるが、目玉は薄く、波及で回収するなら特典の組み立ての自由度が上がる。核の話題性と、波及先の品揃えの厚みを、企画の初期に一緒に検討しておきたい。
特典のタイミングを分ける
発券と利用の期間をずらす、配布日を分けるといった時間の使い方は、来店を一日に集中させず、会期全体へならす効果がある。イベントや展示会でも、来場当日に使える特典と後日使える特典を分けておくと、再訪や後追いの問い合わせにつなげやすい。特典は「渡して終わり」ではなく、「次にいつ来てもらうか」まで含めて組むと効きが変わる。
生カヌレ再投入と50円引きの要点一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 新商品 | 生カヌレスティックケーキ(221円/税込238円) |
| 発売日・地域 | 9月8日/沖縄県を除く全国 約16,100店 |
| 母体商品の実績 | 生カヌレケーキ 累計940万食(2022年5月〜2023年4月26日) |
| 割引の対象 | 「ファミマルスイーツ」対象商品を1品購入ごとに50円引きレシートクーポン発券 |
| 発券期間 | 9月8日〜9月21日 |
| 利用期間 | 9月8日 午前7時〜9月28日 |
| 条件 | 他のセール・割引券・引換券・回数券との併用不可 |
| 企業文脈 | ファミリーマート創立45周年 |
販促担当が明日試せる一手
自社の商品やサービスにも、生カヌレのような「数字で語れる実績」が眠っていないか棚卸ししてみるとよい。過去によく売れた品、リピートの多いメニュー、問い合わせの多い相談。その一点を来店や来場の核に据え、周辺の商品や割引を波及先として並べる。あわせて、特典を「その場で使う」ものと「次回使う」ものに分けておけば、一度の接点を二度目へ延ばせる。まずは手持ちの実績データから核になり得る一品を一つ選び、その隣に何を差し出すかを紙に書き出すところから始めたい。
参照元
最終更新:2026.09.13
