期間限定のキャラクターショップで、来店客にいくら使ってもらうか。その問いに金額の階段で答えたのが、たてごとアザラシ「しろたん」の期間限定店「しろたんふんわりストア」だ。運営する株式会社クリエイティブヨーコ(長野県長野市)は、2026年9月19日から10月29日まで、さっぽろ地下街オーロラタウンでこのストアを開く。しろたんのストアが北海道に出るのは初めてで、税込3,300円以上の購入で限定ステッカー、5,500円以上で限定缶バッジという二段の特典を組んだ。店頭企画や販促を担う人にとって、金額の閾値をどこに置けば客単価が動くのかを考える手がかりになる。
札幌の地下街で41日間、しろたん初の北海道ストア
会場はさっぽろ地下街オーロラタウン。地下鉄大通駅に直結し、通勤や買い物のついでに立ち寄れる動線だ。会期は9月19日(土)から10月29日(木)までの41日間、営業時間は10時から20時までとなる。しろたんは1999年に生まれ、「なごみ・いやし・はげまし・ふれあい」をテーマにした国産キャラクターで、ぬいぐるみや雑貨を軸にファンを積み上げてきた。その世界観を北海道で初めて常設に近い形で見せる場が今回のストアにあたる。
目を引くのは、購入額に応じて配る二段の特典設計だ。税込3,300円以上でここでしか手に入らない限定ステッカー、税込5,500円以上で限定缶バッジがもらえる。いずれも1会計につき各1点まで、数がなくなり次第終了となる。ステッカーと缶バッジという自社で作りやすいノベルティを、来店客の購入額を押し上げる仕掛けに使っている点が読みどころになる。
なぜ3,300円と5,500円に線を引いたのか
特典の金額ラインは、その店が客に狙ってほしい買い方を映す。ぬいぐるみ1点の単価が数千円のキャラクターショップでは、3,300円はぬいぐるみ1点に小物を足すか、雑貨を数点まとめる水準だ。まず低めの階段を置いて「あと少し足せば特典に届く」状態を作り、財布のひもを一段ゆるめる。
そのうえで5,500円は3,300円のおよそ1.7倍。ここに缶バッジという次の報酬を置くことで、1点で帰るつもりだった客に「もう1点」を検討させる。二段にした狙いは、単価の低いライト層と、まとめ買いをするコア層の両方から、それぞれ一段ずつ購入額を引き上げる点にある。片方だけの閾値では届かない層を、もう片方の階段が拾う構造だ。
同じ発想は他の販促でも見られる。セブン-イレブンがポムポムプリンの特典を三層に分けて出し分けた企画(ポムポムプリン30周年、セブンが特典を3層に出し分けた狙い)や、俺ガイルのPOP UPが3,000円特典で客単価を積んだ例(俺ガイル15周年POP UP、34点と3000円特典で客単価を積む)は、いずれも金額のラインを購買行動の誘導に使っている。
二段の特典で客単価はどこまで動くか
金額段階の特典は、来店客が「あといくら足せば届くか」を店頭で意識させ、追加購入を後押しする。ステッカーと缶バッジのように原価が抑えられるノベルティを閾値の報酬に据えれば、値引きよりも粗利を守りながら購入額を伸ばせる。今回のストアの設計を整理すると次のようになる。
| 購入額(税込) | もらえる特典 | 想定する買い方 |
|---|---|---|
| 3,300円未満 | なし | 小物やお菓子の単品買い |
| 3,300円以上 | 限定ステッカー(各1点) | ぬいぐるみ1点+小物、雑貨のまとめ買い |
| 5,500円以上 | 限定缶バッジ(各1点) | ぬいぐるみ2点以上、家族・友人分もまとめて |
階段を二つ置くと、3,300円手前の客には「もう少しで1つ目」、3,300円を超えた客には「あと2,200円で2つ目」という二重の動機が働く。ラインを1本にすると、その額を超えた客への追加の押し上げが弱くなる。二段設計はこの取りこぼしを減らす。
アニメ放送と会期をそろえた集客の後押し
会期の切り方にも意図が読める。クリエイティブヨーコは、10月3日からテレビ朝日系でしろたんのTVアニメ(毎週土曜午後4時29分)が始まると告知している。ストアの会期は10月29日まで続くため、アニメ放送でキャラクターへの接触が増える時期と、店頭がそのまま重なる。放送で関心を持った人が、まだ開いているストアに足を運べる。
販促担当の視点で言い換えると、外部のメディア露出と店頭の会期を切り離さず、露出が伸びる時期まで販売の受け皿を残しておく設計だ。話題のピークが過ぎてから店を閉じるのではなく、ピークに店頭を合わせに行っている。地域初出店という希少性も、この時期に来店を促す材料になる。
販促担当が自社企画に移せる3つの視点
今回の設計から、業種を問わず持ち帰れる考え方を3点挙げる。
- 特典ラインは、客に取ってほしい買い方から逆算して1段目を「あと少しで届く」高さに置く
- 2段目は1段目の1.5〜2倍を目安に、まとめ買い層をもう一段引き上げる報酬を用意する
- ノベルティは原価の低い自社制作物を選び、値引きに頼らず粗利を守りながら購入額を伸ばす
キャラクター商材に限らず、化粧品や日用品でもこの発想は移せる。低単価の日用品を金額段階で束ねて客単価を積んだ例として、アベイルのリラックマ企画(リラックマが日用品25種に、アベイルが低単価で客単価を積む)も、単価の低い商品をまとめ買いへ誘導する同じ骨格を持つ。
会期後半に向けた運営のチェック
金額段階の特典は、設計だけで完結しない。特典は「なくなり次第終了」のため、会期後半まで在庫を残せるかどうかが集客の持続を左右する。初速で配りきってしまえば、アニメ放送後の来店動機が弱まる。逆に余らせれば、閾値の設定が実際の客単価と合っていなかったことになる。会期を数区間に分けて配布ペースを見ながら、ステッカーと缶バッジの補充や告知の強弱を調整する運用が要になる。担当者はまず、自社の主力商品の平均単価を出し、そこから2割ほど上に1段目のラインを引くところから設計を始めるとよい。
参照した情報
最終更新:2026.09.15
