東レインターナショナルが2026年10月13日、2027年の干支「未(ひつじ)」を描いた「トレシー お年賀クロス」を発表した。10月下旬の発売。販促担当として読むべき数字は柄ではなく受注条件のほうだ。企業・団体向けのノベルティは一般販売より早い2026年9月から受注が始まり、受注単位は1サイズ50枚と公表されている。年末年始に配るものが数百枚ではなく数十枚で足りる規模のとき、この50枚という線がどこから出た数字なのかを押さえておくと、自社の発注でも同じ条件を引き出せる。
企業向けの受注は2026年9月に開き、出荷は11月上旬から順次始まる
発表によると、ラインアップは3種類。「ウーリーひつじ柄」は19cm×19cmが770円(本体700円)、24cm×24cmが990円(本体900円)。羊毛ツイード風の背景に一本の毛糸で一筆書きしたデザインで、トレシーが2027年に発売40周年を迎えることにあわせ、テーマは「(ご縁を)結ぶ」「(さらなる未来に)つなぐ」とされている。「和調 吉祥四君子 招福ひつじ柄」は24cm×24cmのみで990円(本体900円)、蘭・竹・菊・梅の四君子と名物裂を切嵌(きりばめ)技法で組んだ背景を使う。ペン型ミニドライバー「ペンドラ」1本と19cmのクロス1枚を合わせた「ペンドラセット」が1,100円(本体1,000円)。素材はポリエステル100%のマイクロファイバー薄地織物で日本製。回収ペットボトルなどを原料にした東レのリサイクル繊維「&+(アンドプラス)」を使う。
販売の順番は、企業・団体向けのノベルティ受注が2026年9月スタートで出荷は11月上旬から順次、一般販売は全国の眼鏡店などで11月上旬から順次、公式のオンラインショップは10月下旬から。ノベルティの受注窓口だけが2か月ほど先に開いている。
この順番は干支商品の性質から逆算すると読める。未年の柄は2027年の1年しか使えないから、売れ残りはそのまま廃棄在庫になる。先に法人の確定発注を積んでから一般流通の数量を決めるほうが、作る側のリスクは小さい。配る側から見れば9月から11月上旬が条件を交渉できる時間帯で、12月に入ってから動くと残っている箱から選ぶことになる。毎年同じ業者に同じ枚数で頼んでいる会社ほど、この前倒しのカレンダーを予算申請の時期に合わせておく価値がある。
名入れを足すと下限は100枚、500枚未満にはミニマムチャージがかかる
50枚という受注単位が小さく見えるのは、既製デザインだからだ。トレシーの公式サイトにあるオリジナルグッズ・ノベルティ作成の案内では、自社のロゴやイラストを入れる場合の条件が別に示されている。100枚未満は個別相談。インクジェットプリント(昇華転写・ダイレクト印刷)、一色印刷のパッドプリント、多色印刷のシルクプリント、ホットプレスはいずれも100枚からで、捺染プリントだけは1反という単位になる。500枚未満はミニマムチャージがかかると明記されている。
プリントできる面積にも差がある。パッドプリントは4cm×6cmまでの1色、シルクプリントは8cm×8cmまで。24cm角のクロスに社名を小さく置くのか柄として全面に載せるのかで方式が変わり、方式が変わればロットも単価も変わる。縁の処理は縫製、レーザーカット、ニット地のみ対応のギザ刃カットの3通り。
パッケージ側はさらに数字が上がる。既製のパッケージは19cm角・24cm角・30cm角のクロスに対応するが、これにオリジナル印刷を載せるなら一色印刷で500枚、多色印刷で500枚、窓の有無や型まで自由に決める完全オリジナルパッケージは1,000枚がミニマムになる。
この段差は発注の判断を単純にする。50枚で足りるなら既製の干支デザインを買う、社名を入れたいなら最低100枚で500枚までは割高を飲む、パッケージまで自社仕様にするなら500枚か1,000枚の世界に入る。ロットが100枚より少し下で止まる案件は、枚数を増やすよりデザインを既製品に寄せるほうが総額が下がる。99枚より100枚のほうが安くなるリサイクル素材のマルシェバッグのように、ロットの境界をまたいだ瞬間に単価が落ちる構造は資材側でもよく見かける。50枚前後で請ける案件としては、焼き菓子を50缶から受けて缶は発注側が用意する形もあり、既製パッケージを借りて小ロットを成立させるという考え方自体は業種をまたいで共通している。
窓口も分かれている。お年賀クロスの問い合わせは東レインターナショナルのライフグッズ部(03-3245-6446)、オリジナルプリントの相談は03-3245-6450。既製柄で足りるのか名入れが要るのかを決めてから電話したほうが、往復が1回で済む。
熨斗袋がパッケージと一体で、挨拶状のテンプレートは公式サイトに置かれている
発表のなかで実務的に効くのは、熨斗袋とパッケージが一体化していて、そのまま渡せる仕様になっているという点だ。お年賀の配布は、品物を仕入れてから熨斗を手配し、袋に詰め、宛名を書く工程が付いてくる。訪問が年始の数日に集中し、社内の人手がいちばん薄い時期に重なる。熨斗袋が最初から付いていればこの工程が消える。袋詰めの手間は枚数に比例するので、効いてくるのは単価ではなく人件費だ。
公式サイトには商品カタログのPDFに加えて、郵送用の挨拶状テンプレートが年末用と年始用の2種類、Word形式で置かれている。訪問ではなく郵送で配る会社を想定した備えで、文面を起こす時間も削れる。配る物を選ぶ段階で同梱物まで見ておく価値がある。
素材の訴求も渡す側が説明する前提で組まれている。繊維直径は約2ミクロンで、断面積比で髪の毛の約1,600分の1にあたると発表では説明されている。拭く対象はメガネレンズのほか、スマートフォン、アクセサリー、腕時計、鏡。2009年から日本ユネスコ協会連盟を通じて売上の一部を子どもの教育支援に寄付し、2023年からは災害子ども教育支援募金に切り替えた経緯も添えられている。環境配慮をうたう配布物は素材の出所を聞かれたときに答えられるかで信用が決まるので、回収ペットボトル由来という一行が商品側に用意されているのは渡す側に都合がいい。
500名のスクラッチは抽選、50枚の箱にはスピーカーが当たるカードが付く
この商品には応募施策が2つ載っている。1つは500名が当たるお年玉スクラッチカードで、発表では受注期間中に50枚(1箱)をまとめ買いした場合の特典として、LED照明搭載のワイヤレススピーカーやオーガニックコットンのブランケットなどの賞品が当たると書かれている。もう1つは公式Instagramのフォローといいねを条件に、抽選で5名へ「Kaimin Labo 肌面綿シルクダブルガーゼ」のパジャマが当たる企画で、応募期間は2026年11月4日から2027年1月31日まで。
先着と抽選の使い分けで見ると、ここは全部抽選側に振っている。500名の当選枠を先着にすると、告知初週で埋まって残りの期間は動かない景品になる。応募期間を11月4日から1月31日までの約3か月に引いた以上、松が明けたあとも応募が続く形にする必要があり、抽選のほうが期間と噛み合う。売場で引き換えて在庫を確定させたい施策なら先着のほうが読みやすい。枠の数より、期間を引きたいのか在庫を締めたいのかで決まる。
まとめ買い特典のほうは、発注する側に向いている。スピーカーやブランケットは配る物ではなく、1箱を決めた人が当てる側に回る賞品だ。事業者間の取引に付く特典は一般消費者向けの景品とは文脈が違うので、社内規程で受領の可否が決まっている会社は先に確認しておきたい。
取引価額1,000円以上なら上限は20%、その線は2027年中に動く可能性がある
770円から1,100円という価格帯のクロスを「買った人全員に」渡す設計にするなら、景品表示法の総付景品の枠を一般論として押さえておきたい。消費者庁が示している基準では、総付景品の最高額は取引価額が1,000円未満のとき200円、1,000円以上のときは取引価額の10分の2。抽選で渡す一般懸賞は別枠で、取引価額5,000円未満なら取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円が最高額とされ、総額は懸賞に係る売上予定総額の2%という制限が付く。取引価額の置き方は施策の組み方で変わるため、自社の企画がどちらに当たるかは個別に専門家へ当てるのが前提になる。
実務では、この枠に当てるために購入条件の金額を先に決める設計がよく使われる。バターバトラーが税込4,320円以上という線を引いてショッパー型のキーホルダーを渡した例のように、渡す物を決めてから条件金額を置くのではなく、条件金額から逆算して渡す物の等級を選ぶ順番になる。
そしてこの基準自体が動く可能性がある。共同通信は2026年8月29日、消費者庁が総付景品の上限金額を引き上げる方向で検討していると報じた。現行の基準は2007年から適用されているもので、円安などによる物価高騰を背景に、早ければ2027年中の改定に踏み切る方針とされている。実現すれば約20年ぶりの改定だ。未年の柄が使える2027年の1年は、購入条件の置き方そのものが変わるかもしれない年と重なる。50枚の箱を何箱置くかは11月上旬の出荷に間に合わせる話だが、条件金額は年明けに一度引き直す前提で組んでおきたい。
参照元
- PR TIMES・東レインターナショナル「干支「未」をデザインしたトレシー お年賀クロスを新発売」
- トレシー公式サイト・お年賀クロス 商品ページ
- トレシー公式サイト・オリジナルグッズ作成のカスタマイズ内容
- 消費者庁・景品規制の概要
- 熊本日日新聞(共同通信)「景品上限金額、引き上げ検討 物価高騰影響、27年にも」
最終更新:2026.10.14
