MENU

捨てるはずだった廃番ユニフォームが、周年ノベルティの原料になる

トップ業界ニュース業界ニュース
業界ニュース
2026.07.28
・読了目安 9分

捨てるはずだった廃番ユニフォームが、周年ノベルティの原料になる

ユニフォームの企画・製造・販売を手がけるカーシーカシマ株式会社(本社・栃木県佐野市、代表取締役 増田庸佑)が2026年7月27日、販売終了で役目を終えた自社ユニフォームを裁断・圧着し、ラゲッジタグと名刺入れに作り替えたと […]

ユニフォームの企画・製造・販売を手がけるカーシーカシマ株式会社(本社・栃木県佐野市、代表取締役 増田庸佑)が2026年7月27日、販売終了で役目を終えた自社ユニフォームを裁断・圧着し、ラゲッジタグと名刺入れに作り替えたと発表した。使ったのは、廃棄される繊維を何層にも重ねて熱と圧力で圧着し、板状の素材に再資源化するNUNOUS(ニューノス)というアップサイクル手法だという。ノベルティの発注担当から見ると、これは制服メーカーの環境活動という以上の話になる。倉庫で場所を取っている廃番ユニフォームは、調達費をすでに払い終えた「原料在庫」でもあるからだ。周年やイベントの記念品を新規調達するか、自社の死蔵品を素材として持ち込むか。その選択肢が一つ増えた、という読み方ができる。

目次

販売終了した自社製品を、ラゲッジタグと名刺入れに切り出した

発表によると、今回アップサイクルの対象になったのは、モデルチェンジや販売終了で役目を終えた同社のユニフォームだ。これを裁断・圧着して素材化し、ラゲッジタグと名刺入れの2品目に仕立てている。同社はリリースの中で、旅の思い出に寄り添うラゲッジタグと、新たな出会いや繋がりを生み出す名刺入れという狙いを説明している。

同社が廃棄衣料を扱うのは今回が初めてではない。これまでもディーラーや空港など、働く人のユニフォームを製品へアップサイクルする取り組みを続けてきたとしている。今回はその対象を自社の廃番品に向けた形で、制作物の点数、配布方法、価格、原料として投入した着数はいずれも公表されていない。環境負荷の削減量やCO2の数値も示されていない。数字が出ていない以上、この発表を「効果が実証された施策」として社内稟議に載せるのは無理がある。読み取るべきなのは効果の大きさではなく、出口の設計のほうだ。

問い合わせ窓口として、同社は廃棄に困っている生地や衣類の相談先にinfo@karsee.comを案内している。窓口が自社製品の回収に限定されていない点は、後述する通り、発注側にとって実務的な意味を持つ。

つくった会社が「出口」まで持つと、発注側の在庫の意味が変わる

ユニフォームの廃番は、供給側の都合で必ず発生する。デザイン改定、素材の生産終了、サイズ展開の見直し。そのたびに、まだ着られる在庫が「もう売れない在庫」に変わる。制服を導入している企業側でも同じことが起きていて、統合や社名変更、ロゴのリニューアルのたびに、ロゴ入りの旧制服がまとまって行き場を失う。ロゴが入っているぶん中古市場にも出しにくく、再流通の経路が細くなりやすい。

環境省がサステナブルファッションの資料で示しているところでは、国内でリユース・リサイクルされずに焼却・埋立などで処分される衣服は年間およそ46万トン、1日あたりに直すと約1,300トンにのぼる。手放された衣服のうち再利用・再資源化に回るのは4割程度にとどまるとされる。この数字の大半は家庭由来だが、ロゴ入り制服は再流通の経路がさらに細い。

今回の発表が示しているのは、その細い経路を、製造したメーカー自身が引き受ける形だ。同社サイトでは、ユーザーから回収したユニフォームや製造過程で出る裁断くず、廃番になった布を対象に、ボタンやファスナーを外して粉砕・圧縮成形するPANECO、そして布を重ねて圧着するNUNOUSという二つの手法を使い分けていることが説明されている。できあがる品目としてブックカバー、名刺入れ、しおり、ハンガー、コースター、サインプレート、プランターなどが挙げられている。NUNOUSは岡山県倉敷市のセイショク株式会社が展開する素材ブランドで、公式サイトには研究機関と共同開発した再生方法が特許登録済みだと記載されている。

数字が出ているのは業界統計だけ、という前提で読む

この案件で検証できる数値と、発表されていない項目を分けておく。ここを混ぜて社内資料を作ると、後で必ず突っ込まれる。

項目 内容 出所
焼却・埋立で処分される衣服 年間 約46万トン 環境省
1日あたりの処分量 約1,300トン 環境省
再利用・再資源化に回る割合 約4割 環境省
今回の原料 販売終了で役目を終えた自社ユニフォーム 発表資料
生まれ変わった品目 ラゲッジタグ/名刺入れ 発表資料
加工手法 繊維を積層し熱と圧力で圧着、板状素材に再資源化 発表資料
制作点数・価格・最小ロット 公表されていない
CO2削減量・削減率 公表されていない

廃材由来をうたうノベルティでは、素材の配合比率まで開示される例もある。ホテル向けに提案された脱プラのソーイングキットは麦わらの配合率を明示していて(麦わら約60%配合、脱プラのエコソーイングキットをホテルへ)、この手の数字があると調達側は比較検討に載せやすい。今回の発表にはその種の開示がないため、環境訴求のコピーを外向けに書くなら、削減量を語らず「自社の廃番品を原料にした」という事実だけで組み立てるのが安全な線になる。

メーカー・素材元・行政、それぞれが言っていること

発表の周辺で、立場の違う三者がそれぞれ別のことを主張している。整理しておくと、この施策の輪郭がはっきりする。

カーシーカシマ(ユニフォームメーカー)は、製品をつくって終わりではなく、役目を終えた後の出口まで責任を持つ姿勢を示し、アップサイクルを含めた付加価値提案を行っていると説明している。自社製品に限らず、廃棄に困っている生地や衣類の相談を受け付けるとも書いている。売り切り型のメーカーが、回収と再加工を営業の入口に据え直している構図だ。

セイショク(NUNOUSの提供元)は、公式サイトで、繊維の色や風合いを残したまま素材化できること、一点ごとに柄や色合いが異なることを素材の特性として挙げている。廃棄物を見えなくするのではなく、模様として見せる方向に振っている点が、汎用リサイクル素材との違いになる。

環境省は、サステナブルファッションの枠組みで、手放された衣服の再資源化率の低さを繰り返し示している。制服はロゴという再流通の障壁を抱えるぶん、この課題の中でも扱いにくい部類に入る。

周年ノベルティに置き換えるなら、配布条件をどこで切るか

ここからが発注側の話になる。自社の廃番ユニフォームを原料にした記念品を作ると仮定して、設計上ほどける論点は四つある。

原料の量が配布数の上限を決める

通常のノベルティは、予算が数量を決める。この方式は逆で、倉庫にある廃番在庫の量が上限を決める。追加で作りたくなっても、同じ廃番品はもう手に入らない。つまり企画の初手は、デザイン決めでもコピー決めでもなく、在庫の実数カウントになる。何着あるのか、素材構成は混在しているのか、ボタンやファスナーの付属品はどう扱うのか。ここが確定しないと、配布対象を社員全員にするのか、勤続表彰者だけにするのか、取引先向けにするのかも決められない。

「先着◯名」ではなく「該当者全員」に振るほうが噛み合う

小売や飲食のノベルティは、購入額や来店回数で閾値を切って回遊を作る設計が主流だ。2店舗を回ると特製タオルという周年施策のように、条件を跨がせること自体が目的になる場合もある(2店舗を回ると特製タオル、あみあみ秋葉原の周年回遊キャンペーン)。ただし原料が有限で追加生産が効かない品では、閾値を切って余らせるリスクと、足りずに不公平を生むリスクの両方が立つ。勤続年数や入社年次のように、対象者数が事前に確定している切り方のほうが相性がいい。社外配布なら、来場者全員ではなく、商談に至った先だけに絞る。

一点物であることを、告知の中で先に潰しておく

圧着で積層した素材は、一点ごとに柄や色合いが異なる。ノベルティとしては個体差がそのまま価値になる一方、受け取る側から見れば「隣の人のほうが柄がいい」が発生する。配布現場で選ばせる運用にするか、封をして配るか。この判断を後回しにすると、当日に列と不満が生まれる。告知文の時点で個体差を明記し、選べるのか選べないのかを書いておくほうが揉めない。

渡した後にもう一度接触する導線を、品目側に仕込む

今回選ばれた2品目の性格は分けて考えたほうがいい。ラゲッジタグは持ち主の私物に付いて社外を移動する。名刺入れは商談のたびに相手の視界に入る。どちらも、配った瞬間で終わらず、持ち歩かれるほど露出が積み上がる種類の品だ。実用品の保持率とサステナブル素材の評価については業界調査でも取り上げられており(ASI「2026年版広告接触効果調査」の5大知見)、配布数より保持期間で効果を測る設計に寄せる余地がある。素材の由来を説明する一枚のカードを同梱するかどうかで、受け取った側が話題にできるかが変わる。原料が自社の旧制服だという背景は、説明されなければ伝わらない。

制服を持つ企業が「原料の売り手」側に回る可能性

この動きが広がると、制服を導入している企業の立場が少し変わる。これまで廃番制服は処分費を払って手放す対象だった。回収して素材化する経路が用意されるなら、同じ在庫が記念品の原料に振り替わる。処分費の支出が、ノベルティ予算の一部に置き換わる計算だ。

ただし、うまくいく条件は限られる。ロットがまとまること、素材構成が把握できていること、回収から納品までのリードタイムが周年の日程に間に合うこと。この三つが揃わないと、通常調達のほうが安く早い。とくに周年施策は日付が動かせないので、在庫の棚卸しから逆算した準備期間を取れるかが実務上の分かれ目になる。

もう一点、廃番在庫を原料に回す判断は総務や購買の管轄にまたがる。販促担当が単独で決められる範囲を超えやすいので、企画段階で在庫の所管部署を巻き込んでおきたい。

問い合わせ前に押さえておく項目

項目 内容
発表日 2026年7月27日(PR TIMES)
発表元 カーシーカシマ株式会社
本社 栃木県佐野市戸奈良町1022
東京支店 東京都中央区銀座5-13-16
設立 1961年1月11日
代表者 代表取締役 増田庸佑
問い合わせ info@karsee.com
相談できる対象 廃棄に困っている生地・衣類(自社製品に限定した記載はない)
今回の加工手法 NUNOUS(提供元:セイショク株式会社)
価格・最小ロット・納期 公表されていない(要問い合わせ)

問い合わせの前に社内で固めておきたいのは、次のような点だ。

  • 廃番・回収予定のユニフォームの着数と保管場所
  • 素材表示(混紡の有無)と、ボタン・ファスナーなど付属品の状態
  • ロゴや刺繍が入っている箇所と、それを残すか消すかの方針
  • 記念品の配布予定日と、そこから逆算した回収・加工の期限
  • 配布対象者の確定人数と、予備分を何割持つか

まとめ

今回の発表そのものは、制作点数も価格も出ていない小さなニュースだ。それでも販促の実務に引き寄せる価値があるのは、記念品の原料を外から買うのではなく、社内の死蔵在庫から出すという発注の順番の入れ替えを、具体的な品目で見せているからだ。ラゲッジタグと名刺入れという選択も、配って終わりではなく持ち歩かれる品を選んでいる点で理にかなっている。

次の周年やキックオフを控えているなら、企画書を書く前に倉庫を見に行くほうが早い。廃番になった制服、旧ロゴのポロシャツ、イベント用に作って余ったユニフォーム。着数を数えて素材表示を控えるところまでやれば、素材化を扱う事業者に相談する材料は揃う。環境訴求の数値は公表されていないので、社外向けのコピーは削減量を語らず、原料の出どころを言い切る書き方にしておく。数字を盛らずに事実だけで押すほうが、この種の記念品は長く説明が効く。

参照元:PR TIMES(カーシーカシマ株式会社)カーシーカシマ 会社概要カーシーカシマ アップサイクルNUNOUS(セイショク株式会社)環境省 サステナブルファッション

製品カタログ・価格表は資料にまとまっています
全製品カタログ+ロット別価格表を無料でダウンロード。
資料を見る
編集:食品ノベルティの窓口 編集部(株式会社Agriture)
農業×食のOEM窓口として、業界動向を編集部がまとめています。
最終更新:2026.07.28
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

目次

まずはお気軽にお問い合わせください

ノベルティの窓口について

会社概要資料はこちら

資料をダウンロード
事業連携・商品について

お問い合わせ

お問い合わせはこちら
取り扱い商品のリストはこちら