ぷよぷよ35周年を記念したPOP UPが、2026年8月28日から9月6日まで新宿マルイ アネックス2Fの「Annivroad by Bushiroad Creative Store」で開かれる。企画は株式会社ブシロードクリエイティブ。目を引くのは特典の組み方で、対象商品を1会計3,000円(税込)買うごとにランダムのホログラムステッカー1枚(全11種)、さらにエポスカードでの購入か提示(現金払い可)でもう1枚もらえる。同じ会計で当たる枚数が実質2倍になる設計だ。自社イベントを商業施設で開く販促担当にとって、会場が持つ会員・決済の仕組みをどこまで特典に取り込めるかを考える題材になる。
3,000円で1枚、エポスを絡めるともう1枚——枚数が2倍になる会計設計
特典の骨格は二層だ。一層目は購入金額の閾値で、対象商品を1会計3,000円ごとにステッカー1枚。全11種のランダム配布なので、コンプを狙う来場者は買い足す動機を持つ。商品価格帯は550円〜4,400円(税込)と幅があり、小物を足して3,000円の区切りに寄せやすい価格構成になっている。
二層目がエポスカードの絡め方だ。エポスカードで支払う、もしくはカードを提示して現金で払うと、同じ会計でランダムのステッカーがもう1枚付く。3,000円で1枚が、エポスを絡めるだけで2枚になる。当たり枚数が倍になるので、11種を揃えたい人ほどカードを出す理由が生まれる。3,000円という閾値の置き方は、パトレイバーEZYが3,000円で全6種ステッカーを配った設計と同じ水準で、種類数を11種に増やして反復購入の余地を広げている。
会場が新宿マルイだから成り立つ、丸井グループのカードを特典に載せる発想
この二段構えが自然に組めるのは、会場が新宿マルイ アネックスだからだ。エポスカードは丸井グループが発行する自社カードで、館内での利用・提示を特典に結びつけても座組みに無理がない。主催のブシロードクリエイティブ側から見れば、ステッカー1枚分の原価を追加するだけで、会場側の決済インフラと会員基盤に接続できる。景品の増刷という比較的軽いコストで、来場者の会計単価とカード接点を同時に動かす構図になる。
会場のプラットフォームが持つ資産を特典に取り込む考え方は、周年POP UPの定番になりつつある。抽選の入口にカードを置くゴールデンカムイがエポス会員を増やした仕組みや、SAKAMOTO DAYSが抽選の入口にエポスカードを置いた事例と並べると、IPグッズの現場でカード接点を作る型がいくつも走っているのがわかる。
「利用」ではなく「提示でも1枚」、非会員を締め出さない間口
見落としやすいが、この特典はエポスでの決済を強制していない。カードで払っても、提示して現金で払っても、追加の1枚が付く。ここが客単価だけを追う設計との分かれ目だ。カード保有者は使う・見せるだけで得をし、非保有者はその場で入会すれば同じ得が手に入る。決済手段を絞り込むのではなく、会員かどうかで得の幅を変える間口の作り方になっている。
販促担当がこの型を持ち帰るとき、注意したいのは「二重取り=決済誘導」と単純化しないことだ。実際に効いているのは、館の会員制度への接点を来場動機とグッズ欲に重ねた点にある。決済比率を上げたいのか、会員数を増やしたいのか、目的をどちらに置くかで、提示可否や現金対応の設計は変わる。
商業施設でイベントを開く販促担当が交渉できる接点
自社の周年やコラボを商業施設のPOP UPで実施するなら、会場側と詰めておきたい論点がある。ブシロードクリエイティブの設計を分解すると、交渉の的が見えてくる。
- 会場が自社カードや会員アプリを持つ施設か。持つなら、利用・提示への上乗せ特典を主催負担の景品でまかなえないか
- 閾値は会計単価の中央値に合わせる。550〜4,400円の品揃えで3,000円ごとに区切ると、あと1点の買い足しが起きやすい
- ランダム配布の種類数は反復来店の設計と連動させる。全11種なら1回では揃わず、会期中の再訪を促せる
- 撮影スポットなどの有料体験(今回は1回1,000円・フレーム全11種)を併設し、購入以外の滞在時間と単価を作る
会期は8月28日から9月6日までの10日間。短い会期で会員接点と客単価を両取りするために、特典の層を分けて別々のスイッチを押している。
周年グッズを、会場の会員制度に接続する
ぷよぷよ35周年のPOP UPは、周年の話題性を入口にしながら、会場の決済・会員基盤を特典の側から引き込んだ事例だ。3,000円ごとに1枚、エポスカードを絡めてもう1枚、全11種で揃え直させる——それぞれが別の行動を促す。商業施設を借りるとき、会場が持つカードやアプリは、景品予算とは別に使える「もう一段の特典原資」になる。
会場を箱として借りて終わるか、その会員制度ごと特典に編み込むか。同じ予算でも、この選び方が回収の幅を二倍にも半分にも振る。
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最終更新:2026.08.17
