そごう大宮店が7月30日(木)から8月9日(日)まで、7階催事場で3つのIPのポップアップを同時に開く。並ぶのは「JURASSIC WORLD THE VILLAINS POP UP SHOP」「Back to the Future POP UP SHOP」「MINECRAFT POP UP STORE」の3本で、このうちジュラシック・ワールドには1回税込1,650円、所要20〜30分程度の「化石掘り体験」が併設される。物販の棚に、料金を取る滞在時間が一本足された構成だ。販促担当が見るべきは恐竜そのものではなく、グッズを買うつもりのない同伴者からも売上が立つ二階建ての売り場設計のほうだろう。
7階催事場に3IPが同居し、恐竜だけが有料の窓口を持つ
株式会社そごう・西武が7月27日に出したリリースによると、会場はそごう大宮店7階催事場、会期は7月30日から8月9日までの11日間。3つのポップアップが同じ床に並ぶ編成で、有料の体験が明記されているのはジュラシック・ワールドだけだ。「化石掘り体験」は1回税込1,650円、所要は20〜30分程度と案内されている。巡回元であるGRANUPのリリースによれば、発掘できるのはモササウルスの歯、スピノサウルスの歯、アンモナイトの3種類だという。
体験の条件について、リリースには注意書きが添えられている。「化石は天然物のため個体差があります。」「数量限定のため、なくなり次第終了となります。」「発掘キットのお持ち帰りはできません。化石のみお持ち帰りが可能です。」——この3行が、体験の在庫と原価をどこで握っているかをそのまま示している。
グッズ側は、Tシャツ(KV)が税込4,950円、タケウチリョースケ キッズTシャツが税込3,960円、フード付きキッズTシャツが税込4,620円、A2ポスターが税込1,650円、連絡ビニールバッグが税込1,100円、クリアファイルが税込660円、ステッカーが税込500円と示されている。Back to the FutureとMINECRAFTについては、リリースに個別の価格の記載がない。
買わない同伴者を「客数」で終わらせない仕組み
IPのポップアップは、来場者の内訳が最初から二つに割れている。グッズ目当てで来た本人と、付き添いで立っているだけの家族だ。物販一本の催事では、後者は客数にはカウントされても売上にはならない。夏休みの平日に子ども連れで百貨店の催事場へ足を運ぶ組み合わせなら、この付き添い側の比率はさらに上がる。
化石掘り体験の1,650円は、その付き添い側が払う可能性のある金額として置かれている。子どもがTシャツを欲しがらなくても、20〜30分その場に座って手を動かす時間には親が支払う。しかも名目が「グッズ」ではなく「体験」なので、財布の判断基準が変わる。同じ1,650円でも、ポスターを1枚買うより体験のほうが通りやすい家庭は珍しくない。
体験と購買を接続した販促は他にもあり、埼玉では購入者特典のガチャが約1時間で完売した岩槻朝顔市の事例が報じられている(購入者特典ガチャ175個が約1時間で完売、岩槻朝顔市の体験型販促)。ただしあちらは購入者に限った特典で、非購入者から直接代金を受け取る今回とは資金の入口が違う。
1,650円という値付けが置かれた場所
| 品目 | 税込価格 |
|---|---|
| 化石掘り体験(1回・所要20〜30分程度) | 1,650円 |
| A2ポスター | 1,650円 |
| 連絡ビニールバッグ | 1,100円 |
| クリアファイル | 660円 |
| ステッカー | 500円 |
| キッズTシャツ | 3,960円 |
| フード付きキッズTシャツ | 4,620円 |
| Tシャツ(KV) | 4,950円 |
出典:株式会社そごう・西武のプレスリリース(2026年7月27日配信)に記載された価格。Back to the Future/MINECRAFTの価格は同リリースに記載がない。
体験1回はA2ポスター1枚とちょうど同額。ステッカー3枚分より少し高く、キッズTシャツの半額以下に収まる。棚の中では中位の価格帯で、「グッズを1点買うか、体験を1回やるか」を天秤にかけさせる位置にある。物販の最上位価格である税込4,950円を超えない設定なので、体験がグッズの購買予算を丸ごと食う組み立てにはなっていない。
持ち帰れるのは化石だけで発掘キットは回収される、という条件も値付けと直結している。キットが手元に戻れば繰り返し使え、出ていく原価は化石と消耗品に寄る。数量限定でなくなり次第終了と明記されている以上、用意した化石の本数がそのまま体験売上の上限を決めることになる。
19会場のうち体験実施は6会場、運営は置く店を選んでいる
ポップアップを手がける株式会社GRANUPのリリースには、7月・8月の開催会場が19並ぶ。そのうち化石掘り体験の実施が明記されているのは、FKDインターパーク、イオンモール宮崎、心斎橋PARCO、イオンモール名取、そごう大宮、アミュプラザ熊本の6会場。同じ商品構成を巡回させながら、体験は3分の1以下の会場にしか置いていない。
選定の理由はどちらのリリースにも書かれていないので、そこは推し量らない。実務として読み取れるのは、体験の併設が什器を並べる以上の負荷を伴うという事実のほうだ。物販は棚とレジで回るが、体験は面積・滞在時間・立ち会うスタッフを同時に食う。全会場には展開できないものを、会期11日間の百貨店催事に入れている——その判断自体が、そごう大宮に置く期待値の高さを表している。
公表されている条件と、まだ書かれていないこと
GRANUPのリリースは、全会場共通の購入特典として特製蓄光スタンドポスター(約H300×W200mm)を挙げている。ただし金額の条件は同じリリースの中で二通り書かれている。本文は「7月17日以降、会場にて税込2,200円お買い上げごとに」、その直後の【対象条件】欄は「税込3,000円お買い上げで1点プレゼント」。前者は倍数で積み上がる書き方で、後者は一度きりの足切りだ。閾値の金額も、繰り返しカウントされるかどうかも一致していない。そごう大宮の会期は7月30日開始なので本文の但し書きの範囲には入るが、どちらが店頭の運用になるかはリリースだけでは決まらない。特典の注意書きは、特典はなくなり次第終了、レシートの合算は不可、特典缶バッジの絵柄は選べない、詳細は各会場の告知で確認、の4点。心斎橋PARCOとマルイファミリー溝口では特別缶バッジの追加特典があるとも記載されている。
一方で、そごう大宮店の会期中の営業時間、化石掘り体験の定員・実施時間帯、予約の要否、そして体験料が特典の買い上げ金額に算入されるかどうかは、いずれも公表されていない。GRANUPのリリースにも「開催時間は店舗ごとに異なります」とあるだけだ。来場を予定するなら、特典の閾値がいくらになるのかも含めて、店舗の告知を直前に確認しておきたい。
購入額に連動して特典を出す設計は他社のポップアップでも使われており、買い上げ金額でノベルティを段階的に出し分ける例もある(ChroNoiR8周年POP-UP、購入額連動ノベルティの設計)。金額の閾値を設ける施策は景品表示法の総付景品に関するルールが関わってくるため、条件を確定する前に自社の法務や所管窓口へ個別に確認する。業界の慣行や他社の条件をそのまま写して判断できる領域ではない。
体験枠は面積ではなく「席×時間」で採算を組む
自社の催事に有料体験を足すとき、物販と同じ坪単価の発想で電卓を叩くと数字が合わない。体験の売上上限は、席数×稼働時間÷1回あたりの所要時間×単価で決まる。今回の条件をそのまま当てはめると、1回20〜30分なので1席あたり1時間で2〜3回、単価1,650円なら1席1時間あたり3,300〜4,950円が理論上の天井になる。席を増やさない限り、行列がいくら伸びても売上は伸びない。
席を増やせない以上、次に効くのは待ち時間の置き場所だ。行列に並ばせ続けるのではなく時間を割り当てて、空いた時間を物販フロアの回遊に変える——2店舗を回らせて特典を渡す設計(2店舗を回ると特製タオル、あみあみ秋葉原の周年回遊キャンペーン)と発想は近い。時間を指定して一度帰す運用にできれば、その顧客は戻ってくることが確定した来場者に変わる。ただし、GRANUPのリリースで整理券に触れているのは恐竜のグリーティングに付いた注記で、そごう大宮はそのグリーティングの実施会場に入っていない。化石掘り体験に整理券が出るかどうかは、公表資料からは読み取れない。
ノベルティを扱う側から見て手つかずなのは、持ち帰り物のほうだ。体験後に家に残るのは天然の化石そのもので、キットは会場に戻る。つまり手元に残るのは、催事名も店名も入っていない小さな石になる。標本を収める台紙や小箱、体験日と会場名を書き込める簡易カードを添えれば、記憶に固有名詞が付いて残る。名入れの単価が数十円台に収まる紙物でも、1,650円の体験に添える一点としては十分に働く。
物販だけの催事から、時間を売る催事へ
3つのIPを同じ床に並べる編成にも読みどころがある。ジュラシック・ワールドは子ども連れ、Back to the Futureは映画世代の大人、MINECRAFTはゲーム層と、想定される客層が重ならない。同じ面積で三つの入口を作りつつ、滞在時間を生む仕掛けは恐竜側に一つだけ置いた。子どもが手を動かす行為と最も相性の良いところへ体験を寄せた形になる。
百貨店の催事場を物販の坪効率だけで見ると、条件は年を追って厳しくなっている。そこへ時間課金の窓口を混ぜると、売場は在庫を売る場所と時間を売る場所の二重構造になる。IPの許諾を取ってグッズを並べるところまでは、多くの事業者ができるようになった。差がつくのは、その隣に何分の有料コンテンツを置けるかだ。
実用情報(そごう大宮店・3IPポップアップ)
| 会期 | 2026年7月30日(木)〜8月9日(日)/11日間 |
|---|---|
| 会場 | そごう大宮店 7階 催事場 |
| 所在地 | 〒330-9530 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-6-2 |
| 電話 | 048-646-2111(大代表) |
| 出展IP | JURASSIC WORLD THE VILLAINS POP UP SHOP/Back to the Future POP UP SHOP/MINECRAFT POP UP STORE |
| 有料体験 | 化石掘り体験 1回 税込1,650円(所要20〜30分程度) |
| 体験の注意 | 化石は天然物のため個体差あり/数量限定でなくなり次第終了/発掘キットの持ち帰り不可・化石のみ持ち帰り可 |
| 購入特典 | 特製蓄光スタンドポスター(約H300×W200mm)1点。金額条件はGRANUPリリース内で「7月17日以降、税込2,200円お買い上げごとに」(本文)と「税込3,000円お買い上げで」(対象条件欄)の2表記が併存。レシート合算不可 |
| 体験実施会場 | GRANUP掲載の19会場中6会場(そごう大宮を含む) |
| 営業時間・定員・予約・整理券 | いずれもリリースに記載なし(店舗の告知で要確認)。GRANUPリリースの整理券の注記はグリーティング向けで、そごう大宮は同企画の実施会場外 |
| 発表 | 株式会社そごう・西武/2026年7月27日配信 |
権利表記は、リリースに「© Universal City Studios LLC and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved.」と「© 2026 Mojang AB. All Rights Reserved.」を含む2件が掲載されている。社内資料や自社の告知へ画像・名称を転載する場合は、権利者ごとの許諾条件を個別に確認する。
会期中に数えておきたいもの
この催事は7月30日に始まり、8月9日に終わる。自社の催事へ有料体験を組み込む可能性があるなら、会期中に一度足を運んで数字を持ち帰るのが早い。席数、1回転あたりの実所要時間、整理券や時間指定が出るかとその時刻、体験待ちの間に物販レジへ流れる人の割合。この4つは現地でしか取れない。
持ち帰った数字は、そのまま自社案の試算に使える。席数と稼働時間から売上の天井を出し、体験に添える名入れアイテムの単価を乗せ、購入額の閾値を設けるなら法務確認を先に回す。企画書に「体験」の二文字を足すかどうかは、恐竜が好きかどうかではなく、この計算が合うかどうかで決まる。
参照元:PR TIMES/株式会社そごう・西武/PR TIMES/株式会社GRANUP
最終更新:2026.07.28
