アニメ「ハイキュー!!」のグッズショップ「ハイキュー!! 頂ストア」が、2026年8月から百貨店を舞台に巡回を始めた。東京は京王百貨店 新宿店7階の大催場で8月6日から18日まで、大阪は大丸梅田店7階の特設会場で8月29日から9月15日まで。同じ企画を都市を移して開く「ツアー型」の催事だが、注目したいのは東京と大阪の会期が重なっていない点だ。ここには、催事とグッズ販売を組み立てる販促担当が持ち帰れる設計思想がある。
京王新宿は8月18日で終わり、大丸梅田は8月29日に開く
まず日程を整理する。東京会場(京王百貨店 新宿店)は8月6日〜18日の13日間、大阪会場(大丸梅田店)は8月29日〜9月15日の18日間。東京の最終日から大阪の初日まで、あいだに11日間の空白がある。二会場は一日も重ならない。
同時多発でドンと開くのではなく、あえてずらす。この判断には理由がある。人気IPの催事は、什器・在庫・限定品・運営スタッフといった資源を一箇所に寄せられるほど熱量が上がる。会期をずらせば、東京で使った什器やレイアウト、売り場運営のノウハウをそのまま大阪へ持ち込める。限定グッズの在庫も、東京の実売を見てから大阪ぶんを厚くする、といった中間調整がきく。同時開催なら分散していた資源を、時間軸をずらすことで「一会場ぶんの濃さ」に保ったまま横展開できるわけだ。
ファン側の動きも読める。東京在住でも「梅田のほうが行きやすい会期」という人は大阪へ回れるし、関西のファンは自分の街に来るまで待てる。会期が重ならないから、SNS上の話題も東京→大阪へと途切れずリレーしていく。開幕日の描き下ろし公開が二度、時間差で盛り上がりを作る構造になっている。
全8校の主将を新しく描き下ろした「ここでしか買えない」設計
頂ストアの核は、新規描き下ろしイラストだ。烏野高校・青葉城西高校・音駒高等学校・伊達工業高校・白鳥沢学園・梟谷学園・稲荷崎高等学校・戸美学園という全8校の主将を、この催事のために新しく描き下ろしている。主人公チームだけでなく、対戦校の主将まで横並びで揃えたのが効いている。
販促の視点で読み解くと、これは「来場しないと手に入らない理由づくり」である。既存の絵柄の再販ではなく、この会期・この会場に紐づいた新ビジュアル。だからファンは「後でいい」と思いにくい。推しの学校が一校でも入っていれば、その一校のために足を運ぶ動機になる。8校ぶん用意することで、刺さる入口を8方向に広げているとも言える。自社の販促に置き換えるなら、配布ノベルティや限定グッズに「その場・その期間だけの新しい絵柄や仕様」を一点差し込むだけで、来店・来場の動機は大きく変わる。
北海道から熊本まで、需要を「面」で刈り取る巡回ツアー
頂ストアは東京・大阪で終わらない。報道によれば、北海道、青森県、宮城県、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、静岡県、愛知県、京都府、兵庫県、岡山県、愛媛県、福岡県、熊本県での巡回が予定されている。都市部の一等地だけでなく、地方の百貨店・催事場まで下りていく設計だ。
ここに巡回型の狙いがはっきり出る。人気IPのグッズ販売は、都市の旗艦店に集めれば効率はいい。だが地方のファンにとって「東京か大阪まで行かないと買えない」は高い壁になる。会期をずらしながら16府県を順に回れば、その壁を一つずつ外していける。各地では「自分の街に来る」希少性が働き、都市部で買い逃した人の受け皿にもなる。ひとつのビジュアル・ひとつの什器セットを使い回しながら、需要を点ではなく面で拾っていく。催事という形式が持つ機動力を、そのまま販路設計に変えている。
トレーディング品と高単価アイテムで客単価を積む品揃え
グッズの構成にも設計がある。頂ストアには、中身がランダムに決まるトレーディング仕様の小物(アクリルキーホルダー、缶バッジ、クリアカードなど)と、一点ものとして選んで買うアクリルスタンド、そしてタオルやTシャツといった単価の高いアパレル系が並ぶ。
この組み合わせは客単価を積み上げる典型的な設計だ。ランダム品は「推しが出るまで」複数個を回させる力があり、購入点数を押し上げる。一方で確実に手元へ残したいファンには、選べる一点ものや実用度の高いタオル・アパレルが用意されている。低単価で数を買わせる層と、高単価でまとめて満足させる層を、同じ売り場で同時に取りにいく。企業の販促でも、先着ノベルティのような入口の一品と、価格帯を上げた記念グッズを段階で設計すれば、一人あたりの接触点と単価を同時に伸ばせる。(価格は会場・公式発表を優先。本稿では確認できた分類のみを記載した)
販促担当が頂ストアから持ち帰れる、催事×会期ずらしの型
頂ストアの設計を、自社の販促に翻訳するとこうなる。第一に、限定グッズは「その場・その期間の新しい絵柄や仕様」を一点差し込むだけで来場動機が跳ねる。第二に、複数会場を同時ではなく会期をずらして回せば、什器・在庫・運営を濃いまま横展開でき、話題も途切れずリレーする。第三に、都市の旗艦から地方の催事場まで会期を分けて下りていけば、都市で取り逃した需要を面で回収できる。
京王新宿の13日間と大丸梅田の18日間、そのあいだの11日間の空白は、単なる日程の都合ではなく、資源を一会場ぶんの濃さに保つための間合いだ。イベントや催事でノベルティ・限定品を扱うなら、開催地を広げる前に「どの順番で、どれだけ間を空けて回すか」を先に描いておきたい。
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参照元
- にじめん「『ハイキュー!!』頂ストアが8月6日開幕!各校主将の新規描き下ろし公開、京王百貨店新宿店からスタート」 https://nijimen.kusuguru.co.jp/topics/627498
- コラボカフェ「ハイキュー!! 頂ストア in 東京・大阪 8月6日より開催!」 https://collabo-cafe.com/events/collabo/haikyu-itadaki-popup-store-tokyo-osaka2026/
- 「ハイキュー!!」公式サイト https://haikyu.jp/
最終更新:2026.08.13
