セブン‐イレブン・ジャパンが2026年9月25日に発表した企画は、札幌市内の342店舗(2026年8月末時点)とレバンガ北海道のホームゲーム会場を、ひとつのポイント台の上に載せた。店舗での読み取りで1ポイント、試合会場での読み取りで2ポイント、対象商品のレシート登録で2ポイント。会期は9月26日から10月12日までの17日間で、貯めたポイントの引き換えは10月18日まで受け付ける。販促担当が見るべきは選手スタンプの絵柄ではなく、この配点と引き換え条件の置き方だ。
札幌のセブン342店と試合会場で、ポイントが1・2・2に分かれた
動いているのは4社だ。セブン‐イレブン・ジャパンが店舗網を出し、レバンガ北海道がIPとコンテンツを提供して会場側の展開を受け持ち、SUSHI TOP MARKETINGがNFTスタンプラリーのシステムと技術を提供し、北海道コカ・コーラボトリングが対象商品と先着特典クーポンを出している。参加者から見れば窓口はコンビニ1社だが、費用と景品の出どころは分かれている。
店舗は1店1日1回、位置情報の許可も要る
店内に置かれた二次元コードを読み、位置情報を確認するとスタンプが付く。同一店舗では1日1つまでで、日付が変わると同じ店でまた取れる。別の店なら同じ日に何度でも加算できる。特設サイトは来店スタンプについて位置情報(GPS)の利用許可を求めており、発表文にはこの条件が書かれていない。専用アプリの導入は不要で暗号資産ウォレットも準備しないが、セブン‐イレブンのLINE公式アカウントの友だち追加と初回認証は必要で、入口は無条件ではない。
レシートは対象3品の種類ごと、同一商品は1回まで
購入で加算される対象は綾鷹650mlPET、い・ろ・は・す北海道の天然水540mlPET、アクエリアス500mlPETの3品。1枚のレシートでも対象商品の種類ごとに加算され、同一商品は1回まで、1会計1商品1つまでとなる。レシートは何枚でも登録できる。3品をまとめて買えば1枚のレシートで6ポイントに届く刻みで、点数の置き方が買い方を誘導している。
5ポイントと10ポイントは達成ではなく消費、貯め直しが前提だ
引き換えるとポイントは引かれ、払い戻しはない
ここが読み違えやすい。発表文の見出しは「5ポイント達成特典」「10ポイント達成特典」で、例として20ポイントで2回、30ポイントで3回と書く。一方で特設サイトの利用手順には、クーポン発行時に5ポイント、抽選応募時に10ポイントを消費すると明記され、消費したポイントは払い戻しできないと注記されている。同じ企画で「達成」と「消費」の2つの言い方が並んでいる。合計点が閾値を超えたら両方もらえる設計ではない。15ポイント貯めてクーポン1回と抽選1回に使えば残りは0になる。回数の上限はないので、参加者は会期内に「貯める、使う、貯め直す」を繰り返す。自社で似た形を組むなら、社内の説明資料でここを「達成特典」と書くか「消費」と書くかで、問い合わせの量が変わる。
先着5,000本と抽選61点で、在庫の減り方が違う
5ポイントで得られるのはコカ・コーラ500ml缶の無料引換クーポンで、先着5,000本に達し次第終了する。人数ではなく本数の上限で、1人が何本でも取れる。10ポイントの抽選は後日で、当選賞品は合計61点。全選手のサイン入りユニフォームが1点、サイン入りトートバッグとフェイスタオル、ホームゲームのペア観戦チケットが計60点だ。トートバッグとフェイスタオルに入るサインはランダムと注記されている。落選者への個別通知はなく、当選後にアンケートへ回答しないと当選が無効になる場合がある。
条件と特典を1枚に並べると、自社案との差が見える
| 取得経路 | 加算 | 制限 |
|---|---|---|
| 店舗の二次元コード | 1ポイント | 同一店舗は1日1つ、位置情報の許可が必要 |
| 試合会場(北海きたえーる) | 2ポイント | 対象は9月26日・27日、10月3日・4日の4日程 |
| 対象商品のレシート登録 | 2ポイント | 対象3品、同一商品は1レシート1回、1会計1商品1つ |
| 特典 | 必要ポイント | 上限 | 受付 |
|---|---|---|---|
| コカ・コーラ500ml缶の無料引換クーポン | 5ポイント(発行時に消費) | 先着5,000本 | 10月18日まで |
| グッズ・ペア観戦チケットの後日抽選 | 10ポイント(応募時に消費) | 当選は合計61点 | 10月18日まで |
点の重みを変える手は、他の施策でも分かれている
加算幅で行動を振り分ける形は他社にもある。dポイントの10月施策では、ためる条件が10・1・100と分かれていて、施策ごとに倍率の刻みを変えている。本件は1・2・2という狭い幅で、来店を主食に据えたまま購入と来場をわずかに上に置いた設計だ。倍率を大きく開けるほど、参加者は高い方の経路にしか動かなくなる。
参加の入口に何を置くかで、歩留まりが変わる
入口の条件は本件のLINE友だち追加だけではない。缶バッジをLINE追加と来店の組み合わせで配った例では、上位のピンバッジに4千円以上という購入金額の線を引いていた。金額で切るか、来店回数で切るか、アカウント連携で切るか。本件は金額の線を引かず、代わりに店舗数と日数で回数を稼がせている。
景品表示法の線は、来店だけで配るなら200円で止まる
取引価額は原則100円、総付景品の上限は200円
消費者庁の運用基準では、購入を条件とせず店舗への入店者に景品類を提供する場合の取引の価額は原則として100円とされ、その店舗で通常行われる取引の価額のうち最低のものが100円を超えると認められるときはその額を取引の価額とすることができる。総付景品の最高額は取引価額1,000円未満で200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2だ。購入の申し込み順や来店の先着順で配るものは総付景品に当たると消費者庁が明記しているので、先着で配るノベルティは懸賞ではなくこの線で測ることになる。抽選のほうは一般懸賞で、取引価額5,000円未満なら最高額は取引価額の20倍、総額は懸賞に係る売上予定総額の2%が限度になる。
共同で乗せると合算、社名入りでも自動で外れはしない
同一の取引に付随して2つ以上の景品提供が行われる場合、同じ事業者が別々の企画として行っても合算した額を提供したことになり、他の事業者と共同して行う場合は共同した各社がそれぞれ合算した額を提供したものとして扱われる。本件のように飲料メーカーとチームが同じ台に景品を出す形では、自社分だけを見て上限内に収まったと判断できない。社名入りについても、事業者名を広告するために提供する物品で「適当な限度のもの」が宣伝用の物品として除外の対象とされ、挙げられている例は社名入りのカレンダーやメモ帳だ。社名を刷れば上限を外れる、という読み方はできない。
自社で回すなら、配点表とロットを先に作る
抽選に寄せると在庫は軽いが、事務が増える
本件の景品構成は、先着5,000本の飲料クーポンと61点の抽選という二層だ。抽選側は点数が少ないので単価の高い品を置けるが、当選通知、送付先アンケート、未回答時の扱いという運用が付く。先着側は数量が読めるので原価を先に固定できる。飲食店分のスタンプがないと抽選対象外になるスタンプラリーのように後から対象条件を足す形にすると、集めた側の不満が出やすい。本件は3経路のどれで貯めても同じ台に乗るので、この種の対象外条件を作っていない。
今週できるのは、配布条件を1枚の表に落とすこと
置き換えの手順はそう複雑ではない。特典ごとに「必要ポイント」「消費か達成か」「上限は人数か個数か」「税込か税抜か」「他の割引と併用できるか」「受付の締め日」の6欄を作り、埋まらない欄をそのまま企画会議に持ち込む。埋まらない欄が、告知後に問い合わせが集中する箇所とほぼ重なる。食品を無償で配る場合は、無償配布でも食品表示の義務がかかり、表示責任者は販売者の名義でも成り立つ。既製品を引換クーポンで渡す本件と違い、自社でノベルティ用に小分けや詰め替えをするなら、表示の作成を制作ロットの見積もりと同じ段になって思い出さないよう、最初の表に1行足しておきたい。
参照元
- 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン プレスリリース(2026年9月25日)
- セブン‐イレブン×レバンガ北海道 デジタルスタンプラリー 特設サイト
- 消費者庁「景品規制の概要」
- 消費者庁「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準
- 消費者庁「景品類の価額の算定基準について」
最終更新:2026.09.26
