KADOKAWAが9月11日、人気漫画『光が死んだ夏』の5周年を記念したPOP UP SHOPを告知した。会場は新宿マルイ アネックス2F、会期は10月2日から18日まで。目を引くのは特典の設計だ。会場での買い物が税込3,000円に達するごとに、描き下ろしのイラストカード(全5種)が1枚ランダムで配られる。丸井のクレジットカード「エポスカード」で支払えば、1会計につきさらに1枚が上乗せされる。
アニメやマンガのファン向け企画に見えるが、この「金額の階段でランダム特典を配る」型は、周年イベントや新店オープンを控えた小売・メーカーがそのまま応用できる。描き下ろしという一点物の絵を、新商品と特典カードの両方に使い回している点も、限られた版権素材を最大限に働かせる手本になる。販促や広報の担当者が持ち帰れる材料として分解する。
新宿マルイで10月2日から、5周年のPOP UPが開く
会場の新宿マルイ アネックス2Fは、アニメIPのポップアップが繰り返し立つ都心の一等地だ。会期は10月2日(金)から18日(日)までの17日間。営業時間は平日が11:00〜19:00、土日祝が10:30〜19:00で、休日は開店を30分前倒しして客の入りに合わせている。
会場では、5周年を記念した描き下ろしイラストを使った新商品が販売される。プレスリリースの時点で個別の商品名やデザインは公開されておらず、ラインナップや価格は変更の可能性があると但し書きが添えられている。ファンには「何が出るか」の情報がまだ伏せられ、開幕までの期待をためる作りだ。
3000円ごとにイラストカード、エポス提示でもう1枚
特典の中心は、購入額に連動して配られるイラストカードだ。会計が税込3,000円に達するごとに、全5種からランダムで1枚がもらえる。6,000円なら2枚、9,000円なら3枚と、買うほど当たる枚数が増える。ここにエポスカードでの支払いが重なると、1会計につき無条件で1枚が追加される。
| 条件 | もらえるイラストカード |
|---|---|
| 税込3,000円ごとの購入 | 全5種からランダムで1枚 |
| エポスカードで支払い | 1会計につき追加で1枚 |
| エポスカードに新規入会 | 全5種のコンプリートセット |
全5種をランダムで配るため、そろえたいファンは自然と買い足しに向かう。1枚3,000円という刻みは、単品グッズをいくつか足せば届く現実的な金額だ。低すぎれば客単価が伸びず、高すぎれば手が止まる。この中間に線を引いているのが、丸井のイベント運営で積んだ勘どころだろう。
なぜ描き下ろしを新商品と特典の両方に使うのか
作家に描き下ろしを一点発注すると、それ自体にコストがかかる。KADOKAWAはその絵を、販売する新商品のデザインと、無料配布するイラストカードの両方に載せている。同じ素材を商品と特典に二重で働かせることで、版権イラスト1点あたりの費用対効果を引き上げている。
この使い回しは、描き下ろしを新商品の購入特典に絞ったコードギアスの東京駅企画にも通じる(特典カードを新商品購入だけに絞ったコードギアスのポップアップ)。特典に「その企画でしか手に入らない絵」を据えると、既存商品との差が生まれ、ファンはまとめ買いに踏み切りやすい。自社でも、ノベルティ用に用意したデザインを本商品のパッケージや店頭POPに転用すれば、制作費を分散できる。
会場に丸井を選び、エポス入会をつなげる狙い
この企画のもうひとつの軸が、特典を丸井のカード戦略に接いでいる点だ。エポスカードで払えばカードが1枚増え、新規入会すれば全5種のコンプリートセットがもらえる。POP UPに集まった熱量の高いファンを、その場でカード会員に転換する導線が組まれている。
同じマルイ会場でエポス会員化を接いだ例は、東京喰種のポップアップにも見られた(3,000円特典に丸井がエポス会員化を接いだ東京喰種POP UP)。会場運営者にとって、周年イベントは物販の売上だけでなく、長く続くカード会員という資産を得る場でもある。テナントを借りてイベントを打つ企業は、会場側がどんな会員施策を持ち込んでくるかを事前に把握しておくと、特典設計の交渉がしやすい。
周年POP UPから販促担当が持ち帰れること
周年を口実にしたPOP UPは、単なるお祝いではなく客単価を積む装置だ。金額の階段でランダム特典を配る型は、俺ガイルの15周年企画でも使われ、34点の品ぞろえと3,000円特典で単価を押し上げていた(34点と3000円特典で客単価を積んだ俺ガイルのPOP UP)。3,000円という刻みが、業種を越えて使われる目安になりつつある。
自社に落とすなら、押さえどころは三つだ。特典の当たりをランダムにして「そろえたい」動機を作ること。金額の刻みを、単品を数点足せば届く高さに置くこと。そして特典に使う絵や素材を、商品側にも転用して制作費を分散すること。周年という節目は、こうした仕掛けを試す口実として使いやすい。
自社のイベントで客単価を積む手順
『光が死んだ夏』のPOP UPは、17日間の会期に向けて、期待をためる情報の出し方から特典の刻み、会場の会員施策までがひとつながりで組まれている。イベントや周年販促を任された担当者が、まず試せるのは次の順序だ。
- 特典を全種ランダム配布にして、コンプリートを狙う買い足しを誘う
- 金額の刻みを、看板商品を数点足せば届く高さに設定する
- 特典用に用意したデザインを、本商品や店頭ツールにも転用して制作費を割る
会場を借りる場合は、施設側のカードや会員施策を特典に組み込めるかを早めに確認したい。物販の売上に加えて会員という資産まで取りにいけると、1回のイベントから引き出せる価値が二層になる。まずは自社の周年や新商品発売の機会に、3,000円前後の刻みとランダム特典を小さく試すところから始められる。
参照した一次情報は以下のとおり。
PR TIMES(KADOKAWA)「『光が死んだ夏』5周年を記念したPOP UP SHOP」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000020094.000007006.html
最終更新:2026.09.15
