ファミリーマートが2026年9月15日、ファミペイ払いで対象商品を1個買うと同じ商品の無料引換クーポンが1個もらえる販促を始めた。購入できるのは9月21日まで、もらったクーポンを使えるのは9月22日から28日まで。買ったその場ではなく翌週に「もう一度来る理由」を配る組み立てで、しかも特典を受け取れるのは自社決済のファミペイで払った客に絞られている。仕組み自体は単純な買い足し促進だが、条件の置き方に企業の販促・広報担当が持ち帰れる設計思想が詰まっている。
ファミペイで払った人だけが翌週の1個を受け取れる
対象商品は森永製菓の「大粒ラムネ」シリーズと、バンダイの菓子「つながる謎のグミ!? グミリンズ」。ファミペイ払いで対象商品を1点買うと、購入個数分の無料クーポンが後から配信され、翌週の利用期間に同じ商品と引き換えられる。クーポンは自動で届くが反映まで約6時間かかる場合があるとされ、レジでその場に手渡す形ではない。
支払いはファミペイのチャージ残高・ファミマポイント・翌月払いが対象で、1円以上をファミペイで負担することが条件になる。リアルカードのファミペイカードやApple Pay・Google Pay経由の支払いは対象から外れている。つまり「対象商品を買う」だけでは特典は付かず、「アプリで払う」ところまで動いて初めて成立する二段構えだ。
今日の1個と来週の1個を意図的に切り離した
この販促の核は、特典を配るタイミングを購入と同時にしなかった点にある。無料の1個を翌週の引換に回すことで、今日の買上げが来週の来店予約に変わる。値引きなら利益をその場で削るが、現物の引換クーポンなら来店してもらって初めてコストが発生し、しかも来店した客は引き換えるついでに別の商品も手に取りやすい。
翌週に引換をずらす手法は、ファミマが天然水で試した発券と引換を翌週にずらして再来店を作った仕掛けと同じ発想の延長にある。値引きで再来店を促した生カヌレを核にしたスイーツ全品50円引きと比べると、今回は割引ではなく「同じ商品がもう1個」という現物提示で、客が受け取る得の輪郭がはっきりしている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入期間 | 2026年9月15日〜9月21日 |
| クーポン利用期間 | 2026年9月22日〜9月28日 |
| 対象商品 | 森永「大粒ラムネ」シリーズ/バンダイ「グミリンズ」 |
| 特典 | 購入1個につき同一商品の無料引換クーポン1枚 |
| 支払い条件 | ファミペイ払い(残高・ポイント・翌月払い、1円以上の負担) |
| クーポン配信 | 購入後に自動配信、反映まで約6時間かかる場合あり |
販促担当・決済担当・店舗現場で得の見え方が違う
同じ企画でも社内の立場によって狙いの読み方は分かれる。販促の担当からは、値引きで単価を崩さずに現物付与で来店動機を作れる点が評価される。安売りの印象を残さずに「1個おまけ」という得だけを届けられるからだ。
決済やアプリを見る担当からは、買い足しの得をファミペイ払いだけに限定したことが決済シェアを取りにいく一手として映る。特典欲しさに現金やクレジットからアプリ決済へ乗り換えれば、その後の来店でも同じ決済を使う習慣が残りやすい。店舗の現場からは、引換を翌週にずらすことでレジ前の混雑と在庫消化を平準化できる利点が挙がる。特典を今日に集中させないぶん、対応がなだらかになる。
自社の決済・会員基盤に販促費を積み替える発想
この企画から販促担当が持ち帰れるのは、特典の「配る条件」と「受け取る条件」を分けて設計する考え方だ。配る条件は対象商品の購入、受け取る条件は自社決済での支払いと翌週の再来店。二つを重ねることで、1回の販促費が「単発の売上」ではなく「決済の習慣化」と「来店回数」に転化していく。
予算規模の小さい販促でも構造は真似できる。無料の1個をLINE公式アカウントの友だち登録者だけに配る、自社ECの会員だけがクーポンを引き換えられるようにする、といった形で「特典と引き換えに顧客接点を握る」設計に置き換えられる。ノベルティを配って終わりにせず、配布を会員化や決済の入口に接ぐと、同じ予算でも後に残る資産が変わる。ノベルティを売り物として値付けしたご当地ソックスを600円で売った販促も、無料配布を前提にしない発想という点で地続きだ。
コンビニのアプリ決済競争が販促の形を変える
コンビニ各社は自社決済アプリの利用回数を伸ばす段階に入っており、クーポンや買い足し特典を決済に紐づける動きが増えている。景品やノベルティを「おまけ」ではなく「決済・会員化のインセンティブ」として再定義する流れは、コンビニに限らずドラッグストアや量販、外食にも広がりつつある。販促の企画を外部に発注する側も、特典の中身だけでなく「どのアプリ・どの会員IDに紐づけるか」まで含めて設計を求められる場面が増えていく。
この販促を自社で組み替えるための整理
手元の販促に落とし込むなら、まず「今日の得」と「翌週の来店」を分けられないかを考えたい。次に、その得を受け取る窓口を自社アプリ・会員登録・特定決済のどれに置くかを決める。最後に、引換や配信のタイミングをずらして現場の負荷と在庫消化を均せるかを検討する。ファミマの今回の企画は、この三つを菓子2品という小さな範囲で一度に試している。
特典設計の考え方は、金額条件や決済連動でノベルティを企画する各社の事例と合わせて見ると輪郭が掴みやすい。自社アプリや会員基盤を持つ企業ほど、この決済連動の設計はそのまま横展開しやすい。
配る条件と受け取る条件を分けて設計する
ファミマの「1個買うと1個もらえる」は、無料の1個を翌週にずらし、受け取り条件を自社決済に絞ることで、販促費を来店回数と決済習慣に振り替えた設計だった。自社で企画するなら、特典を配るきっかけと受け取る場所を切り分け、その受け取り口を自社の会員・決済・アプリに置けないかを最初に検討するとよい。ノベルティや景品を単発の配布で終わらせず、次の来店と顧客データにつなぐ導線として設計することが、限られた販促予算で効果を積み上げる近道になる。
参照元: ファミリーマート公式「1個買うと1個もらえる」キャンペーン
最終更新:2026.09.15
