ハインツ日本が2026年10月1日から31日まで、「煮込みハンバーグソース デミグラス仕込み」を対象にしたプレゼントキャンペーンを実施する。用意されたのは2つのコースで、一方は購入不要で50万円相当の純金コインが1名、もう一方はレシート応募で2,000円相当のQUOカードPayが100名。同じ会期・同じ対象商品なのに、賞品の桁が250倍違う。
販促を組む側から見ると、この差は法令の枠から逆算された形に見える。購入を条件にした瞬間、285円(税別)の商品で50万円の賞品を出す選択肢は消える。プレスリリースと企業公式の告知ページ、さらに応募規約まで開くと、条件の書き分けが一段細かくなっていた。
ハインツが10月1日から動かす2コース、応募の条件はどこが違うのか
動画を見てクイズに正解、当選は1名
コース1は、キャンペーン特設サイトで調理工程の動画を視聴し、フォームでクイズに回答する。プレスリリースは「正解した方の中から抽選で1名様」と書いており、回答すれば全員が対象になるわけではない。賞品は純金ハンバーグソースコインで、キーストーンと煮込みハンバーグをあしらった1点もの。50万円相当は2026年8月時点の金相場での換算値で、変動する旨が注記されている。
レシートをLINEに送る、当選は100名
コース2は対象商品を店頭で買い、レシートを撮影してLINEから応募する。抽選で100名に2,000円相当のQUOカードPayが渡る。応募にはキャンペーンのLINE公式アカウントの友だち登録が必要で、レシートの有効期間は会期と同じ10月1日から31日まで。
公式サイトは「どちらも応募可能」と書いている
ここが一次ソースを両方開かないと取り違える部分だ。プレスリリースは「応募は2つのコースから選べます」「応募は、お一人様一回まで」と書いており、二者択一に読める。一方で公式の特設サイトは冒頭で「コース1・コース2はどちらも応募可能」「最大2つのチャンスで応募できます」と明記し、コース2の応募要項には「当選の権利はお一人様につき1回」「お一人様何口でもご応募いただけます」と書いてある。1回に制限されているのは当選の権利で、応募回数そのものではない。
50万円の景品を購入条件にできない、285円の商品で計算してみる
一般懸賞の最高額は取引価額の20倍
景品表示法の告示「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」は、懸賞で出す景品の最高額を取引価額の20倍(20倍が10万円を超える場合は10万円)と定めている。対象商品の希望小売価格は200gで285円(税別)。運用基準はメーカーが提供者の場合は実施地域の通常の取引価格を基準に取ると定め、購入額の多少を問わない企画では原則100円という目安も置く。最も低く100円と見ても20倍は2,000円で、QUOカードPayの額は枠の内側に収まる。
総額は売上予定の2%、100名分の20万円から逆算すると
同じ告示は総額も縛る。景品の総額は懸賞に係る取引の予定総額の2%まで。運用基準はこれを「懸賞販売実施期間中における対象商品の売上予定総額」と定義している。100名×2,000円で20万円だから0.02で割り戻すと必要な売上予定総額は1,000万円。希望小売価格で割れば約3万5,000個。店頭実売が希望小売を下回れば必要な個数は増える。当選人数100名は会期1か月の販売見込みと表裏だ。
同じ取引に紐づく懸賞は2本走らせても合算される
運用基準には、同一の事業者が同じ取引に附随して2つ以上の懸賞を行う場合、別々の企画であっても合算した額を提供したことになる、という条項がある。仮に両コースとも購入を条件にしていれば、50万円と2,000円が足されて枠を大きく超える。一方、購入を条件としない提供は「取引に附随」しないため、そもそも景品表示法の景品類に当たらない。購入不要の懸賞に上限を定めていた旧告示は2006年4月27日に廃止されている。桁の違う2つの賞品が同じ会期に並ぶ形は、この境界線の上に立っている。
| 枠 | 上限の決まり方 | 今回に当てはめると |
|---|---|---|
| 一般懸賞の最高額 | 取引価額の20倍(10万円まで) | 100円と最も低く見ても2,000円、285円なら5,700円 |
| 一般懸賞の総額 | 期間中の対象商品売上予定総額の2% | 20万円 ÷ 2% で売上予定総額1,000万円以上 |
| 取引に附随しない懸賞 | 景品類に当たらない | 上限の旧告示は2006年4月27日に廃止 |
| 同一取引で懸賞が複数 | 別企画でも合算 | 片方を取引に附随させない形にする必要がある |
購入不要コースが枠外に残るかは、告知の置き場所で変わる
容器包装で告知すると「取引に附随」側に寄る
ここは自社で真似るときに最も外しやすい。運用基準は、取引を条件にしていなくても商品の容器包装に企画の内容を告知している場合は「取引に附随」する提供に当たると書き、「取引に附随しない提供方法を併用していても同様である」と続ける。購入不要コースを併設しただけでは枠外にならず、パッケージに刷った時点で購入不要側も景品類の扱いに寄る。
買わないと答えが分からないクイズも同じ扱い
もう1つの落とし穴は設問の作り方だ。運用基準は、商品を買わなければ解答やヒントが分からない場合を同じ側に分類している。ハインツのクイズは特設サイトの調理動画を見れば答えられる形で、設問文も商品を買わずに読める。購入不要を名乗るコースを作るなら、答えがどこにあるかまで確認したい。条件を階層に分けた事例としては、ためる条件を10・1・100に分けたdポイントの10月施策が比較しやすい。
レシート応募の注意書きが、問い合わせを先に減らしている
まとめ買いでも1レシート1応募
公式の応募要項は「ご購入数量に限らず1レシート1応募」と明記し、複数購入した1枚のレシートでも1回、2枚同時撮影のレシートは受付不可としている。買い足せば当選確率が上がる設計ではない。購入金額に線を引く形の事例は、特典の基準を税込5,500円に上げた西川のスヌーピー企画と読み比べると差が見える。
撮影必須は6項目、コピーは無効
レシート画像には購入日時、対象商品名、対象商品金額、合計金額、購入店舗、購入店舗の電話番号が写っている必要がある。コピーしたレシートや同一レシートの複数回応募は無効。事務局の判定基準を先に公開しておく書き方で、無効判定のあとに来る「なぜ落ちたのか」という問い合わせを減らせる。抽選ではなく先着で配る企画については、冊子とレシートの両方を提示させて先着600名に配る心斎橋の3施設の例が対照になる。運用基準は来店や申込みの先着順を懸賞に当たらないと整理しており、上限の考え方そのものが変わる。
友だち登録を外すと当選連絡が届かない
当選通知は応募したLINEアカウントにのみ送られ、賞品はQUOカードPayの受取URLで渡る。友だち登録を外すと連絡できなくなる旨も明記されている。QUOカードPayは発行日から3年の有効期限、スマートフォン専用でカード型とは別サービス、受取URLは再発行されない。
自社で2本立てを組むなら、10月中に決めておく3つ
話題用と実売用で予算の出どころを分ける
1点ものの高額賞品は制作費と広報効果で評価し、100名分のギフトは販売数量への効きで評価する。回収するものが違うので稟議も分けたほうが議論が短くなる。高額側は1点だけ作るため原価はロットではなく制作の難易度で決まり、純金コインのように素材価格が動くものは発注時点の相場で金額表記が変わる。
当選者の税金と個人情報を誰が持つか
ハインツはプレスリリースと応募規約の両方で、賞品の取得により一時所得として申告が必要になる場合があること、税金は当選者負担であることを書いている。国税庁は懸賞や福引きの賞金品を一時所得に挙げ、特別控除は最高50万円、課税対象は所得金額の2分の1と示す。源泉徴収の対象範囲には「広告宣伝のための賞金」が含まれ、金銭でなく物品で払う場合も報酬・料金等に含まれるため、高額賞品なら税務の扱いを所轄に確認したい。個人データはハインツ日本に代わって株式会社アルファが取扱受託者として運営し、当選者情報は当選連絡から3か月で破棄すると規約にある。
自社で同じ形を組むなら、着手は賞品選びではなく数字の確認からになる。会期中の対象商品の売上予定総額を出し、その2%を当選人数と単価で割り付け、購入不要コースを置くならパッケージ告知と設問の作り方を法務と詰める。この順番で1枚のメモにすると、稟議で止まる箇所が先に見える。
この企画の要点を1枚で
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会期 | 2026年10月1日〜10月31日(レシート有効期間も同じ) |
| 対象商品 | 煮込みハンバーグソース デミグラス仕込み 200g/希望小売285円(税別) |
| コース1 | 動画視聴とクイズ回答。正解者から抽選1名に純金コイン(50万円相当・2026年8月時点の金相場換算) |
| コース2 | レシートをLINEで送付。抽選100名に2,000円相当QUOカードPay(有効期限3年) |
| 応募の制限 | コース1・2の併用は可能。当選の権利は1人1回 |
| 問い合わせ | ハインツハンバーグソースキャンペーン事務局 0120-984-184(土日祝を除く10:00〜17:00) |
| 個人データの受託 | 株式会社アルファ |
参照した情報
- ハインツ日本 プレスリリース(2026年9月25日)
- キャンペーン特設サイト(ハインツ公式)
- 応募規約 コース1
- 応募規約 コース2
- 消費者庁 懸賞による景品類の提供の制限(告示)
- 消費者庁 景品類及び表示の指定(告示)
- 消費者庁 指定告示の運用基準
- 消費者庁 懸賞制限の運用基準
- 消費者庁 総付制限の運用基準
- 公正取引委員会 くじによる利益提供の旧告示(2006年4月27日廃止)
- 国税庁 一時所得
- 国税庁 源泉徴収が必要な報酬・料金等
最終更新:2026.09.26
