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アークテリクスの車内広告を切らずに、参加者がサックに縫った2日間

SDGs
2026.09.26
・読了目安 7分

アークテリクスの車内広告を切らずに、参加者がサックに縫った2日間

アウトドアブランドのアークテリクスが2026年9月5日(土)・6日(日)の2日間、アークテリクス 池袋東武ブランドストアで特別イベントを開き、そのなかでGORE-TEX素材のスタッフサックを作るワークショップが行われた。 […]

アウトドアブランドのアークテリクスが2026年9月5日(土)・6日(日)の2日間、アークテリクス 池袋東武ブランドストアで特別イベントを開き、そのなかでGORE-TEX素材のスタッフサックを作るワークショップが行われた。材料は、新宿ブランドストアのオープンに合わせて掲出された交通広告の生地である。企画・運営を担ったクリエイティブコミュニティ「NewMake」(運営:株式会社STORY&Co.)が、9月21日に実施報告として発表した。

掲出が終わった広告の後始末を、店頭の集客企画に付け替えた案件である。ただし発表文を読み込むと、誰が何をやったのかは見出しの印象より細かく分かれていた。

目次

広告だったGORE-TEXが、池袋東武の店頭で2日間サックになった

参加者は3種類のGORE-TEX素材から1枚を選び、色の違うベルトとバックルを組み合わせ、ミシンで1点を仕上げた。完成したサックは参加者が持ち帰っている。定員・参加費・製作数・応募方法はリリースに書かれておらず、規模は外から分からない。

縫ったのは参加者で、アークテリクスは主催に回っている

発表文の役割は3社に分かれる。主催がアメアスポーツジャパン株式会社 アークテリクス、企画・運営がNewMake(株式会社STORY&Co.)、ミシン協力がブラザー販売株式会社。リリースを出したのもブランド本体ではなくSTORY&Co.だ。ブランドが自社で縫ったわけでも、製品として外注したわけでもない。アップサイクル施策の実施主体を一段取り違えると、見積もりを頼む相手を間違える。

「素材をカットせず」と書いてあるのは生地の裁断のこと

リリースは「電車内の窓上広告として使用されていたGORE-TEX素材のサイズをそのまま活かして設計」「素材をカットせず、その形を活かしてスタッフサックへと仕立てています」と書く。広告1枚の寸法がそのまま製品の寸法になったという意味で、無裁断は生地についての説明だ。同じ段落に「制作する過程でもできるだけ残布を出さないことを大切にし」ともあり、工程全体で端材ゼロとは書いていない。ベルトとバックルは別に用意された部材である。

同じ広告生地が店頭に出るのは、確認できるだけで3回目

アークテリクス自身の告知をたどると、同じ出どころの在庫が段階的に使われてきたことが分かる。

オープン特典は税込7万円以上で、すべて1点モノのあずま袋

池袋東武ブランドストアは2025年10月30日にグランドオープンした。開店時の特典は、税込7万円以上を購入した人へ、2024年11月の新宿ブランドストアのオープン時にJR山手線の中吊り広告に使ったゴアテックス生地で作ったあずま袋を渡すもので、すべて1点モノ・数量限定と明記されていた。広告生地はまず購入特典のノベルティとして出ている。

2025年11月はポーチ、2026年9月はスタッフサックに変わった

続く2025年11月12日・15日には、同じ店舗で「新宿ブランドストアオープン時に掲出した各鉄道車内広告で使用されたゴアテックス生地」からポーチを作るワークショップが開かれた。今回のサックはその約10か月後にあたる。中吊りと窓上では1枚の寸法が違うので、形の違う在庫が複数残っていたことになる。

深く作らせる回と気軽に触らせる回を、同じ素材で分けている

告知ページを時系列で並べると、体験の重さが二極化している。

時期 中身 材料 参加条件 枠の決め方
2025年10月30日〜 あずま袋の進呈 山手線中吊り広告の生地 税込7万円以上の購入 数量限定・なくなり次第終了
2025年11月12日・15日 ポーチ制作(90分) 各鉄道の車内広告の生地 BIRD CLUB会員 各回4名・先着
2025年11月22日・23日 チャーム制作(15〜30分) GORE-TEX残布・リボン・紐・金具 どなたでも 随時受付・材料が尽き次第
2026年9月5日・6日 スタッフサック制作 窓上広告のGORE-TEX素材 — —
2026年9月26日 チョークバッグ制作(90分) 製造時の残反 ゴールド会員以上 各回3名・2回・抽選

90分・予約制の回と、15〜30分・随時受付の回

2025年11月は、予約制で各回4名のポーチ制作と、誰でも入れて15分から30分で終わるチャーム制作を同じ月に並走させた。前者は素材の由来まで伝わるが、さばけるのは5回で20名。後者は説明が薄くなる代わりに、通りかかった買い物客をその場で巻き込める。深さと人数を別々の企画で取りに行っている。

2026年は抽選で各回3名、対象もゴールド会員以上へ絞られた

2026年8月22日の新宿、9月26日の池袋はどちらも各回3名・2回だけの抽選制で、応募資格もダイヤモンド・プラチナ会員(池袋はゴールド会員を含む)に限られる。参加費は無料、参加者には5XPが付く。開店直後は多くの人に触らせる設計だったものが、1年後には上位会員へ濃く当てる設計に移っている。

アップサイクルの効果を社内で通すとき、何を根拠にできるか

環境の訴求は、そのまま数字として使えるわけではない。

アンケートで示されたのは満足度と関心の高まり

リリースは、終了後のアンケートで満足度について「とても満足」の回答が得られたこと、アップサイクルやものを大切に使うことへの関心が高まったとの回答があったことを書く。ただし回答者数も割合も示されず、廃棄をどれだけ減らしたかの数値も出ていない。「廃棄◯%削減」のような書き方に置き換えると、発表文にない数字を自分で作ることになる。

在庫の回転と店頭の滞在時間に置き換えると社内が動く

代わりに説明できるのは、処分費を払うはずだった在庫が販促の材料に変わったこと、90分ぶん来店客が店内に留まること、当日の写真がそのままブランドの発信素材になることだ。アークテリクスのReBIRD™は、同社の説明ではケア、リペア、再生、アップサイクルをつなぎ、製品のライフサイクルを線ではなく円に変える取り組みとされる。この文脈が先にあるから広告生地の再利用が唐突に見えない。理念の説明がない会社が同じことをやると在庫処分に見える。

形を残して縫うか、砕いて素材に戻すかで発注先が変わる

アップサイクルと一括りにされる施策も、工程で見ると別物だ。

砕いて成形し直す型と、縫い直す型では発注先が違う

飾り終わったオーナメントを砕いて溶かし、キーホルダーへ成形し直した唐津のNPOとMINI宮崎の事例は、素材をいったん樹脂まで戻している。成形機と型が要る代わりに、元の形は問われない。今回のサックは逆で、生地の寸法が製品の寸法を決めるため、縫製できる相手と広告1枚の寸法が分かる資料が要る。似た見た目の発表でも素材の出どころは違う。米袋の生地で作るCOME SACKの発表は、使用済みの袋の回収ではなく米麦用樹脂袋の原反から仕立てたもので、開発理由も廃棄削減ではなく製造技術を残すことだった。

完成品が倉庫に残っているなら、作り替えずに特典へ回せる

作り替えを前提にしない出口もある。3年前のクラウドファンディングのリターン品として作ったクリアファイルの保管分を、そのまま購入特典に充てた魚雷映蔵の事例は、加工費ゼロで在庫を動かした。工程を挟むかどうかは、残っているのが生地なのか完成品なのかで決まる。

9月26日は同じ店舗で残反のチョークバッグ、枠は6名

池袋東武ブランドストアでは2026年9月26日にもアップサイクルワークショップが組まれている。ただし材料は交通広告ではなく、GORE-TEXプロダクトの製造過程で生まれた残反だ。

項目 内容
店舗 アークテリクス 池袋東武ブランドストア
所在地 東京都豊島区西池袋1-1-25 東武百貨店 池袋店1階11番地
営業時間 10:00〜20:00
9月26日の回 13:00〜14:30/15:30〜17:00 各回定員3名・参加費無料
応募 9月10日23:59締切の抽選、当選発表は9月11日
対象 BIRD CLUBのダイヤモンド・プラチナ・ゴールド会員

9月26日の回の募集は9月10日で締め切られている

当日に店頭へ行っても参加はできない。同社の説明では池袋駅は1日あたり約230万人が行き交うが、その立地で当てるのは2回・計6名分である。同じ店舗では2026年9月11日から、全国13店舗で41,000円(税抜)以上を買ったBIRD CLUB会員にBEAR BELLを渡し、店頭で整理券を取って後日カスタマイズに再来店してもらう企画も動く。渡して終わりにせず、もう一度呼ぶ口実として小物を使う組み立てだ。

掲出が終わる広告を1本、いまのうちに押さえておく

自社で試すなら、次に掲出期限を迎える交通広告や店頭のターポリンを1本決め、撤去業者に処分を頼む前に素材と寸法を控えるところから始まる。生地の種類、1枚の寸法、枚数の3点が分かれば、縫製できる相手に「切らずに何が作れるか」を聞ける。撤去してから探すと、この選択肢は消える。

参照した発表・告知。

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編集:食品ノベルティの窓口 編集部(株式会社Agriture)
農業×食のOEM窓口として、業界動向を編集部がまとめています。
最終更新:2026.09.26
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この記事を書いた人

小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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