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記念品のマンネリをアートで解く、thisisの設計を分解する

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2026.07.28
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記念品のマンネリをアートで解く、thisisの設計を分解する

周年や竣工の節目で「贈り物の手札が尽きた」という声は、総務・広報に共通する悩みだ。オリジナル絵画を手がけるthisis株式会社(東京・港区)は2026年7月23日、法人向けアート記念品の導入が累計500社に達したと発表し […]

周年や竣工の節目で「贈り物の手札が尽きた」という声は、総務・広報に共通する悩みだ。オリジナル絵画を手がけるthisis株式会社(東京・港区)は2026年7月23日、法人向けアート記念品の導入が累計500社に達したと発表した。ただしこの500社は同社の自己申告であり、第三者が検証した数字ではない。数字の大小より、量産できない一点物カテゴリでどんな設計をすれば記念品として成立するのか——その分解こそ、自社の販促設計に移せる部分だ。

目次

発表の要旨と、挙げられた数字の出どころ

発表によると、thisisは絵画通販「thisisgallery」とオーダーメイド制作を運営し、法人向けにオリジナル絵画・アート制作を提供している。同社が別途公表している実績では、2015年に始めたthisisgalleryは累計3万点・総流通2億円を掲げる。今回は導入企業が累計500社を突破したこと、年間発注数が120件で過去最高となったこと、造船業界での引き合いが前年比200%で伸びたことを、いずれも同社の集計として挙げた。用途は新社屋の落成、周年記念、進水式・竣工式、取引先への寄贈など。納期は最短2週間(サイズにより変動)とする。取引先には三菱UFJ銀行・みずほ銀行・りそな銀行、商船三井ドライバルク・川崎汽船、積水ハウス・パナソニックホームズ、日本コカ・コーラ、損害保険ジャパンの名を並べた。

なぜ非量産のアートが記念品で伸びたのか

記念品まわりで起きているのは、配って終わる量産ノベルティから、受け取り手に固有の意味を残す贈り物への比重移動だ。ノベルティOEMでも「意味起点」への転換が語られ(2026年ノベルティ市場|「意味起点」への転換が加速)、量産品で差がつきにくくなった分、一点物や名入れの比重が上がっている。アート記念品はその極にある。同じ絵は二つとなく、進水や落成という一度きりの出来事に紐づくため複製できない。thisisが海運・造船で伸びたと説明するのは、船の完成という記念性の高い節目と、一点物のアートの相性が良いからだと読める。量産品が値引きと物量で戦う土俵とは別に、一点物は記念性そのものを売る土俵に立っている。同じ販促予算でも、狙う土俵が違えば評価の物差しも変わる。

公表された数字の位置づけ

指標 同社の発表値 位置づけ
導入企業(累計) 500社 同社の自己申告
年間発注数 120件(過去最高) 同社集計
造船業界の伸び 前年比200% 同社集計
納期 最短2週間 サイズで変動

いずれも同社発表の数値であり、第三者機関による検証値ではない。効果指標(満足度など)はリリースに記載がない。

取引先の声と、市場側の動き

同社が紹介する取引先の声として、造船会社の担当者による「完成した船の絵を寄贈したところ、先方の社長様に大変感動していただき」というコメントと、金融機関担当者の「アートという形で表現できました。お渡しした際の会話も非常に弾み」というコメントが載る。どちらもリリース上の掲載で、匿名の紹介にとどまる。三つ目の反応は市場側にある。企業ギフトはウェルネス品や長く使える実用品へ発注がシフトしており(ウェルネス系ノベルティが2026年の企業ギフト市場で急台頭)、「捨てられない」ことが選定基準に上がってきた。飾られ続けるアートは、この保持率の軸で量産品より有利に立つ。販促品全般でも「もらっても使われず捨てられる」ことが費用対効果の課題として語られており、壁に掛けられる一点物は、その処分されにくさで評価されている。

量産ノベルティと一点物の損益はどこで分かれるか

量産ノベルティは、単価が低い代わりに最小ロットと在庫を抱える。数千個を刷れば一個あたりは下がるが、配り切れなければ倉庫代と廃棄が利益を食う。加えて販促品の調達コストは関税の影響で上振れしており(関税激変でノベルティ調達コストが急騰)、量産前提のコスト計算そのものが揺れている。一点物の記念品はこの逆で、個数を追わず一件あたりの単価で採算を取る。作った分だけ納めるため在庫が積み上がらず、原価の読みも立てやすい。どちらが正解というより、配布数を追う施策と、単価と記念性を追う施策は損益の構造が別物だと切り分けておくと、発注判断を誤りにくい。

自社の販促に移せる設計

発注の引き金を「節目」に固定する

アート記念品が成立しているのは、購入の判断を金額でなく出来事に結びつけているからだ。落成・周年・竣工・進水という節目は日付が決まっており、発注のタイミングを相手任せにしない。自社の販促でも、割引率で客を動かすより、記念日や達成イベントに贈り物を紐づけるほうが、単価の高い一点物を通しやすい。節目に紐づく発注は社内の稟議でも通しやすく、「周年だから」「落成したから」という理由は決裁者に説明しやすい。金額の妥当性を、値引きの理屈でなく出来事で裏づけられる点が効いている。

在庫を持たずに単価を取る

受注生産で最短2週間という設計は、在庫リスクをほぼ持たない。量産ノベルティは最小ロットと抱え込みが利益を削るが、受注型は作ってから納めるため売れ残りが出ない。小ロットで単価の高い記念品を狙うなら、在庫を持たない受注型に寄せる判断はそのまま移せる。

「寄贈」で二次接触をつくる

寄贈という渡し方は、ただ配るのと違って会話を生む。担当者が「会話が非常に弾み」と述べるのは、飾る前提のアートが話題を提供するからだ。贈った先のオフィスに残り、来客のたび視界に入る。一度で終わらせず置かれ続けることで接触が続く。この長期接触の考え方は、卓上に残るカレンダーやマグと同じ理屈で、量産品にも応用できる。

万能ではない用途の線引き

この発想は社外向けにとどまらない。従業員向けノベルティ(BtoE)の市場が広がっており(従業員向けノベルティ(BtoE)市場が拡大中)、入社記念や周年の社内配布でも一点物・意味起点の発想が入り込む余地がある。一方、アート記念品は単価と納期の面で万能ではない。数千個を短納期でさばく展示会ノベルティには向かず、非量産・高記念性の節目に絞ってこそ成立する。500社という数字を額面通り受け取るより、どの用途で選ばれているかを見るほうが、自社に当てはめやすい。

実用情報

項目 内容
企業名 thisis株式会社
所在地 東京都港区赤坂8-5-40 PEGASUS AOYAMA 320
代表取締役 浅野友彰
設立 2015年8月
サービス thisisgallery/オリジナル絵画・アート制作(オーダーメイド)
納期 最短2週間(サイズにより変動)
連絡先 03-4400-2914

まとめ

自社で記念品を見直すなら、まず「配布」から「節目に紐づく寄贈」へ発想を移し、在庫を持たない受注型で単価を確保できないかを検討したい。アートに限らず、名入れや一点物でも同じ設計は組める。500社という実績値は入り口の目安にとどめ、自社のどの節目に何を贈るかを先に決めることが、マンネリを抜ける近道になる。具体的には、贈る相手・節目・置かれ方の三点を先に言語化し、そのうえで納期と予算に合う手段を選ぶ。アートに手を出すかどうかは、その三点が固まってから判断すれば遅くない。

参照元:PR TIMES(thisis株式会社)thisis株式会社 コーポレートサイト

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編集:食品ノベルティの窓口 編集部(株式会社Agriture)
農業×食のOEM窓口として、業界動向を編集部がまとめています。
最終更新:2026.07.28
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この記事を書いた人

小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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