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木村鋳造所が妄想かいじゅうを立体化、なぜ参加賞はポーチなのか

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2026.09.25
・読了目安 7分

木村鋳造所が妄想かいじゅうを立体化、なぜ参加賞はポーチなのか

木村鋳造所(静岡県駿東郡清水町、代表取締役社長 木村寿利)が、全国の子どもから「妄想かいじゅう」のイラストを集めている。2027年に迎える創業100周年の記念プロジェクト『ぜつめつしそうな 妄想かいじゅうずかん』で、募集 […]

木村鋳造所(静岡県駿東郡清水町、代表取締役社長 木村寿利)が、全国の子どもから「妄想かいじゅう」のイラストを集めている。2027年に迎える創業100周年の記念プロジェクト『ぜつめつしそうな 妄想かいじゅうずかん』で、募集期間は2026年7月8日(水)から9月30日(水)まで(発表文の表記は「予定」付き)。締切が近いことを告げるリリースが9月25日に出た。

鋳物のBtoBメーカーが周年にノベルティと公募を重ねた事例として読むと、賞と参加賞の分け方、応募要項の書き方に手がかりがある。

目次

締切は9月30日、木村鋳造所が集めているのはまだいないかいじゅう

特設サイトは「考えなくても、答えがでる。」の一文から始まり、子どもたちが妄想する“かいじゅう”たちが生まれる前に消えようとしている、だからそれを守る取り組みだと立てる。7月8日の自社告知は企画の理由を「生成AIが身近になった今だからこそ、子どもたちの自由な発想や妄想する力を応援したいという想い」と説明している。

応募できるのは18歳(高校生)以下、親権者の同意が必要

リリースの募集概要は募集対象を「全国の子どもたち (※18歳以下対象)」と書き、特設サイトの応募資格は「18歳(高校生)以下のこどもたち」としている。特設サイトはこれに二つの条件を足す。「※親権者による同意が必要(同じ資料内で「保護者の同意」「親権者(代理人) 署名」とも書かれる)」と「画像の使用許諾OKな方(サイトや各種プロモーションにおいて)」だ。団体用の応募用紙の学年欄には、年少・年中・年長、小学校、中学校、高校が並ぶ。

A4の紙に描いて画像を送る、原画の送付は不要

A4サイズの紙(画用紙・白紙等)に絵を描き、その画像を応募フォームからアップロードする。応募要項は「応募時における原画の送付は不要です」としたうえで、受賞作品は審査を通過した際に郵送を求める可能性があるため、撮影時と同じ状態で保管するよう求めている。原画を送った場合の返却はしないと明記されている。

個人はフォーム、団体は原画を郵送して送料を負担

入口は二つ。団体は代表者が応募用紙を配り、記入済みの用紙を貼った作品と集計用紙を妄想かいじゅうずかん事務局(株式会社トムス、静岡市駿河区)へ郵送や宅配便で送る。用紙には「恐れ入りますが、送料はご負担ください」とある。応募者用の用紙にはかいじゅうの名前、住んでいる場所、「かいじゅうの特徴や性格(200文字以内)」の欄がある。

立体像が賞品になるのは3名、参加賞は先着500名のポーチ

区分 人数 内容(発表資料の記載)
木村鋳造所賞 3名 賞状/受賞作品の立体像/妄想かいじゅうずかんグッズ/こども商品券10,000円分
特別賞 14名 賞状/妄想かいじゅうずかんグッズ/こども商品券5,000円分
参加賞 先着500名様 妄想かいじゅうずかんオリジナルポーチ(応募要項では「オリジナルノベルティグッズ」)

賞品の立体像は3名分、応募要項の「受賞作品」は範囲が広い

立体像を賞品として受け取るのは木村鋳造所賞の3名で、特別賞14名の賞品に立体像は入っていない。一方で応募要項には、受賞作品は3D化から加工・模型組立・塗装を行い、立体作品として後日同社が開催するイベント等に展示公開される可能性がある、と書かれている。この「受賞作品」が3名分か17名分を含むのかは文面から決まらない。

参加賞は1人1つまで、当選連絡は賞品の発送をもってかえる

応募要項は「応募いただいた方先着500名に、本キャンペーン限定の『オリジナルノベルティグッズ』をプレゼントします」と書き、リリースと特設サイトはそれを「妄想かいじゅうずかんオリジナルポーチ」と呼ぶ。素材や製法の説明は発表資料に出てこない。複数作品を応募しても参加賞は1人につき1つまで、発送は日本国内に限り、時期は2026年内を予定で具体的な時期は未定。そして「参加特典のご連絡はいたしません。賞品の発送をもってかえさせていただきます」。

立体像は3名分、参加賞は先着500名のポーチ

参加賞はポーチ、立体像は3名分に絞られた

周年で公募をやると議論は「全員に何を配るか」に流れるが、この企画はそこを分けている。同社の事業内容には「発泡スチロールによる模型・モニュメント・フィギュアの製造・販売(KDW)」が並ぶ。造形物を作れる会社だが、参加賞に選んだのはポーチだ。形が一点ずつ違う作品を数百点立体にするなら、造形と塗装の工数は点数に比例して積み上がる。賞を17名に絞り、立体像を3名分に置いた配分はそこと無関係ではないと読めるが、会社が理由を説明しているわけではない。1万円以上の寄付で1,500枚限定の非売品ハンカチを渡す早稲田150周年のように、金額と枚数で絞る周年ノベルティと比べると、数をこなす層と作り込む層を分けたことが見えてくる。

立体化は「3D化・模型制作・塗装等」と書かれている

リリースの副題は「木村鋳造所が鋳造づくりで培ってきた技術を生かして立体化」、7月8日の自社告知は「木村鋳造所の3D技術によって立体化・展示される予定」。応募要項の表現は「立体化(3D化・模型制作・塗装等)」だ。どの工程を通すかは明示されておらず、鋳物で作ると書くのは踏み込みすぎだ。

公式サイトによると、中核のフルモールド鋳造法(FMC法)は昭和41年に技術導入したものだ。PR TIMESの企業概要は、発泡スチロールに高温で溶かした鉄を流し込み、発泡スチロールを気化させて製品を形成する技術だと説明している。素材を別の形に作り替える点では、唐津のNPOがオーナメントを砕いてキーホルダーに再成形した例と発想が近い。

応募要項に書かれた作品の扱いを、企画する側は先に読んでおく

作品の著作権は応募者本人、立体化した物は二次的著作物

応募要項は「応募作品の著作権は、応募者本人に帰属します」と明記する。そのうえで応募者は同社に、無償かつ非独占的な利用を許諾する。用途はHPへの掲載、本キャンペーンの広報・広告、展示・イベントにおける掲示、応募作品の立体化および展示の四つ。同社は承諾なしに第三者へ再許諾でき、修正・改変もできるとされ、応募者は著作者人格権を行使しないものとされている。そして「立体化(3D化・模型制作・塗装等)されたものは二次的著作物となり、その著作権は当該制作物の制作者(当社)に帰属します」。作品の権利は子どもに残り、立体になった物の権利は会社に残る二層構造だ。

商品化・販売・ライセンス展開は別途契約

許諾の外側も書いてある。「上述の範囲を超える利用(商品化、販売、ライセンス展開等の二次利用)については、応募者と当社との間で別途契約を締結するものとします」。応募者側の禁止行為には、同様の目的で作品を第三者に利用させること、商品化・販売・営利利用、著作権の譲渡が挙がる。公募作品をそのままグッズにして売る構想があるなら、応募要項の段階で別の条項が要る。

AIを使用して作成してはならない、と一行で書いてある

作品の条件は、応募者自身が創作した未公表のオリジナル作品に限ること、第三者の知的財産を使用しないこと、そして「応募作品は、AIを使用して作成してはならないものとします。漫画やアニメのキャラクターなどを含まないように、ご注意ください」の三つ。生成AIを企画の動機に挙げた会社が、応募作品では使用を禁じている。

取り消しの条項も語を変えずに読みたい。公序良俗に反するもの、誹謗中傷、営利を目的とした内容の作品は「審査の対象となりません」。これとは別に、応募方法の誤りや虚偽、応募要項違反、住所不明や連絡不能などについては、受賞発表後であっても応募や受賞を「取り消す、無効とすることがあります」と書かれている。前者と後者は別条項で、扱いも言葉も違う。特設サイトには聖心女子大学名誉教授の水島尚喜氏、静岡大学教育学部教授の芳賀正之氏ら3人がコメントを寄せているが、肩書きはコメントの寄稿者として載っている。

自社の周年に置き換えるなら、どこから決めるか

不易糊工業とmizuiroがバイオ素材の用途を募った取り組みが素材の使い道を公募したのに対し、こちらは作品そのものを公募して社内の造形工程に流す。締切の後に手を動かす量が重いので、時期の置き方が設計の中心になる。

発表は2026年内、展示は2027年2月以降と時期をずらす

応募要項によると、受賞作品の発表と参加特典の発送はいずれも2026年内を予定で、具体的な時期は未定。リリースのスケジュール欄では、2026年10月に教材化に着手、2027年2月にプロジェクトムービー第二弾を公開、2月以降に展示会を実施とある。いずれも「あくまで予定のため、変更となる可能性があります」という注記付きで、100周年の2027年に展示が来るよう助走を取っている。

自社の周年なら、作る点数を三つの層に分ける

木村鋳造所の創業は1927年(昭和2年)2月、会社としての設立は1948年(昭和23年)5月で、2027年の100周年は創業からの数えだ。グループ社員総数856名、売上高207億円(2025年度)の会社が、100周年プロジェクトの一つに子どもの絵を選んでいる。特設サイトのギャラリーには9月25日時点で335点が並ぶが、掲載作品は応募の一部だと注記されている。

自社の周年で同じ形を検討するなら、今週できることが一つある。配る点数を「全員に配る層」「入賞者に渡す層」「自社の技術で一点ずつ作る層」に割り、上限点数を先に書き出すことだ。木村鋳造所の配分は先着500名、17名、3名分の立体像。ここが決まれば告知文と権利条項もぶれない。

参照元

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編集:食品ノベルティの窓口 編集部(株式会社Agriture)
農業×食のOEM窓口として、業界動向を編集部がまとめています。
最終更新:2026.09.25
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この記事を書いた人

小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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