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なぜドリンクだけ34種?仮面ライダー55周年カフェの特典設計

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2026.07.28
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なぜドリンクだけ34種?仮面ライダー55周年カフェの特典設計

仮面ライダー生誕55周年のコラボカフェが、8月に東京・大阪・広島・愛媛の4会場で順に開幕する。特設ページに掲げられた注文特典は二段構えで、コースター全9種は「飲食1品ご注文ごとに、ランダムで1枚プレゼント」、ストロータグ […]

仮面ライダー生誕55周年のコラボカフェが、8月に東京・大阪・広島・愛媛の4会場で順に開幕する。特設ページに掲げられた注文特典は二段構えで、コースター全9種は「飲食1品ご注文ごとに、ランダムで1枚プレゼント」、ストロータグ全34種は「ドリンク1品注文ごとに、ランダムで1枚プレゼント」と条件が分かれている。種類数は9と34で4倍近い開きがあり、多い側はドリンクにしか付かない。販促担当が読むべきなのは描き下ろしの絵柄ではなく、この条件の切り分け方のほうだ。会期は都市ごとにずれていて、本稿公開時点ではどの会場もまだ始まっていない。

目次

条件文を並べると、ドリンクだけが二重取りになる

特設ページとコラボカフェの告知を突き合わせると、コースターの付与条件は「飲食1品」、ストロータグは「ドリンク1品」と書かれている。コースター側の条件はフードに限定されていないので、ドリンクを1杯頼んだ客はコースターとストロータグを1枚ずつ受け取る。フードを1皿頼んだ客が受け取るのはコースター1枚だけだ。同じ「1品ごと」という言い回しでも、対象範囲が違うだけで受け取り枚数が倍になる。

この差は告知を斜め読みすると消えてしまう。フード=コースター、ドリンク=ストロータグという対の構図に見えるからだ。実際の設計は対ではなく入れ子で、ドリンクがフードの上位互換として置かれている。

単価で割ると、ドリンクの特典効率が3倍以上になる

特設ページの価格は、フードが1,700円、デザートが1,500円、ドリンクが1,000円(いずれも税込)。ここに受け取り枚数を重ねると、支払い1円あたりの効率がはっきり分かれる。

メニュー区分 価格(税込) 1品で受け取る特典 特典1点あたりの支払額
フード 1,700円 コースター1枚 1,700円
デザート 1,500円 コースター1枚 1,500円
ドリンク 1,000円 コースター1枚+ストロータグ1枚 500円

いちばん安いメニューが、いちばん多く特典を出す。高単価品に厚い特典を付けて客単価を押し上げるのが飲食の常道だとすれば、この構成は逆を向いている。見ている指標は1品あたりの単価ではなく、注文点数そのものだと読める。

全34種を追うと、1回の来店では計算が合わない

両サイトとも配布方法を「ランダム」と明記している。ただし絵柄ごとの比率は公表されていない。仮に34種が均等に出ると置いて全種そろうまでの回数を計算すると、期待値はおよそ140回になる。9種のコースターなら約25回だ。ドリンクは1杯1,000円だから、34種の期待値は金額にして14万円分に相当する。

この数字は、1人が1回の来店で完結させる想定を最初から外している。滞在時間は最長でも90分で、その中で140杯は成り立たない。逆に、ドリンクを重ねて34種を追う動きの中では、9種のコースターは25回前後で埋まっていく。追いかけている的は34種のほうにあり、9種は副産物として先に完成する。到達できる目標と到達できない目標を同時に走らせているのが、この二段構えの正体だ。

もっとも、均等確率は運営が示した条件ではない。実際の比率が偏っていれば必要回数はさらに伸びる。「コンプリートできない設計だ」と断じるより、「1回の来店では構造上そもそも終わらない」と読むほうが手堅い。

80分と90分の制限が、追加注文の中身を決めている

利用時間は東京・広島・愛媛が90分制、大阪が80分制。時間の枠が決まっている以上、注文点数を伸ばそうとすれば厨房を通さずに出せる品目へ寄っていく。ドリンクは提供までが短く、席を立たせないまま2杯目・3杯目を積める。フードを1皿足すのとは、席の占有時間に対する負荷がまるで違う。

原価の面からも説明は付く。飲食店の原価率を整理したイーブライトの解説では、ソフトドリンクとアルコールは10〜20%程度と低いとされる。ただしテンポスフードメディアの整理では、フラペチーノ系やフレッシュジュースは40〜50%に達するとされ、ドリンクなら一律に安いわけではない。今回のラインアップにはラテやコーヒーフロートが並ぶ。効いているのは原価そのものより提供リードタイムと見たほうが実態に近い。90分の枠を、厨房の処理能力ではなく飲料の回転で埋めにいっている。

運営・会場・来場者で、前提がそろっていない

運営側の立場は特設ページの作りから読める。ページはコラボカフェの企画運営を手がけるIPFTのドメイン上に置かれ、4会場の会期・利用時間・予約条件が1枚にまとめられている。会場ごとに特典条件を変えるのではなく、条件だけを共通化して運用する形だ。

会場側の事情は4つとも違う。東京のLATTEST MIZUMACHIは墨田区向島の東京ミズマチ内にあるカフェ、大阪のコミュニティフードホール大阪は髙島屋東別館1階のフードホール、広島のEmoLab Cafeは中区大手町、愛媛のマテラの森は松山市水泥町にあり、公式サイトではバーベキューやドッグランを備えたレジャー施設として案内されている。大阪だけ80分制なのは、通行量の多いフードホールという立地と切り離せないはずだ。

来場者側から条件文を読むと、そこに書いてあるのは「1回では終わらない」という事実になる。34種をランダムで配る以上、重複は前提として組み込まれている。運営は再来店と交換行動を織り込み、会場は回転を守りたく、来場者は目的の絵柄に近づきたい。立場の違う三者の利害が、注文点数という1つの指標の上で重なっている。

移植できるのは種類数ではなく、対象範囲の設計

自社の販促に持ち込むとき、コースター9種・ストロータグ34種という数字を写しても再現しない。効いているのは種類数そのものではなく、2つの特典で対象範囲を入れ子にしたことだ。広い条件(飲食全般)に少ない種類、狭い条件(ドリンクのみ)に多い種類を割り当てると、狭い条件の商品を選ぶ動機が自動的に立ち上がる。飲食以外でも同じ形は組める。全商品対象に少種類のステッカー、指定カテゴリのみ多種類のカード、といった具合だ。

点数連動である点も見落としやすい。購入額に応じて特典を出す設計、たとえばChroNoiRの周年POP-UPで採られた購入額連動型(ChroNoiR8周年POP-UP、購入額連動ノベルティの設計)は、高単価品1点でも条件を満たしてしまう。今回は点数連動なので、1,700円のフード1皿より1,000円のドリンク2杯のほうが特典が増える。どちらを選ぶかで、動く在庫の中身が変わる。

コースター全9種という規模そのものは、飲食チェーンのコラボでも見かける水準で、やっぱりステーキの周年コラボは全7種だった(おそ松さん10周年×やっぱりステーキ|コースター全7種・地域別メニュー展開のノベルティ施策)。今回が変わっているのは、その標準的なコースター施策の横に、4倍近い種類数の小物をドリンク専用で並べた点にある。コラボカフェの注文特典は1品ごとの配布を基本形とする運用が定着していて(天官賜福 貮 コラボカフェ、DECOTTO池袋の注文特典設計)、そこへ種類数の非対称を持ち込んだ変形と読める。

予約条件も同じ方向を向く。事前予約は2,500円で、入店時に同額のチケットが渡され、会期中いつでも使えるとされている。2,500円はデザート1品とドリンク1品の合計にちょうど一致し、フード1品を選ぶと800円が端数として残る。金額の刻み方が、ドリンクを含む組み合わせのほうへ寄っている。

種類数のコストは素材費ではなくSKU数に乗る

34種という数字を発注側の目で見ると、負担が乗るのは素材費ではない。ストロータグ1枚あたりの材料コストは種類が増えても変わらず、膨らむのはデザイン制作と、1種あたりの最小ロット、それに会場間の在庫配分だ。4会場・最長24日間の会期で、どの絵柄がどこで先に切れるかは事前には読めない。会期の開始日が大阪8月4日、愛媛8月8日、東京8月10日、広島8月15日とずれている構成は、先発会場の消化ペースを見てから後発に振り分ける余地を残す形にもなる。

種類数を増やす判断は、印刷単価の交渉よりも在庫運用の設計に効いてくる。同じ予算で9種を厚く積むか、34種を薄く並べるか。前者は来店1回あたりの満足度を上げ、後者は来店回数を伸ばす。今回は後者へ振り切った例として読める。自社で試すなら、まず在庫を都市別に分けず一括で持ち、消化データを見て配分し直せる体制があるかを先に確かめておきたい。

出かける前に確認しておく条件

会場 所在地 会期(2026年) 利用時間
コミュニティフードホール大阪 大阪市浪速区日本橋3-5-25 髙島屋東別館1F 8月4日〜8月23日 80分制
マテラの森 愛媛県松山市水泥町1263番地1 8月8日〜8月31日 90分制
LATTEST MIZUMACHI 東京都墨田区向島1-23-15 東京ミズマチイーストゾーンE7 8月10日〜8月31日 90分制
EmoLab Cafe 広島県広島市中区大手町1-4-8 8月15日〜8月30日 90分制
  • 予約:事前予約制。予約料金は2,500円(税込)で、入店時に2,500円チケットが渡され、会期中いつでも使用できるとされる
  • 当日利用:事前予約がない場合も、席に空きがあるときやキャンセルが出たときは入店できると案内されている
  • 特典:コースター全9種は飲食1品ごと、ストロータグ全34種はドリンク1品ごとに、それぞれランダムで1枚
  • 価格:フード1,700円、デザート1,500円、ドリンク1,000円(いずれも税込)

まとめ

この施策から抜き出せるのは、原価の安い商品に特典を寄せるという単純な話ではない。2つの特典の対象範囲を意図的にずらし、片方を到達可能、もう片方を到達困難に置いたという構造だ。到達可能なほうは満足感を担保し、到達困難なほうが来店回数を伸ばす。両方を1つの注文動作で同時に進ませているところに設計の芯がある。

自社で組むなら、手順は3つに分けられる。まず自社商品を提供リードタイムと粗利で並べ、追加注文させたい1品を特定する。次にその1品だけを対象にした多種類ノベルティと、全商品対象の少種類ノベルティを用意し、対象範囲を入れ子にする。最後に、多種類側の在庫を拠点別に固定せず、消化データを見て動かせる状態にしておく。8月の4会場は開始日が最大11日ずれているので、大阪の初動が出た時点で消化ペースを観察しておくと、自社の種類数を決めるときの物差しになる。

参照元:コラボカフェ仮面ライダー生誕55周年記念カフェ 特設ページマテラの森 公式サイトイーブライトテンポスフードメディア

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編集:食品ノベルティの窓口 編集部(株式会社Agriture)
農業×食のOEM窓口として、業界動向を編集部がまとめています。
最終更新:2026.07.28
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この記事を書いた人

小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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