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米袋の生地で作るCOME SACK、盛岡で12日間の初ポップアップ

SDGs
2026.09.24
・読了目安 7分

米袋の生地で作るCOME SACK、盛岡で12日間の初ポップアップ

北日本製袋が自社ブランドCOME SACKの初ポップアップを盛岡駅ビル フェザンで10月21日から11月1日まで開催。最終日の11月1日からはニューヨークでの4か月販売が始まる。販促の企画側が読み取れる点を整理した。

米麦用樹脂袋などを製造する北日本製袋株式会社(岩手県紫波郡矢巾町)が2026年9月24日、自社バッグブランド「COME SACK(カムサック)」の初となるポップアップストアを、2026年10月21日から11月1日まで盛岡駅ビル フェザンで開くと発表した。会期は12日間。最終日の11月1日から、ニューヨーク・SoHoのセレクトショップでの4か月販売が始まる。

販促の企画側から見ると、この案件は廃棄物を配布物に作り替えたタイプの発表とは素材の出どころが違う。そこを取り違えたまま社内で説明すると、話が合わなくなる。

目次

使用済みの米袋ではなく、米麦用樹脂袋の生地そのものがバッグになっている

発表資料は「米麦用樹脂袋の生地を使った一般消費者向けバッグ」(本文)、「米袋の生地を活用したバッグブランド」(会社概要)と書いている。見出しでは「米袋から生まれたバッグ」という短い言い方も使われているが、使用済みの袋を回収したという記述はどこにもない。集めた米袋を洗って縫い直した製品ではなく、同社が米や麦の袋向けに織っている原反から一貫して仕立てた一般消費者向けのバッグだ。同社が挙げている開発理由は廃棄の削減ではなく、機械と技術を残すことだ。米麦用樹脂袋の原反を製造できる工場について、「この機械を動かし続け、製造技術を未来に残したい」という思いから開発した、と書かれている。

その工場を「国内で唯一残った」とする部分は同社の説明で、第三者が検証した記述は発表資料に出ていない。ニューヨークの販売先の担当者も「日本で唯一の円形織機を活用している点」に魅力を感じたと述べているが、これは同社の説明を受け取った側の言葉だ。外向きのコピーに引くなら、出どころを同社に置いたまま書くほうが安全だ。

素材の出どころの違いは、発注の実務に効く。飾り終わったオーナメントを砕いてキーホルダーに再成形した案件(唐津のNPOがMINI宮崎のオーナメントを砕きキーホルダーに再成形)や、廃番になった自社ユニフォームを裁断・圧着してラゲッジタグにした案件(捨てるはずだった廃番ユニフォームが、周年ノベルティの原料になる)では、回収できた量が製作数の上限を決める。COME SACKの生地は回収物ではなく、織機で製造されている資材だ。回収量が製作数の上限を決める関係にはない。

盛岡フェザンの12日間に並ぶのは約15種類のバッグと50本限定のライスウォッカ

会場は盛岡駅ビル フェザン内の「フェザン・パティオ」。販売予定商品として挙がっているのは次の内容で、原文は末尾に「など」を付けている。

項目 内容
会期 2026年10月21日(水)〜11月1日(日)の12日間
会場 盛岡駅ビル フェザン内 フェザン・パティオ
COME SACK 約15種類×各3〜4カラー
新作 お米由来の成分を含む「ライスレザー」を使ったバッグを初披露
ライスレジン製品 カップ、箸、皿など
ライスウォッカ 岩手県産有機米を使用、50本限定
米商品 限定COME SACKバッグ付き(2kg・5kg)
価格・製作数量 発表されていない

「ライスレザー」は、新たに開発したお米由来の成分を含む素材という説明にとどまる。「ライスレジン」には、非食用米を原料の一部に活用した国産バイオマスプラスチックという注記が付いている。どちらも発表資料の表記どおりに扱うほかない。

ライスウォッカは株式会社ファーメンステーションとのコラボレーション商品で、岩手県奥州市の耕作放棄地だった水田で育てた有機米を発酵・蒸留して作ったと説明されている。50本という数量は、発表された商品のなかで上限が明示された唯一の品だ。

業界調査では、バッグのような日常的に使う実用品の保持率が8割を超えたという結果が出ている(ASI「2026年版広告接触効果調査」の5大知見)。同じ調査で好感度を押し上げるとされたのは再生素材・竹・オーガニックコットンなどのエコマテリアルで、COME SACKの生地はそこには当たらない。販促品に転用するなら、効くのは素材の環境性ではなく実用品としての保持のほうだと見ておくほうが実際に近い。

ポップアップ最終日の11月1日から、ニューヨークでの4か月販売が始まる

ニューヨークでの販売期間は2026年11月1日から2027年2月末までの4か月間。店舗はFlying Solo New York(419 Broome Street, New York, NY 10013)。発表資料はFlying Soloを「ニューヨークSoHoに店舗を構えるセレクトショップ」とし、世界各地の独立系ブランドを扱い、SoHoでブランドの販売を支援していると書いている。

日程は原文が書いているとおり、盛岡の最終日とニューヨークの開始日が同じ11月1日で接続している。会期12日のうち11日はニューヨーク販売の開始前だが、最後の1日は重なる。「海外へ行く前に、まずは地元・岩手の皆さんに商品を手に取ってもらいたい」という企画意図も、同社が発表資料に書いているとおりだ。商品は9月下旬から10月上旬にかけて岩手からニューヨークへ発送する予定と記されているので、出荷はポップアップより先に動く。

海外展開のきっかけは、Flying Soloから届いたメールだと同社は説明している。Flying Solo側が北日本製袋のECサイトを通じてCOME SACKを見つけ、問い合わせたという順番だ。発表資料はFlying Solo担当者の言葉として、こう引いている。「米麦の輸送用樹脂製バッグの製造において、日本で唯一の円形織機を活用している点や、環境に配慮した製品づくりを行っている点に魅力を感じました。当社の顧客層が好む要素でもあります」自社ECに商品を出していたことが接触点になった、というのが同社の説明の流れだ。

発表元は「サステナブルだから」だけでは足りないと書き添えている

発表資料には、同社の立場が言葉で示されている。同社は「国内唯一の機械を残す」というブランドの背景や、米袋の製造技術を未来につなぐことを大切にしてきたとしたうえで、海外展開を機に「ファッションとして持ちたい」と思われることも目指すと書いている。原文の言い方は「サステナブルな背景への共感だけでなく『ファッションとして持ちたい』と思ってもらえるブランドになる挑戦でもあります」で、背景の説明を下げるとは書いていない。

素材の由来を前面に出した販促品を企画するとき、この一文は使いどころがある。由来の説明は、受け取る側が読まなければ伝わらない。廃番ユニフォームを原料にした事例でも、素材の背景を説明するカードを同梱するかどうかで受け取った側が話題にできるかが変わるという論点が出ていた。COME SACKについて同社が付け加えているのは、説明の充実ではなく、持ちたいと思われる形にするほうだ。

既存の実績として同社が挙げているのは、自社EC、いわて銀河プラザ、クロステラス盛岡などでの販売と、BEAMSおよびUNITED ARROWSとのコラボレーション商品の展開だ。アパレル企業とのコラボレーション商品の実績はあるが、どちらから持ちかけた案件かも、受託の条件も発表されていない。

別注の条件は発表されていないので、問い合わせ前に項目を分けておく

社内資料に載せる前に、発表で確認できる項目と、確認できない項目を分けておく。小売価格はブランドの自社ECで公開されているが、別注・OEMの単価と最小ロットは今回の発表にも記載がない。製作数量、CO2の削減量、ライスレザーの配合比率も同じなので、環境負荷の削減を数値で語る資料としては使えない。

項目 内容
発表日 2026年9月24日(PR TIMES)
発表元 北日本製袋株式会社(岩手県紫波郡矢巾町)
創立 1966年
資本金 9,700万円(PR TIMESの会社概要欄)
ブランド開始 2023年4月、ECサイトでの販売開始
既存の販売先 自社EC、いわて銀河プラザ、クロステラス盛岡など
過去のコラボ BEAMS、UNITED ARROWSとのコラボレーション商品
価格・最小ロット・製作数量 発表されていない
別注や受託の条件 発表されていない
CO2削減量、ライスレザーの配合比率 発表されていない

取材の受け入れ範囲は発表資料に列挙されている。ポップアップ期間中の様子、COME SACKと新作ライスレザーバッグの撮影、開発担当者と代表者へのインタビュー、原反を製造する織り機の撮影、製造工程、ニューヨークへの発送準備。現物を見てから素材の採否を決めたい場合、会期は12日間しかないので、盛岡の会場と矢巾町の本社のどちらを先に見るかを決めてから連絡する順番になる。

盛岡のポップアップは、海外の棚に載る商品を国内の売り場で先に見られる12日間だ。生地の実物と、それを織る工場が同じ県内にあるので、現物を確認してから別注の可否を聞く動き方はとりやすい。

参照元

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編集:食品ノベルティの窓口 編集部(株式会社Agriture)
農業×食のOEM窓口として、業界動向を編集部がまとめています。
最終更新:2026.09.24
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この記事を書いた人

小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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