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社名回帰した株式会社猿の名刺、目の前で中敷の形を切り取ってから渡す

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2026.09.26
・読了目安 7分

社名回帰した株式会社猿の名刺、目の前で中敷の形を切り取ってから渡す

名刺を渡す直前に、渡す側が名刺の右端をちぎる。株式会社猿(旧・株式会社WonderSpace、東京都渋谷区)が社名回帰に合わせて最初に作ったのは、この一手間を組み込んだ名刺だった。2026年9月24日に出た発表文を読むと […]

名刺を渡す直前に、渡す側が名刺の右端をちぎる。株式会社猿(旧・株式会社WonderSpace、東京都渋谷区)が社名回帰に合わせて最初に作ったのは、この一手間を組み込んだ名刺だった。2026年9月24日に出た発表文を読むと、工夫は切り取り線ではなく、切った側と受け取った側で手元に残るものをずらした点にある。名刺は販促予算の中ではほとんど数えられない印刷物だが、商談の起点でいちばん多く配る紙でもある。

目次

名刺の右端を目の前で切り取る、受け取る側に中敷は渡らない

切り取られるのは靴の中敷と相似形の紙パーツ

発表文によると、名刺の右端には靴の中敷と相似形のパーツがマイクロミシンで仕込まれている。渡す場面では同社の担当者がそのパーツを目の前で切り取り、名刺本体を相手に渡す。切り取られた中敷の形のパーツは相手には渡らず、受け取る側の手元に残るのは一部が欠けた名刺である。製品サンプルがその場で手に入るわけではなく、欠けた輪郭だけが残る。なお発表文は、切り取ったパーツをその後どうするかには触れていない。

現物のインソール「猿の中敷」は別に進行中で、革靴に収まる薄型・フリーカット式、まず冬向けにフェルト素材の保温タイプを制作しているとしている。左足に「猿」、右足に「先に働く」と記すが、履けば外からは見えない。完成後に記入欄へ記入した相手へ順次送る予定で、発表時点で配布は始まっていない。

裏面は名前と靴のサイズを書く欄になっている

手元に残る名刺の裏面は、後日届く中敷を送るための記入欄(名前・靴のサイズ)に充てられている。発表文は、記入された情報を中敷の発送にのみ使うと明記している。連絡先はすべて名刺本体の側にあり、通常の名刺としても使える。タグラインは「猿は、先に働く。」。

社名を戻したのは2026年8月、発表文と登記で日付が2日ずれる

猿からWonderSpace、そしてまた猿へ商号は2回動いた

発表文は変更日を2026年8月15日としている。一方、国税庁法人番号公表サイト(法人番号4010401104618)の変更履歴では、商号変更の事由発生年月日は2026年8月17日で記録されている。同じ履歴には2021年10月1日に「株式会社猿」から「株式会社WonderSpace」へ変えた記録も残り、今回は創業時の商号への回帰にあたる。

本社も動いている。発表文は2026年7月1日に港区北青山から移転したと書き、登記上の所在地変更の事由発生年月日は2026年9月9日。移転先の表記は公式サイトと一致する。

項目 発表文(PR TIMES) 国税庁 法人番号公表サイト
商号変更 2026年8月15日付 事由発生 2026年8月17日
本社移転 2026年7月1日に港区北青山より 事由発生 2026年9月9日
前回の商号変更 2021年10月(猿→WonderSpace) 事由発生 2021年10月1日

旧社名の併記は2027年8月まで続く

ブランドの連続性を保つため、2027年8月までの1年間は「株式会社猿(旧:株式会社WonderSpace)」の併記を続けるとしている。9月24日に公開された公式サイトも「株式会社猿(旧: WonderSpace)」で統一され、事業内容の欄には「ノベルティ・販促物の企画制作」が並ぶ。実行部隊を自社に持たないファブレス型を掲げる会社が、最初の制作物に自社の名刺を選んだ形になる。

2025年の総広告費は8兆623億円、伸びたのは人が動く売場と会場だった

プロモーションメディアは1兆7,184億円で3年連続のプラス

発表文は国内の総広告費が2025年に8兆623億円に達したと触れている。電通「2025年 日本の広告費」の公表値と一致し、4年連続の過去最高更新だった。販促物に近い区分のプロモーションメディア広告費は3年連続のプラス、うち「イベント・展示・映像ほか」は大阪・関西万博などが寄与して二桁伸びた。

区分 2025年 前年比
総広告費 8兆623億円 105.1%
インターネット広告費 4兆459億円 110.8%
マスコミ四媒体広告費 2兆2,980億円 98.4%
プロモーションメディア広告費 1兆7,184億円 102.0%
うちイベント・展示・映像ほか 4,748億円 111.2%

配布点数を増やさずに接触を2回にする

伸びているのは人が動く場所の支出で、展示会やイベントに出る回数が増えれば配布物の点数も増える。一方で持ち帰ってもらえる量は変わらない。猿の名刺は、配布点数を1点も増やさずに、その場(切り取る動作)と後日(中敷の到着)で接触を2回に割っている。会場に置く物量を足すより、すでに全員に渡している紙の役割を1つ増やすほうが、在庫も輸送も増えない。

自社の販促に移すなら、切り取り線より先に決めるのは受け取った後の連絡手段

その場で渡さないものを作ると、あとから届く理由ができる

切る加工そのものは目新しくない。同じ「切る/切らない」の判断で対照的なのが、車内広告の生地を切らずに参加者が縫い上げたアークテリクスのトランジットサックで、あちらは素材をその場で完成品にして持ち帰らせた。猿の名刺は逆に、その場では完成させない。自社の技術や事業を配布物で見せる型としては、鋳造技術で子どもの絵を立体化した木村鋳造所の取り組みと近い位置にある。

記入欄を作る前に利用目的の一文を用意する

名刺の裏面に名前と靴のサイズを書かせる設計は、配布物をそのまま申込書に変えている。個人情報を書かせる欄を作るなら、利用目的を同じ紙面に置いておく。猿は「中敷のお届けにのみ使用」と発表文に書いている。この一文がないと、回収した名刺を後からメール配信に回せるのかが社内で止まる。フリーカット式にした点も実務的で、サイズ別の在庫を持たずに1種類で足りる。

社名入りのノベルティは総付景品の限度額から外れることがある

取引に附随していなければ景品類にあたらない

景品表示法の景品類は、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・役務の取引に附随して相手方に提供する物品その他の経済上の利益と定義されている(公正取引委員会告示第3号)。名刺交換をした相手に購入も来店も条件にせず送るものは、この「取引に附随して」から外れる場合がある。ただし線引きは配布条件で変わるので、企画ごとに条件を書き出して確認しておく。

限度額で考えるときの取引価額は原則100円

取引に附随する形で配るなら総付景品の枠に入る。運用基準は、事業者名を広告するために提供する物品で適当な限度のものは制限の対象外になるとし、社名入りのカレンダーやメモ帳を例に挙げている。「適当な限度」の判断は残る。限度額で考える場合、購入額の多少を問わず配るときや入店者に配るときの取引価額は原則100円で、通常の取引価額のうち最低のものが100円を超えるならそれを採れる。同一の事業者が別企画で重ねた景品は合算される。価額は発注単価ではなく、受け取った人がそれを通常購入するときの価格で見る。

マイクロミシンを見積依頼する前に決める3点と、今週試せること

残す面と切る人と切った紙の行き先

加工の呼び名は印刷会社によってマイクロミシン、マイクロパーフォレーションなどと分かれる。見積依頼では紙の厚み、ミシンの本数と位置、仕上がりサイズを並べて出すと戻りが早い。先に決めておくのは次の3点。

  • 切り取ったあとに残す面に、連絡先とロゴを寄せておくか
  • 切るのは渡す側か、受け取った人が自分で切るのか
  • 切り取った紙をその場で捨てるのか、回収するのか、渡すのか

小ロットで試すなら、ECで10個から注文できる木製ヘアブラシを出したアイグッズの金継ぎシリーズのように、最少数量を先に確認してから型や版の話に入る。

今週できるのは、名刺1種の試作を切ってみること

会社概要は下記のとおり。商号変更の経緯は2026年9月29日から公式noteで連載形式で公開するとしている。

項目 内容
社名 株式会社猿(旧:株式会社WonderSpace)
所在地 東京都渋谷区代々木2-27-5 &PLACE代々木202
設立/資本金 2013年3月11日/1,110万円
代表者 代表取締役 山本尚宏
サイト公開 2026年9月24日(saru.co.jp)

自社で今週動かせるのは、名刺を1種だけ試作して社内で実際に切ってみることだ。切った紙がきれいに落ちるか、名刺入れの中で勝手に外れないか、渡す側が切る動作に何秒かかるかは、刷ってみないと分からない。ここで詰まるようなら、配布現場でも同じところで止まる。

参照した情報

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編集:食品ノベルティの窓口 編集部(株式会社Agriture)
農業×食のOEM窓口として、業界動向を編集部がまとめています。
最終更新:2026.09.26
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この記事を書いた人

小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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