株式会社オーディオテクニカが2026年7月22日、聴こえに関するブランド「audio-technica MIMIO」の1周年施策を発表した。柱になるのは記念ノベルティの配布と「30日間返金保証キャンペーン」で、ほかに公式サイトのリニューアル、LINE公式アカウントの開設、レンタルサービスの案内が並ぶ。周年をグッズ配布だけで締めず、買う前の迷いを外す仕掛けを同じ日に出したところが、販促担当にとっての読みどころになる。ノベルティの購入期間は9月21日まで、返金保証は9月30日までで、終わりの日が9日ずれている。
ノベルティ3種と、9日ずれた返金保証
発表によると、2026年7月22日から9月21日までに公式サイトで購入した人へ、製品ごとに違うノベルティを配る。ヒアリングアシストイヤホンとして案内されるMIMIO ASSIST ONEにはMIMIOロゴ入りの晴雨兼用傘、お手元テレビ用スピーカーのMIMIO SOUND MOVEにはロゴ入りステンレスサーモタンブラーが付く。傘とタンブラーはいずれもモンベル製と明記されている。MIMIO SOUND NECK、SOUND LIGHT PLUS、SOUND LIGHT、SOUND BOX、SOUND CUBEの5製品にはロゴ入りエコバッグが割り当てられた。数量については「数量限定、なくなり次第終了」とだけ書かれ、何個用意したかは公表されていない。発送は2026年9月中旬より順次とされている。
もう一方の「30日間返金保証キャンペーン」は、対象がMIMIO ASSIST ONEとMIMIO SOUND MOVEの2機種にしぼられる。公式サイトで購入した人が対象で、製品到着日から30日以内であれば使用後でも返品できると説明されている。期間は2026年7月22日から9月30日まで。ノベルティの購入期間より9日長い。
1年目のブランドが「試させる」側へ寄せた背景
MIMIOはオーディオテクニカが2025年7月22日に発表したブランドで、第1弾のMIMIO ASSIST ONEとMIMIO SOUND MOVEは同年8月に市場へ出ている。公式オンラインストアの価格は、発表時の報道でASSIST ONEが49,500円(税込)、SOUND MOVEが21,780円(税込)とされた。量販店の棚で衝動買いされる価格帯ではないうえ、自分の聴こえ方に合うかどうかは店頭で数分触っただけでは判断しにくい。1年目のブランドが返金保証を持ち出す動機は、この2点でおおむね説明がつく。
同社は発表のなかで自社調査にも触れている。全国のイベント来場者に聞いた結果として、人の声の聴き取りにくさを感じる頻度をたずねた設問で「よくある」「たまにある」の合計が62%、対策については約80%が「対策は特にしていない」と回答したと説明する。サンプル数は公表されていないので、この数字を市場規模の根拠に使うのは筋が悪い。ただ、困ってはいるが動いていない層が厚いという方向性は、返金保証という打ち手の選び方とかみ合っている。動いていない人を動かすとき、値引きよりも失敗したときの逃げ道のほうが効く場面はある。
確認できた数字と、公表されていない条件
| 項目 | 内容 | 出所 |
|---|---|---|
| ブランド発表日 | 2025年7月22日 | 発表時の報道 |
| 第1弾製品 | MIMIO ASSIST ONE / MIMIO SOUND MOVE(2025年8月) | 発表時の報道 |
| 公式ストア価格 | ASSIST ONE 49,500円(税込)/ SOUND MOVE 21,780円(税込) | 発表時の報道 |
| 1周年施策の発表日 | 2026年7月22日 | プレスリリース |
| 返金保証の対象 | 上記2機種・公式サイトでの購入分 | プレスリリース |
| 返金保証の期間 | 2026年7月22日〜9月30日 | プレスリリース |
| ノベルティ対象の購入期間 | 2026年7月22日〜9月21日 | プレスリリース |
| ノベルティの発送 | 2026年9月中旬より順次 | プレスリリース |
| ノベルティの数量 | 「数量限定、なくなり次第終了」(個数は非公表) | プレスリリース |
返金保証について公表されているのは、対象2機種・購入経路・30日という日数・使用後でも返品可という4点にとどまる。申請の手順、返送時の送料をどちらが負担するのか、開封済みの付属品や消耗部材の扱い、1人あたりの回数制限は、発表資料にも公式サイトの保証規定ページにも書かれていない。保証規定ページに載っているのは通常のメーカー保証の話で、保証書が付かない製品は「お買い上げ日より1年間」、修理品の返送では「お客様に送料をご負担いただきます」といった記述になっている。今回の30日間返金保証にそのまま当てはまるとは書かれていないため、条件を推測で埋めない扱いが要る。
発表後に確認できた反応と、確認できなかったもの
まず目に見える差として、呼び名の揺れがある。プレスリリース側は「30日間返金保証キャンペーン」と制度名で書いているのに対し、公式サイト側では「安心お試しキャンペーン」という言い方で案内されている。売り手向けの資料では制度名、買い手に向けた導線では体験の言葉に置き換える、という使い分けだ。
次に、詳細の露出タイミング。公式サイトのトップページでは1周年の「聴こえ体験プロジェクト」と記念ノベルティ、返金保証の存在までは確認できるものの、対象製品・期間・条件の詳細はプレスリリース側にしか揃っていない状態だった。同じ面には無料試聴体験会の受付とレンタルサービスへの導線が並ぶ。
一方、確認できなかったものもはっきりさせておく。今回の施策について同社役員や担当者の談話は発表資料に含まれていない。流通側やユーザーのまとまった反応も、公開情報の範囲では見当たらなかった。周年施策の成否は、9月中旬のノベルティ発送と9月30日の保証終了を過ぎてからでなければ外部からは測れない。
閾値を置かず、製品ごとにノベルティを割り当てた意味
周年ノベルティでよく使われるのは購入金額の閾値だ。いくら以上でこれ、という積み上げ型は客単価を押し上げる狙いがはっきりしている(ChroNoiR8周年POP-UP、購入額連動ノベルティの設計)。MIMIOはその形を採らず、製品1点ごとに別のノベルティを紐づけた。カタログは7機種あり、価格が公表で確認できる2機種だけでも21,780円と49,500円の開きがある。ここまで単価がばらつくと、金額の階段を作っても踏める人が限られる。単価の高い2機種にモンベル製の傘とタンブラー、それ以外にエコバッグという3段構成は、金額の階段を製品の格に置き換えたものと読める。
この置き換えは自社にも移しやすい。SKUが少なく単価差の大きいラインアップなら、金額閾値より品目ひも付けのほうが在庫を読める。閾値方式は購入金額の分布しだいで消化数が振れるが、品目ひも付けなら製品ごとの販売見込みにそのまま掛ければ数量が出る。逆に、SKUが多く単価が近い商材で同じことをやると、ノベルティの種類だけ増えて発注ロットが細り、1個あたりの単価が跳ねる。
選ばれた品目にも読み筋がある。傘・タンブラー・エコバッグはどれも実用品で、渡したあとに使われ続けるほど接触が伸びる。もらった側が捨てにくいノベルティの条件として、実用性と品質は繰り返し挙がってきた(PPAI調査:5,000人データで判明 — ノベルティ「もらっても捨てる」を防ぐ3つの条件とは)。外部ブランド製と明記したのは、ロゴ入りノベルティにつきまとう品質不安を先に潰す動きだろう。
発送を2か月後に置いたことが効く場所
購入は7月22日から始まるのに、ノベルティの発送は9月中旬から。最初に買った人は2か月近く待つ計算になる。その場で手渡す設計とは正反対で、来店のたびに現物を渡して熱を作る周年回遊型とも組み立てが違う(2店舗を回ると特製タオル、あみあみ秋葉原の周年回遊キャンペーン)。
この遅れは、返金保証と並べると意味が変わる。7月下旬に買った人の30日間は8月下旬に終わる。ノベルティが届くのはそのあとだ。返品するかどうかを決め終えた顧客のところへ、もう一度ブランドから荷物が届く形になる。購入直後の同梱物は開封の勢いに流されるが、判断が済んだあとの一通は単独で読まれる。ここにLINE公式アカウントの案内やレンタルサービスの説明を差し込むなら、届くタイミングとしては悪くない。
ただし、発送が遅いこと自体は生産と在庫の都合とも取れる。数量が非公表である以上、意図した設計なのか結果としてそうなったのかは断定できない。それでも、自社で周年施策を組むときに「保証や試用の期間が終わったあとにノベルティを届ける」を選択肢として持てるかどうかは差になる。ノベルティを販促の締めではなく、二度目の接触の口実として置く発想だ。
高単価・低頻度の商材で、ノベルティ発注が動く方向
返金保証とノベルティをセットで打つと、ノベルティの必要数は「売れた数」ではなく「返品を差し引いた数」に近づく。返品された分のノベルティを回収するのかどうかは公表されていないが、実務では回収を前提にしない運用が多い。すると発注側は、返品の見込みをどう置くかで数量が変わる。通販の解説では返金請求に至る比率は低いとされることが多いが、商材と価格帯で振れ幅が大きい。初回ロットは保守的に置き、追加発注の余地を残しておきたい。
もう一点、単価4万円台の製品に付けるノベルティは品質の基準が引き上がる。傘やタンブラーは価格帯の幅が広い品目で、安いものを配ると製品側の印象まで引きずられる。外部ブランドを使う判断は、発注コストの話というよりリスクを買い取るコストとして説明したほうが社内は通りやすい。
期日と、発注前に確認しておく項目
| 日付・項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 2026年7月22日 | 返金保証・ノベルティの対象期間が開始 | ブランド発表からちょうど1年 |
| 2026年9月21日 | ノベルティ対象の購入期限 | 数量限定のため前倒しで終了する場合あり |
| 2026年9月中旬 | ノベルティの発送開始 | 順次発送。到着日は公表されていない |
| 2026年9月30日 | 返金保証キャンペーンの終了 | 9月下旬購入分の30日間が10月にまたがる扱いは公表されていない |
| 対象の購入経路 | 公式サイト | 量販店など他経路の扱いは公表されていない |
| 申請方法・送料・除外条件 | 公表されていない | 購入前に販売元への確認が要る |
| 問い合わせ | audio-technica MIMIO 公式サイト(www.audio-technica-mimio.com) | レンタルサービス・無料試聴体験会の案内も同サイト |
まとめ
この発表から持ち帰れるのは、周年ノベルティを単独の企画書で回さないという段取りの話だ。ノベルティの企画と、購入をためらう理由を外す施策を、別々の担当が別々のタイミングで進めると、期間も導線もそろわない。MIMIOの場合は保証の終わりをノベルティの締切より9日後ろに置き、現物の到着をさらに後ろに送ることで、一つの周年から接触点を3回に割っている。
自社で試すなら、次の3つを最初の打ち合わせで決めておくといい。ひとつ、ノベルティの割り当てを金額閾値にするか品目ひも付けにするか、ラインアップの単価分布を見て選ぶ。ふたつ、ノベルティの到着を購入直後に置くのか、試用や保証の期間が明けたあとに置くのか、二次接触として使うかどうかを先に決める。みっつ、返金や返品を絡めるなら、申請の手順・送料・除外条件を告知の初日から書き切る。MIMIOの発表でその部分が読み取れなかったことは、買い手が最初に知りたい情報がどこかを裏側から示している。
参照元:PR TIMES(株式会社オーディオテクニカ)/audio-technica MIMIO 公式サイト/audio-technica MIMIO 保証規定/PHILE WEB
最終更新:2026.07.28
