大阪の株式会社MAWが運営する「ヨツバ印刷」が、2026年7月24日から法人向けオリジナル雑貨の提案体制を強化した。クッションや抱き枕カバー、弁当箱、プレート、ガラス皿、メスティン、さらに美容雑貨・推し活用品・ペット用品・防災用品まで、受け付ける範囲を雑貨全体に広げている。同社はリリースで「多くの商品は1個から制作できる」と説明し、量産前の試作や撮影用サンプル、小規模イベント向けの制作にも応じるとしている。販促担当に効いてくるのは商品そのものより、企業ロゴの共通デザインを複数商品へ展開するシリーズ企画、店舗別・キャラクター別の複数デザイン制作、複数拠点への分納までを同じ窓口で相談できる構えのほうだ。
発表されたのは新商品ではなく、相談の受け皿の広さ
リリースの中身を読むと、目新しい素材や新技術の話は出てこない。書かれているのは、どの範囲まで相談を受けるかという線引きである。商品側はインテリア用品、ランチ用品、食器、アウトドア用品、美容雑貨、推し活用品、ペット用品、防災用品といったくくりで、個別にはオリジナル枡、珪藻土用品、ドールケース、ぬいぐるみスタンド、Bluetoothスピーカーまで挙がる。雑貨という言葉で一括りにされる範囲が、そのまま受注範囲になっている。
案件例として並ぶのは、企業ノベルティ、展示会配布用グッズ、店舗販促キャンペーン、周年記念品、従業員向け記念品、取引先向け贈答品、イベント物販、ライブ・アーティスト物販、学校の卒業・入学記念品、自治体や地域イベントの啓発品、店舗や宿泊施設のオリジナル備品。印刷は素材や形状に適したUV印刷やオンデマンド印刷などを採用し、印刷範囲や白インクの有無、使用できるデータ形式は各商品の仕様に応じて案内するとしている。価格はリリース本文に出てこない。最小ロット・印刷方法・納期・価格・分納は法人向け情報ページで紹介する、という書き方にとどまる。
5月のドリンク、6月のLED、7月のゲームに続く4本目
単体で見ると、よくある取扱拡大の告知に映る。ところが同社が2026年に出した法人向けリリースを時系列に並べると、別の絵が浮かぶ。5月7日にマグカップ・タンブラー・ステンレスボトルなどのドリンクグッズ、6月22日にLEDバッジやLEDペンライトなどのLEDグッズ、7月6日にNintendo Switch用ケースやポーチといったゲーム関連プリントグッズ。そして7月24日の雑貨である。カテゴリを分割して、およそ月次のペースで法人向けの窓口を足してきた格好だ。
4本を通して読むと、打ち出している条件がほとんど変わらない。LEDの回では「1個から制作できる小ロット対応」、ゲームの回では「1個から制作可能な小ロット対応」と、表現の揺れはあっても最小ロットの主張は同じ。複数拠点への分納と、店舗別・タイトル別・チーム別といった複数デザイン制作への言及も繰り返し出てくる。カテゴリだけが入れ替わり、条件は据え置かれている(ヨツバ印刷が1個から作れるスマホリング受託開始)。
4本のリリースを横に並べると、条件がほぼ同じ
| 受付開始日 | カテゴリ | 主な商品(リリース記載) | 最小ロットの記載 | 分納・複数デザイン |
|---|---|---|---|---|
| 2026年5月7日 | ドリンクグッズ | マグカップ、タンブラー、ステンレスボトル | 1個から制作可能 | 多拠点への配送に言及 |
| 2026年6月22日 | LEDグッズ | LEDバッジ、LEDペンライト、LEDアクリルスタンド | 1個から制作できる小ロット対応 | 分納・複数デザインとも記載 |
| 2026年7月6日 | ゲーム関連プリントグッズ | Nintendo Switch専用ポーチ、Switchケース、Switch Liteケース | 1個から制作可能な小ロット対応 | 分納・複数デザインとも記載 |
| 2026年7月24日 | オリジナル雑貨 | クッション、抱き枕カバー、弁当箱、プレート、メスティン、防災セット | 多くの商品は1個から制作できる | 分納・複数デザイン・シリーズ企画を記載 |
表にして分かるのは、4本のうち3本が単に「1個から」と言い切るのに対し、7月24日の雑貨だけが「多くの商品は1個から」という留保付きになっている点だ。扱う品目が枡から珪藻土用品、Bluetoothスピーカーまで広がれば、加工方法も供給元もばらける。全品目を1個から通せるとは書けなかった、と読むのが素直だろう。企画書に載せる前に、その商品が1個から通るのかを個別に確かめる手順が要る。
供給側と、在庫まわりのサービス提供者が見ている景色
制作側であるMAWは、複数商品を組み合わせる場合は商品ごとに異なる制作期間や印刷仕様を確認し、希望納期に合わせた進行方法を案内すると書いている。分納についても、納品先ごとの商品、数量、希望納品日、梱包条件を事前に確認するとしている。幅を広げた分だけ事前の詰めが増える、という自己申告に近い。
受け取る側の事情は、在庫管理システムを提供するzaicoが自社ブログで整理している。同社はノベルティ在庫の課題として、前回のイベントで余った分が正確に記録されず次回分を新規発注してしまう二重発注、当日配布のつもりで倉庫を確認したら足りなかったという直前の欠品、エクセル管理が品目数の増加で立ち行かなくなること、担当者交代時に保管場所や残数、発注履歴が分からなくなる属人化を挙げている。
拠点をまたぐ発注については、SaaS比較サイトのアスピックが販促管理システムの解説記事で、拠点と本部間の受発注管理を一元化し、複数の営業所や店舗からの注文を取りまとめやすくする機能を紹介している。各拠点は登録済みの販促物リストからアイテムを選び、数量や納期を入力するだけで発注できるという。ただし同記事に分納という語そのものの説明は見当たらない。注文を集めるところまではシステムが担い、分けて届ける工程は制作側か本部の手作業に残っているという構図が見える。
1個から作れることの本当の価値は、発注の単位が変わること
1個から作れるという条件は、単価が安くなる話ではない。1個の単価はむしろ高い。価値は、企画を通す前に現物を1点だけ手元に置けることにある。
従来の発注は、予算が先にあり、そこから数量が決まり、最後に数量で作れる商品を選ぶ順番で進む。1個から作れる相手が同じ窓口で雑貨全体をカバーすると、この順番が逆転する。デザインを先に決め、候補商品を1点ずつ実物で作り、社内で並べて比べてから数量を決められる。決裁に持ち込む材料が、画面上のモックではなく現物になる。
この効き方は、同一ロゴを複数商品へ横展開するときにいちばん強く出る。ロゴを弁当箱とクッションとプレートに載せると、素材と印刷方式が違うぶん、同じデータでも色の出方と余白の見え方がずれる。商品ごとに別々の会社へ出すと、このずれは各社の校正に埋もれて納品後に気付く。1社が同じ案件として全品目を持つと、ずれの調整が社内工程になる。同社が「複数商品を組み合わせたシリーズ企画」を前面に出しているのは、この調整を引き受けると宣言していることに等しい。
地域別・店舗別のデザイン出し分けも、下限ロットが低い前提でしか企画として成立しない。全国50店舗に別デザインを配るとして、1デザインあたりの下限が数百個なら、発注総数が跳ね上がって企画自体が没になる。飲食チェーンが地域ごとに内容を変える設計は実際に動いており(おそ松さん10周年×やっぱりステーキ|コースター全7種・地域別メニュー展開のノベルティ施策)、下限が下がるほど社内で通しやすくなる。
一方で、幅の広い一社に全部寄せるのが常に正解ではない。素材そのものがブランドになっている商材は、専業のほうが条件を出せる。今治タオルへの名入れで、ブランドタグを保持したまま100枚から受けるという提案も出ている(コーエイトレードが今治タオルへの名入れノベルティを新提案)。下限100枚は1個からより高いが、タグが残る価値と引き換えなら成立する。幅で寄せる案件と専業に出す案件を最初に切り分けるほうが実務は速い。
分納を前提にすると、社内工数が制作側に移る
分納の効き目は、本部倉庫という中継点を消せることにある。本部が一括で受け取り、開梱して拠点別に組み直し、再梱包して送り直す。この工程は伝票上どこにも計上されないが、担当者の時間と再送料を食う。zaicoが挙げる二重発注や直前の欠品も、多くは本部倉庫に滞留した在庫の把握漏れから生まれる。中継点がなければ滞留しない。
ただし、手間が消えるわけではない。MAWが納品先ごとの商品、数量、希望納品日、梱包条件を事前に確認すると書いているとおり、拠点ごとの割り付けを発注側が決めきってから渡す必要がある。本部倉庫で現物を見ながら調整できた部分が、発注前の表計算で確定させる作業に置き換わる。ここが曖昧なまま投げると、分納は届け先の数だけ問い合わせが増える仕組みに化ける。拠点コード、住所、担当者、受取可能時間、数量の5列を持つ一覧を先に作るのが早い。
業界の側から見ると、カテゴリを月次で足していくこのやり方は、専業に対して幅で勝ちにいく動きになる。1品目の深さでは専業に届かなくても、ロゴ1つを10品目へ展開する案件なら窓口が1つであることが決め手になる。発注側は、品目単位で相見積もりを取るのか、案件単位で幅のある1社に投げるのかを先に決めておかないと、集めた見積もりが比較できない形で並ぶ。
問い合わせ前にそろえておく情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受付開始日 | 2026年7月24日 |
| サービス名 | ヨツバ印刷(法人向けオリジナル雑貨) |
| 運営会社 | 株式会社MAW(エム・エイ・ダブリュー) |
| 所在地 | 大阪府大阪市中央区島之内1-22-20 堺筋ビルディング8F |
| 設立 | 2009年4月15日 |
| 代表者 | 南條康司 |
| 資本金 | 500万円 |
| 電話 | 06-6718-5225 |
| 会社サイト | https://www.mawcoltd.jp/ |
| 最小ロット | 多くの商品は1個から。全品目が対象との記載はなく個別確認が必要 |
| 価格 | リリース本文に記載なし。法人向け情報ページで案内するとされる |
| 印刷方式 | 素材や形状に適したUV印刷、オンデマンド印刷など |
| 入稿条件 | 印刷範囲、白インクの有無、使用できるデータ形式は商品ごとに案内 |
| 分納 | 複数拠点への分納に対応。納品先ごとの数量・希望納品日・梱包条件を事前確認 |
相談を投げる前に手元でそろえておくと話が速いのは次の内容になる。
- デザインの確定版データと、ロゴの最小使用サイズ・指定色
- 候補商品のリストと、想定数量の幅(最小と最大)
- 配布日から逆算した、社内確認用サンプルが必要な日
- 納品先の一覧(拠点名・住所・担当者・受取可能時間・数量)
- 白インクが要りそうな濃色商品が候補に含まれるか
まとめ
7月24日の発表で変わったのは商品ではなく、1つの窓口で受け止められる企画の形である。1個から作れることは試作の敷居を下げ、雑貨全体をカバーする幅は同一ロゴの横展開を1案件にまとめ、分納は本部倉庫という中継点を外す。この3つは別々の機能に見えて、揃ったときだけ「デザインから決めて、現物を見て、数量を後から決める」という順番が使えるようになる。
次に動くなら手順は短くていい。社内で走っている販促企画のうち、同じロゴやキャラクターを2品目以上に載せる予定のものを1つ選ぶ。候補商品を3点まで絞り、1個からの制作が通るかを品目ごとに確認する。通るなら現物サンプルを1点ずつ取り、並べて色と余白のずれを見てから数量を決める。拠点配布が絡むなら、拠点コードから受取可能時間までの一覧を見積もり依頼と同時に渡す。
参照元:PR TIMES(株式会社MAW/オリジナル雑貨)/PR TIMES(株式会社MAW/ゲーム関連グッズ)/PR TIMES(株式会社MAW/LEDグッズ)/時事ドットコム(ドリンクグッズ)/zaico/アスピック
最終更新:2026.07.28
