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掛川茶とは|産地表示の定義と、主流である深蒸し煎茶

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掛川茶とは|産地表示の定義と、主流である深蒸し煎茶かけがわちゃ

掛川茶には、掛川茶振興協会が定めた産地表示の定義があります。定義された範囲で生産された荒茶を100%原料とし、うち掛川市内の荒茶工場で生産されたものを75%以上とする、という内容で、2020年4月1日から運用されています。

茶葉の銘柄を仕様書に書くとき、その名前が何を保証しているのかが分からないまま進むことがあります。掛川茶には産地表示の定義が文書で決まっているので、範囲がはっきりしています。

目次

掛川茶には、文書化された産地表示の定義がある

掛川茶振興協会は、掛川茶の産地表示に関する定義を2019年3月に改正し、約1年の経過期間をおいて2020年4月1日から運用を始めています。定義は次のとおりです(掛川市「掛川茶の定義(産地表示定義)について」)。

「掛川茶とは、掛川市及び掛川市に隣接する合併前の旧金谷町、旧菊川町、旧小笠町、旧浜岡町、旧袋井市、旧浅羽町及び森町の範囲において生産される気候、土質、地形、栽培管理、製造方法等が同様な荒茶を100%原料として仕上げ加工したもの(ただし、掛川市内の荒茶工場で生産される荒茶原料を75%以上とするものに限る)」

読み違えやすいのは後半です。75%という数字は、茶葉の栽培地の割合ではありません。定義された範囲で生産された荒茶のうち、掛川市内の荒茶工場で生産されたものを75%以上使う、という、荒茶の製造工場の所在地についての条件です。

定義の要素内容
対象範囲掛川市/旧金谷町・旧菊川町・旧小笠町・旧浜岡町・旧袋井市・旧浅羽町・森町
原料の条件上記範囲で生産された荒茶を100%原料として仕上げ加工
市内荒茶工場での生産割合掛川市内の荒茶工場で生産される荒茶原料が75%以上
運用開始2020年4月1日(2019年3月改正)

なぜ定義を作り直したのか

掛川市は改正の理由として、産地表示の定義が2006年の決定から10年余を経過し、現在の消費者感覚との相違が見られるとの意見が寄せられたことを挙げています。背景には、輸送や保存技術の発達による食の多様化とグローバル化、食品表示法の施行などによる生産地表示への関心の高まりがあるとしています(掛川市「掛川茶の定義(産地表示定義)について」)。

改正のポイントとして挙げられているのは三点です。高品質な掛川茶が作られている歴史的背景の明文化、合併前の旧自治体名称による生産範囲の明確な規定、掛川茶の名称を冠するために必要な市内工場荒茶の割合の規定です。

茶問屋が隣接自治体の特徴あるお茶も集積して仕上げ加工することで味を作り上げてきた経緯、生産農家が隣接自治体へ経営茶園を拡大してきた経緯が、範囲の設定に反映されています。

蒸し時間は普通煎茶の2倍から3倍

掛川市は「掛川で作られるお茶は、普通煎茶よりも蒸し時間を2倍から3倍長くした『深蒸し煎茶』が主流です」と説明しています。仕上がりは「濃厚で甘く深い味わい」「まろやかでコクがある旨み」「深みのある豊潤な香り」と記されています(掛川市「深蒸し掛川茶の特徴」)。

農林水産省は、深蒸し煎茶について「生葉の蒸し時間を煎茶の2倍以上長くしたものは深蒸し煎茶と呼ばれ、濃い緑色と濃厚な甘みが特徴です」と説明しています(農林水産省「味わいや香りもさまざまなお茶の種類」)。

普通の煎茶(農水省)深蒸し煎茶
生葉の蒸し時間(記載なし)2倍以上(農水省)/掛川市の説明では2倍から3倍
仕上がり程よい渋みと、青々しい爽やかな香りや色濃い緑色と濃厚な甘み(農水省)

掛川茶は産地表示、深蒸し煎茶は製法を表す別の区分です。掛川茶の定義に蒸し時間の条件は入っていません。掛川では深蒸し煎茶が主流だと掛川市は説明していますが、掛川茶を指定するだけでは製法まで指定したことにはなりません。製法を揃えたい場合は別に指定が必要です。

農林水産省の産地資料も、掛川茶を「豊かな水と肥沃な土壌に恵まれた地域で生産され、甘みのあるまろやかで濃厚な味わいが特徴」と説明しています(農林水産省「全国各地のお茶産地の紹介」(令和5年8月))。

ノベルティに使うとき、掛川茶で説明できること

以下はいずれも産地・農法・品評会についての公開情報で、個別に仕入れる茶葉がこれに対応するかどうかは別です。商品説明に使う候補として見て、使う前にメーカーへ対応を確認してください。

  • 産地表示の定義が文書化され、対象範囲と、掛川市内の荒茶工場で生産される荒茶原料の割合(75%以上)まで規定されている(掛川茶振興協会)
  • 普通煎茶の2倍から3倍という蒸し時間(掛川市)
  • 全国茶品評会の産地賞を全国最多の27回受賞(掛川市)
  • 茶草場農法が2013年に世界農業遺産に認定(農林水産省・掛川市)

茶草場農法については、採用する茶葉が同農法によるものだと確認できた場合に限り、説明要素として検討できます。認定されたのは農法であって産地全体ではないため、その農法によるものだと確認できない商品の説明には使えません。

仕様を確定する段階で確認する項目は四つです。定義に沿った掛川茶かどうか(範囲と75%の条件を満たすか)、深蒸しや蒸し時間を配布物に書く場合はその商品が深蒸し煎茶かと蒸し時間の根拠、品種名を記載する場合は使用品種と表示可能な名称、受賞歴を記載する場合は「第80回」「深蒸し煎茶の部」「産地賞」まで省略せずに書けるかどうかです。

品目の選び方やロット・納期はお茶ノベルティの記事に、ほかの用語は用語集にまとめています。

第80回全国茶品評会の時点で、産地賞を通算27回受賞

掛川市は、第80回全国茶品評会(深蒸し煎茶の部)で「2年ぶり27回目(全国最多)となる産地賞を受賞」したと発表しています(掛川市「品評会受賞のあゆみ」)。産地賞は、全国茶品評会で最もすぐれた産地におくられる賞です。掛川市の別ページでは令和4年時点で24回とされており、その後の受賞で27回になっています。平成17年から平成26年までは10年連続で受賞しています(掛川市「深蒸し掛川茶の特徴」)。

掛川市が挙げる荒茶三大品評会は、全国茶品評会、関東ブロック茶の共進会(品評会)、静岡県茶品評会の三つです。静岡県茶品評会では、第59回で優秀産地賞を通算17回目の受賞としています(掛川市「品評会受賞のあゆみ」)。

受賞歴を配布物や社内資料に書く場合は、回次・部門・賞名を省略せずに記載します。「全国茶品評会で最多受賞」とだけ書くと、どの部門の何の賞かが分かりません。

掛川市が奨励している品種

掛川市は奨励品種として三つを挙げ、それぞれ名前の由来と特徴を公開しています(掛川市「深蒸し掛川茶の特徴」)。銘柄名の下に、さらに品種名という層があります。

品種名前の由来特徴
やぶきたやぶを切り開いた茶園の北側に植えた茶樹から選抜したことが由来総合的に優れた品質の品種で、甘みのある濃厚な味わいと優雅な香気
つゆひかり天然玉露といわれる「あさつゆ」を父親に誕生。「つゆ」の2文字に、静岡県茶業に光明をもたらす品種となるよう願いを込めて命名水色は明るくきれいな緑色で、さわやかな香りと、口に含んだときに感じるコクと旨味
さえみどり新葉が鮮やかな緑で、製茶後も冴えた鮮緑色をしていることから命名水色はきれいな緑色で、上品な香りと、渋みが少なく甘みのあるまろやかな味わい

品種名をパッケージに記載したい場合は、使用品種と、表示に使ってよい名称をメーカーに確認します。品種の構成がロットごとに固定されているかどうかも、あわせて確認します。

茶園の畝間に草を敷く「茶草場農法」

掛川市は「平成25年5月に掛川市で行われている茶草場農法が国際連合食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定されました」と記載しています。茶草場農法は、茶園の畝間にススキやササなどの草を刈り敷く伝統農法です。草を敷くことでお茶の味をよくするほか、毎年定期的に草を刈ることで茶草場の自然環境が一定に保たれ、貴重な野生動植物の生息地となっている、と説明されています(掛川市「深蒸し掛川茶の特徴」)。

農林水産省の産地資料も、茶草場農法を「茶園の周りにある『茶草場』からススキやササ等を刈り取り茶園に敷く農法」とし、「生物多様性に繋がる循環型伝統的農法が評価され、2013年に世界農業遺産に認定」されたとしています(農林水産省「全国各地のお茶産地の紹介」(令和5年8月))。2013年と平成25年は同じ年で、国と市の両方の資料に同じ認定が記されています。

掛川市は2023年に「オーガニックビレッジ」を宣言している

農林水産省の産地資料には、静岡県の取組として「2023年2月に藤枝市、4月に掛川市が『オーガニックビレッジ』を宣言。各市の有機農業実施計画に基づき、有機茶の消費拡大及び有機茶生産量の拡大を目指す」と記されています(農林水産省「全国各地のお茶産地の紹介」(令和5年8月))。

これは自治体の取組についての事実であり、個別の商品が有機茶であることを示すものではありません。仕入れる茶葉が有機かどうかは、商品ごとに確認する必要があります。

静岡県のほかの銘柄

静岡県は、農林水産省の資料で「お茶の生産量・面積ともに日本一の茶どころ」とされ、県内には平坦地から山間地にかけて複数の茶産地があります。掛川茶を選ぶ理由を説明するとき、比較の材料になります(農林水産省「全国各地のお茶産地の紹介」(令和5年8月))。

銘柄農水省資料の記述
本山茶山間地特有の爽やかな香りと味わいが特徴。徳川家康公が愛飲していたといわれている
川根茶山間地斜面に広がる地域で生産され、普通煎茶らしいうまみと渋み等のバランスの良さが特徴
掛川茶豊かな水と肥沃な土壌に恵まれた地域で生産され、甘みのあるまろやかで濃厚な味わいが特徴
深蒸し菊川茶地理的表示(GI)を取得
朝比奈玉露日本三大玉露
牧之原茶県内最大産地

よくある質問

掛川茶と名乗れるのはどの範囲のお茶ですか?

掛川市および隣接する合併前の旧金谷町・旧菊川町・旧小笠町・旧浜岡町・旧袋井市・旧浅羽町・森町の範囲で生産された荒茶を100%原料とし、そのうち掛川市内の荒茶工場で生産された荒茶原料が75%以上のものです。2020年4月1日から運用されています。

掛川茶と深蒸し茶は同じものですか?

同じではありません。深蒸し煎茶は製法の名前、掛川茶は産地の名前です。掛川市は、掛川で作られるお茶は深蒸し煎茶が主流だと説明しています。

蒸し時間はどのくらい長いのですか?

掛川市の説明では、普通煎茶よりも2倍から3倍長くとります。農林水産省は深蒸し煎茶を「2倍以上」と説明しています。

品種は指定できますか?

掛川市は奨励品種としてやぶきた・つゆひかり・さえみどりを挙げています。実際に指定できるかどうかは、仕入れ先とロットによるため、メーカーへの確認が必要です。

世界農業遺産に認定されているのは何ですか?

お茶そのものではなく、茶園の畝間にススキやササなどの草を刈り敷く「茶草場農法」です。平成25年(2013年)5月に認定されました。

まとめ

掛川茶は、掛川茶振興協会が定めた産地表示の定義を持つ銘柄です。定義された範囲で生産された荒茶を100%原料とし、うち掛川市内の荒茶工場で生産されたものを75%以上とする、という内容で、2020年4月1日から運用されています。定義に蒸し時間の条件は含まれないため、深蒸しを求める場合は製法を別に指定します。産地賞は第80回全国茶品評会の時点で通算27回、茶草場農法は2013年に世界農業遺産に認定されています。名前が何を保証しているかが文書で決まっている銘柄なので、仕様書に書く条件を組み立てやすいのが利点です。

お茶ノベルティの作り方は、こちらにまとめています
品目の選び方・名入れ・ロット・賞味期限まで。
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編集:食品ノベルティの窓口 編集部(株式会社Agriture)
農業×食のOEM窓口として、ノベルティの企画・製造に必要な用語を編集部がまとめています。
最終更新:2026.09.09
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この記事を書いた人

小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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