銘柄名には、いつからその名前で呼ぶことにしたのかが決まっているものがあります。知覧茶は比較的新しく統一された呼称で、成り立ちが公表されています。
知覧茶は南九州市の3町で作られたお茶
南九州市は「知覧茶は、南九州市の頴娃町・知覧町・川辺町で作られたお茶です」と説明しています(南九州市「知覧茶ってどんなお茶?」)。
この呼称は、旧3町のブランドを統一したものです。市は「平成28年度末まで頴娃・知覧・川辺の旧3町の茶業者は、それぞれが誇りと責任をもって長年独自のブランドで茶業に取り組んできました」とし、「南九州市の茶銘柄を平成29年4月より『知覧茶』に統一する歴史的な第一歩を踏みだしました」と記載しています(南九州市「知覧茶の歴史」)。
頴娃町・川辺町・知覧町は平成19年12月に合併して南九州市になっています。市は、この合併と同時に国内最大級のお茶の産地となったと説明しています(南九州市「知覧茶の歴史」)。
市町村別の生産量が日本一
南九州市は知覧茶について「全国で市町村別生産量日本一を誇り、国内生産量の約17%を占めます」と説明しています(南九州市「知覧茶ってどんなお茶?」)。市が公表する生産割合のページでは、全国の茶生産が約74,000トン、鹿児島県が約30,000トン、南九州市が約14,500トンで、県内の約半分、全国の約2割にあたるとされています(南九州市「茶業に関するデータについて」)。なお市の別ページには約12,966トン・国内の約17%という数値もあり、こちらは集計時点が異なります。割合を引用する場合は、同じページの数値どうしで揃えてください。
参考として、鹿児島県は「令和6年の本県の荒茶生産量は27,000トン(全国シェア36.5%)で,初めて全国1位となりました」と公表しています。茶栽培面積は8,150ヘクタール(全国シェア23.2%)で全国第2位です(鹿児島県「かごしま茶について」)。これは県の令和6年の数値で、南九州市が公表する令和7年度の数値とは集計時点が異なります。
| 項目 | 南九州市の公表値(令和7年度) |
|---|---|
| 茶工場数 | 91工場(令和8年3月現在) |
| 栽培面積 | 3,371ヘクタール |
| 栽培戸数 | 476戸 |
| 生葉生産量 | 67,910トン |
| 荒茶生産量 | 14,542トン |
| 荒茶生産額 | 288億3,233万円 |
南九州市の歴史ページには3,407ヘクタール・543戸・93工場・約12,966トンという別の数値も載っています。集計年度が異なるため、資料に記載された年度とあわせて引用します。
茶種の内訳は煎茶と番茶が中心
南九州市が公表する令和7年度の茶種別生産量は次のとおりです(南九州市「茶業に関するデータについて」)。
| 茶種 | 生産量(令和7年度) |
|---|---|
| 煎茶(深蒸し煎茶) | 6,917.3トン |
| 番茶 | 4,897.0トン |
| 碾茶 | 1,653.8トン |
| その他(ウーロン茶等) | 970.3トン |
| 紅茶 | 99.4トン |
| かぶせ茶 | 4.0トン |
「知覧茶」という名称だけでは、これらのどの茶種かは決まりません。数字の上では煎茶と番茶が大半を占めています。
かぶせ栽培と深蒸し製法
南九州市は、知覧茶で行われている被覆栽培について「かぶせ栽培とは、新芽の摘採前に1、2週間程度お茶に黒い布を覆って、日光を遮る栽培法です」と説明しています(南九州市「知覧茶ってどんなお茶?」)。
製法については、南九州市が「知覧茶は、じっくりと蒸す深蒸し製法で作られています」とし、「通常の蒸し時間は、30秒から40秒程度ですが、深蒸し製法は約60秒から120秒です」と具体的な秒数を挙げています(南九州市「知覧茶ってどんなお茶?」)。ただし深蒸しは煎茶の製法であり、市が公表する茶種別生産量には碾茶や紅茶も含まれます。「知覧茶」という呼称の商品すべてが深蒸しというわけではありません。
農林水産省は深蒸し煎茶を「生葉の蒸し時間を煎茶の2倍以上長くしたもの」と説明しており(農林水産省「味わいや香りもさまざまなお茶の種類」)、南九州市の秒数はこの説明と整合します。深蒸しそのものについては深蒸し煎茶の項にまとめました。
品種の多さと「シングルオリジン」
南九州市は「知覧茶の他産地との大きな違いは、栽培品種の多さです」とし、茶摘みが全国的にも早く始まり摘採期間も長いことが、早生から晩生まで多品種栽培を可能にしていると説明しています。複数品種をブレンドして仕上げるほか、「『シングルオリジン』と呼ばれる単一品種のみの商品」もあるとしています(南九州市「知覧茶ってどんなお茶?」)。
参考として、鹿児島県は県全体について「温暖な気候を生かし、早生から晩生種まで、多様な品種を栽培していることから、摘採期間が長く、様々なニーズにあったお茶を生産しています」と説明しています。これは県全体の説明で、知覧茶についての記述ではありません(鹿児島県「かごしま茶について」)。
認証への取り組み
南九州市は「多くの茶工場が、お茶の安全性や品質管理を行うG-GAP認証、有機JAS認証など第三者機関による認証を取得し、食品安全や環境に配慮したお茶づくりを行っています」と説明し、歴史ページでは76の茶工場が認証を取得しているとしています(南九州市「知覧茶ってどんなお茶?」、南九州市「知覧茶の歴史」)。
配布物に認証名を書く場合は、認証書などで対象となる事業者・商品・工程と、表示に使ってよい内容を確認します。
発注時に確認する項目
- 商品の茶種(煎茶か番茶か碾茶か)。名称だけでは決まりません
- 単一品種の商品か、複数品種のブレンドか。単一品種を訴求するなら品種名まで
- かぶせ栽培を配布物で訴求する場合、その商品が該当するか。市の説明では摘採前1〜2週間程度の被覆
- 認証名を表示する場合、認証書で対象となる事業者・商品・工程と表示可能な内容
ほかの用語は用語集に、法人向けお茶ノベルティの品目選び・ロット・納期はお茶ノベルティの記事にまとめています。
よくある質問
知覧茶は知覧町のお茶だけですか?
南九州市は、知覧茶を頴娃町・知覧町・川辺町で作られたお茶と説明しています。平成29年4月に旧3町の茶銘柄を「知覧茶」に統一したとされています。
知覧茶が3町の統一ブランドになったのはいつですか?
南九州市によると、南九州市の茶銘柄を「知覧茶」に統一したのは平成29年4月です。それ以前は旧3町がそれぞれ独自のブランドで茶業に取り組んでいました。名称そのものがいつから使われていたかは、市の資料には書かれていません。
知覧茶の深蒸しは何秒くらい蒸すのですか?
南九州市は、通常の蒸し時間が30秒から40秒程度、深蒸し製法は約60秒から120秒と説明しています。
まとめ
知覧茶は、鹿児島県南九州市の頴娃町・知覧町・川辺町で作られたお茶です。旧3町のブランドを平成29年4月に統一した呼称で、市町村別の生産量は日本一とされています。市はかぶせ栽培と深蒸し製法を特徴として挙げ、深蒸しの蒸し時間を約60秒から120秒と公表しています。ただし茶種別生産量には碾茶や紅茶も含まれるため、名称だけで製法は決まりません。
最終更新:2026.09.09
