銘柄名を仕様書に書くとき、その名前が何を指しているのかを押さえておくと、後の確認がぶれません。八女茶は、産地の団体が呼称・栽培方法・品質区分を公表している銘柄です。
八女茶は福岡県で生産されるお茶の呼称
福岡県茶業振興推進協議会は「福岡県で生産するお茶は『福岡の八女茶』あるいは『八女茶(やめちゃ)』と呼称されています」と説明しています(福岡県茶業振興推進協議会「八女茶の特徴と歴史」)。特定の市町村に限った名前ではなく、県全体の呼称として使われています。
生産地は、県南部の八女地域を中心に、周辺のうきは、朝倉、京築でも栽培されています。福岡県の荒茶生産量は約1,870トンで全国6位、ここ10年間は1,700〜2,300トンで推移しており、茶生産農家数は2,089戸とされています(福岡県茶業振興推進協議会「概要/生産基盤」)。
生産されている茶種は、煎茶、かぶせ茶、玉露、てん茶(抹茶)、番茶などで、玉露とてん茶は八女の山間部を中心に生産されています(福岡県茶業振興推進協議会「概要/生産基盤」)。
全国茶品評会についての協議会の公表
福岡県茶業振興推進協議会は、全国茶品評会の結果について「平成13年(2001年)から令和6年(2025年)まで25年連続日本一のお茶」と記載しています(福岡県茶業振興推進協議会「八女茶の特徴と歴史」)。ただし同協議会の表記では和暦と西暦が対応しておらず(令和6年は2024年)、年数も合いません。2001年から2024年までなら24年、25年になるのは2025年(令和7年)までとした場合です。どの賞についての実績かも記載がありません。数字を配布物や社内資料に転記する場合は、協議会または品評会の公表資料で、年次と賞名を確認してから使ってください。
「八女茶が日本一」とだけ書くと、何についての日本一かが伝わりません。配布物に載せるなら、品評会の公表資料で賞名と年次まで確認して添えます。
三番茶を摘まない茶園がほとんど。栽培は「芽重型」
摘採の時期は、一番茶が4月中旬に始まり5月上旬に最盛期、二番茶が6月中旬から7月上旬、三番茶が7月下旬から8月上旬とされています。平坦部の茶園は8月上旬までに三番茶の摘採が可能ですが、「二番茶まで摘採して三番茶を摘採しない茶園がほとんど」だと説明されています(福岡県茶業振興推進協議会「八女茶の特徴と歴史」)。
農林水産省の産地資料も、八女茶を「あまくてコクがあり旨味の強さが特徴」とし、「品質を重視した『芽重型』(芽数を少なくし枝葉を大きくしたもの)として栽培」と説明しています(農林水産省「全国各地のお茶産地の紹介」(令和5年8月))。摘採時期と栽培方法は、それぞれの資料が別々に説明している内容です。三番茶を摘まないことと芽重型であることの関係については、両資料とも理由を述べていません。
「伝統本玉露」は技術要件が決まっている
福岡県茶業振興推進協議会は、玉露本来のつくり方をしたものを「伝統本玉露」と称することとし、平成9年産から実施したと説明しています。基本的技術として挙げられているのは次の内容です(福岡県茶業振興推進協議会「お茶の種類」)。
- 自然仕立ての茶園とする
- 肥培管理が十分行われた茶園とする
- 被覆は棚掛けの間接とし、稲わらを使った資材とする
- 摘採は手摘みとする
- 茶葉が硬化しないよう、適期に摘採する
- 生葉管理に注意し、欠陥なく製造されたものとする
農林水産省の産地資料でも、八女伝統本玉露について「八女市及び周辺市町の中山間地域において、昔ながらの稲わらにより被覆し、生葉を手摘みにより収穫」と説明され、2015年12月に地理的表示(GI)に登録されたとされています(農林水産省「全国各地のお茶産地の紹介」(令和5年8月))。
協議会が示す「基本的技術」と、地理的表示に登録された「八女伝統本玉露」という名称の制度は別のものです。個別の商品が地理的表示の対象に当たるかどうかは、この記事の出典からは判断できません。登録内容と、その商品が登録の対象かどうかを、生産者団体または仕入れ先に確認します。
名称から分かること・分からないこと
| 名称 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 八女茶 | 産地団体が、福岡県で生産するお茶の呼称として説明していること | 茶種(煎茶か、かぶせ茶か、玉露かなど)。摘採時期 |
| 伝統本玉露(協議会が示す呼称) | 自然仕立て・稲わらの棚掛け被覆・手摘みなどの基本的技術を満たしたものとして扱われていること | 個別商品が該当するかどうか |
| 八女伝統本玉露(GI登録名称) | 2015年12月に地理的表示に登録された名称であること | 個別商品が登録の対象に当たるかどうか |
何を配布物に表示したいかによって、確認する項目が変わります。一番茶と訴求するなら摘採時期を、伝統本玉露と表示するなら該当性を、茶種を書くなら商品の茶種を、それぞれ仕入れ先に確認します。
ほかの用語は用語集に、法人向けお茶ノベルティの品目選び・ロット・納期はお茶ノベルティの記事にまとめています。
よくある質問
八女茶は八女市で作られたお茶だけを指しますか?
福岡県茶業振興推進協議会は、福岡県で生産するお茶を「福岡の八女茶」あるいは「八女茶」と呼称すると説明しています。生産地は八女地域を中心に、うきは、朝倉、京築にも広がっています。
「伝統本玉露」と普通の玉露は何が違いますか?
福岡県茶業振興推進協議会が定めた基本的技術を満たしたものが伝統本玉露です。自然仕立ての茶園、棚掛けの間接被覆に稲わらを使うこと、手摘みでの摘採などが挙げられています。
八女茶は三番茶まで摘みますか?
福岡県茶業振興推進協議会は、平坦部の茶園では8月上旬までに三番茶の摘採が可能だが「二番茶まで摘採して三番茶を摘採しない茶園がほとんど」と説明しています。
まとめ
八女茶は、福岡県で生産されるお茶の呼称で、八女市に限った名前ではありません。栽培は品質を重視した芽重型とされ、二番茶まで摘採して三番茶を摘まない茶園がほとんどだと説明されています。玉露本来のつくり方をしたものは「伝統本玉露」と称され、稲わらによる棚掛け被覆や手摘みなどの基本的技術が示されています。
最終更新:2026.09.09
