同じ緑茶でも、摘んだ葉に最初に加える熱の与え方が違うものがあります。釜炒り茶は、蒸さずに炒って作る緑茶です。
釜炒り茶は何の一種か
農林水産省の資料では「釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶)」と表記され、「蒸さずに300度から400度くらいの釜で炒って作ることが特徴」と説明されています。主な産地は佐賀県、宮崎県、大分県です(農林水産省「味わいや香りもさまざまなお茶の種類」)。
緑茶が緑色を保っているのは、製造の最初の段階で加熱して茶葉の酵素の働きを止めるためです。農林水産省は「不発酵茶である緑茶は、製造の最初の段階で加熱することにより、茶葉の酵素の働きが失われ(失活)、茶葉の緑色が保たれています」と説明しています。この記事では、煎茶などの蒸して作る緑茶と釜炒り茶を比べます(農林水産省「味わいや香りもさまざまなお茶の種類」)。
資料には「一度に沢山の生葉を均一に炒ることができず、多くても一度に100キログラムほどしか処理できないため、他のお茶と比べ生産効率が良くありません」とも書かれています。これは1回あたりに炒れる生葉の量であって、完成品の重量や受注できる上限ではありません。実際に発注できる数量や納期は、この数値からは判断できません(農林水産省「味わいや香りもさまざまなお茶の種類」)。
煎茶・蒸し製玉緑茶との見分け方
農林水産省の資料は、釜炒り茶を「蒸し製玉緑茶同様に精揉工程がなく、その代わりに炒って、やや勾玉状に成形して仕上げます」と説明しています。煎茶は精揉の工程で茶葉の形を針状に伸ばしながら乾燥させます(農林水産省「味わいや香りもさまざまなお茶の種類」)。
| 煎茶 | 蒸し製玉緑茶 | 釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶) | |
|---|---|---|---|
| 最初の加熱 | 蒸す | 蒸す | 300〜400度くらいの釜で炒る |
| 仕上げの工程 | 精揉。茶葉の形を針状に伸ばしながら乾燥 | 精揉工程の代わりに再乾機でやや丸い形に | 精揉工程がなく、やや勾玉状に成形 |
| 主な産地 | 静岡県・鹿児島県・宮崎県 | 佐賀県・長崎県・熊本県 | 佐賀県・宮崎県・大分県 |
| 資料上の味・香り | 程よい渋みと、青々しい爽やかな香りや色 | 再乾の工程で焙煎がよく効き、火香を感じられて口当たりもよい | 爽快で香ばしく、口当たりが良い |
蒸し製玉緑茶は、ぐり茶やヨンコン茶とも呼ばれると資料は説明しています。どちらも精揉を行わないため丸みのある形になりますが、最初の加熱が蒸気か釜かで別の茶種として扱われています。「玉緑茶」とだけ書くと、どちらか判別できません。
同じ資料は釜炒り茶について「一番茶も二番茶も使われますが、どちらも爽快で香ばしく、口当たりが良いのが特徴です」としています(農林水産省「味わいや香りもさまざまなお茶の種類」)。
産地資料が県ごとに釜炒り茶について書いていること
農林水産省の産地資料には、県ごとの茶の説明があります。ここでは、釜炒り茶との対応が資料上はっきり書かれているものだけを挙げます(農林水産省「全国各地のお茶産地の紹介」(令和5年8月))。
| 県 | 産地資料の記述 |
|---|---|
| 宮崎県 | 西北山間地は全国一の釜炒り茶の産地。特に西臼杵郡では年間約200トンが生産され、日本一の生産量。西臼杵郡産の特徴として、水色は澄んだ黄金色で、香ばしくすっきりした香り「釜香」が挙げられている |
| 大分県 | 釜炒り製玉緑茶として「因尾茶」がある。ほかに煎茶「きつき茶」「耶馬溪茶」「豊後大野茶」、蒸し製玉緑茶「吉四六茶」 |
| 熊本県 | くまもと茶は煎茶、蒸し製玉緑茶及び釜炒り茶を主に生産 |
佐賀県は茶種の解説で釜炒り茶の主な産地に挙げられていますが、産地資料の佐賀県の項で説明されている「うれしの茶」は、勾玉状に丸い玉緑茶(グリ茶)としての説明で、釜炒り製か蒸し製かは書かれていません。銘柄名だけでは、どちらの製法かは判断できません。
「釜香」は、資料では西臼杵郡産の釜炒り茶の特徴として挙げられている言葉です。すべての釜炒り茶に当てはまる説明として書かれているわけではありません。
商品を選ぶときにメーカーへ確認すること
- 商品規格上の茶種名は何か(釜炒り製玉緑茶か、蒸し製玉緑茶か)
- 原料茶の産地はどこか
- パッケージに「釜香」など特徴を書く場合、その根拠をメーカーが示せるか
- 必要数量に対する供給量と納期(1回100キログラムという記述からは判断できないため、個別に確認する)
ほかの用語は用語集に、法人向けお茶ノベルティの品目選び・ロット・納期はお茶ノベルティの記事にまとめています。
よくある質問
釜炒り茶と蒸し製玉緑茶は同じものですか?
違います。どちらも精揉工程がなく丸みのある形に仕上がりますが、蒸し製玉緑茶は蒸して作り、釜炒り茶は炒って作ります。主な産地も、蒸し製玉緑茶が佐賀県・長崎県・熊本県、釜炒り茶が佐賀県・宮崎県・大分県です。
「一度に100キログラム」とは何の量ですか?
1回あたりに均一に炒れる生葉の量です。農林水産省はこの制約から「他のお茶と比べ生産効率が良くありません」と説明しています。完成品の重量や、発注できる数量の上限を示すものではありません。
まとめ
釜炒り茶は、蒸さずに300度から400度くらいの釜で炒って作る緑茶で、農林水産省の資料では「釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶)」と表記されています。精揉工程がなく、やや勾玉状に仕上がります。主な産地は佐賀県・宮崎県・大分県。同じく精揉を行わない蒸し製玉緑茶とは最初の加熱が違うため、商品を選ぶときは規格上の茶種名を確認します。
最終更新:2026.09.09
